狂言 釣針   (つりばり)<和泉流>  

日時:2001.08.19(sun) 22:00 - NHK教育放送
収録:NHKホール(第28回NHK古典芸能鑑賞会より)
出演者:
・太郎冠者:野村萬
・主人:野村与十郎
・奥様:野村万禄
・醜女:野村祐丞
その他:腰元(5名)


内容:
 主人と太郎冠者が登場。主人は未だ妻がいないと語る。良縁祈願に太郎冠者を伴い、恵比寿さまに参詣に行くことになる。主人はお告げで、釣針を捧げて、祈願すれ妻が得られると教えられる。主人は太郎冠者に釣竿を持たせ、妻を釣れと命じる。「見目の良い、年は17,8の妻を釣ろうよ」と滑稽に、繰り返す太郎。揚幕まで行って、幕の下から釣針を差し入れて、竿を肩にゆっくり舞台へ戻ろうとすると、糸の先になにやら付いている。衣を頭から被った女性らしい人物が腰をかがめている。主人は喜び、妻一人ではたいへんだからと、腰元も4,5人ほど釣れと太郎に命じる。同様に竿を振り回し、祈り、揚幕まで進むと、またしても釣り糸の先には5人の人間が鈴なりで引っかかっていた!(同じように衣を頭から被って)役目を果たした太郎は自分の妻も釣りたいと申し出る。主人はそれを許し、またしても太郎が揚幕の下に釣針を差込み、糸を引くと女が釣れた。太郎が早速、祝言を挙げるのがよいでしょうと主人に進言すると、主人は新妻と腰元たちを引き連れ、橋掛かりとは逆の方へ下がって行く。舞台には太郎冠者と彼が釣った女だけ。太郎が女が被った衣を取ると、醜女の面を着けた女がヒョウキンに顔を見せる。驚く太郎。彼は女から逃げるように、橋掛かりへ走り去って行く。女もその彼を追って行き、幕。

感想:
 NHKホールに能舞台に模して作られた舞台。屋根がないせいか少し広い印象。
 太郎冠者が主人の為に釣上げた新妻の顔は最後まで明らかにはされなかった(腰元たちも)。主人への忠義の気持ちから立派に役目を果たしたのだから、太郎にも見目のよい妻が釣れてもよかったろうに。味をしめて、ちょっと欲張ったのがまずかったか?


更新日: 01/08/26