能 泰山木
(たいさんもく) <観世流> ”世阿弥時代の同音・地謡による”
♪日時:2001.07.01(sun) 15:00 - NHK教育放送
♪収録:観世能楽堂
♪出演者:
天女:観世清和(前シテ、後ツレ)
泰山府君:梅若六郎(後シテ)
桜町中納言:福王茂十郎(ワキ)
臣下:福王和幸(ワキツレ)
花守:山本東十郎(アイ)
その他出演者:笛、小鼓、大鼓、太鼓、地謡(5名)
♪内容:
舞台:春の京都
舞台中央正面には垣に囲われた桜の木が一本。地謡方は現在の地謡座ではなく正面を向いて座っている。
中納言が現れ、花の命が延ばせるならな、と語る。中納言が舞台右手に腰掛け、臣下と共に謡う。
囃し方の間奏の後、天女が登場(女面に、額に金のキラキラした枝飾りのような装飾)。
地に降りてきた天女は桜の枝を一本を手折って手にし、奥へ下がっていく(天へ帰っていく)。
(中略)この間に花守が桜の枝が何者かに折られたことを知り、中納言に告げるという経過がある。
中納言が泰山府君に花の延命を祈ると、泰山府君が登場(?面、蓬髪、手に団扇、唐風の帽子)。府君は天女を呼び出す。
再び天女が桜を手に登場。一旦、府君は橋掛かりの途中に下がって腰掛ける。入れ替わる形で天女が舞台中央に出て、優雅に舞い始める。
舞の後、府君が天女の背を後押しするように、桜の木に進むと、天女は桜の枝を木に戻す。今度は天女が腰掛け、府君がその通力で、わずか七日の桜花の命を三七日(21日)に延ばさんと舞う。
最後は天女と二人の舞でクライマックス。
♪感想:
解説によると世阿弥時代の謡の部分は現在とは異なっていたらしい。その形式を同音ということで、世阿弥時代の様式を復活させた舞台となっている。同音とは簡単に言えば、謡におけるワキの役割が現代とは違う点。ワキが謡に積極的に関与することで合唱としての謡をより効果的に盛り上げるようだ。
地謡の人数が5人と少ないが、謡いにワキが加わることで謡は決して薄くならない。それどころかシテ、ワキ、ツレ、地謡が時に互いに協力して謡い上げることで厚みを感じさせる。
♪:
更新日: 01/07/08
|