映画 TOYS  

日時:2000.11.01(wed) 26:25 - 日本TV放送(1992年 アメリカ作品)
キーワード:玩具会社将軍ミニ軍隊ビデオゲーム

内容:
  レスリー(Robin Williams)は父の経営する玩具会社ZEVO TOYS社の従業員。その父が死の直前に経営を引き継ぐようにと弟で軍の将軍であるリーランドを呼び寄せる。その弟の目の前で彼の兄は急死。軍人と玩具という妙な取り合わせで会社経営が継続することとなった。
軍とは全くの畑違いではあるが、アメリカ軍も冷戦終了と共産主義の凋落で、敵対国も少なくなって 軍事費が削減され、軍人にとっては危機的状況。リーランドにしても出世も頭打ちで、リストラ対策ではないが渡りに船という感じで戸惑いながらも経営に参加することに。
ある日、会社の新製品の開発情報が競合他社に漏れたと知ると、将軍は息子で秘密特殊部隊のパトリックを産業スパイ対策に抜擢。玩具会社には不似合いな警備隊が組織され、警備が強化されることに。
将軍は兵器玩具に興味を持つようになり、レスリー等には秘密裏に開発を始める。子供を雇ったりして、レスリー等には何をやろうとしているかを明らかにしない。ある日、レスリーは業を煮やして将軍の開発室(というか国防総省のオフィスのよう)に潜入。そこでは子供たちが戦車や戦闘機、戦闘ヘリなどのビデオゲームをやっていた。どうやらリモコン操作するミニチュア軍隊を作ることを計画しているらしい。これなら国防費削減に貢献するし、子供のゲームにおける反射神経の良さを利用すれば無敵の軍隊が組織できると将軍は本気で考えていたのだ!
製品の試作品も出来、将軍はワシントンの軍関係者を呼んで、この計画を明らかにする。が、彼らには上層部と相談するというだけで、明確な反応はない。ただでさえちょっと常識から外れたような将軍が、これで更に危なくなる。
息子パトリックはその親父が自分の彼女と寝たことを知ると、激怒し実父と仲違い。レスリーたちに父の計画を暴露し、共闘することを決心する。
レスリー達はその将軍に意見しようと部屋に向うが、そこはペンタゴンに模した五角形の迷路で、将軍の開発したミニ戦車や玩具たちが彼らの命を本気で狙い始め追いかける。古い玩具倉庫に追い詰められて、最後は新旧玩具対決に。ゼンマイ仕掛けの古い玩具が新兵器を足止めしている内に、レスリーがなんとかメイン電源を停めて新兵器の攻撃も停止。が、巨大な水槽で飼われていた「海ブタ」と呼ばれる水陸両生の人工生物が非常電源で活動を継続中。レスリーの妹アルセイシアをその武器の銃で撃ってしまう。また将軍すら標的として、これも銃撃。歯茶目茶である。この時驚かされたのは、頭を撃たれたアルセイシアは実はロボットだったこと。全くの人間同然にそれまで振る舞っていたから(勿論、人間の女優さんが演技しているわけだが。*この女優さんはなかなか個性的で、可愛いんだが、性別を意識させない雰囲気をもっている)。すぐに修理され元どおりとなった。将軍も命だけは助かったようだ。

感想:
 この映画にはたくさんの玩具と、目を楽しませる美術セットが登場し、映像的にも面白い。どう見ても子供向け、クリスマスをターゲットにした玩具産業がスポンサーではないかとも思える内容だが、ある警告のメッセージにもなっている。
 現在多くのビデオゲーム(TVゲーム)などでバーチャルな戦争をプレイ出来る。また湾岸戦争やユーゴ空爆などTVニュースでは、まるでゲームのようなミサイル攻撃シーンを見せられる。技術の進歩で、そこには仮想と現実の境界の判断を狂わせる危険な状況が放置されている。判断力が成長途上の子供達を利用しようとする企みも恐ろしいが、少年犯罪の凶暴化が言われる昨今、人の痛みを知らないで殺人を犯してしまう要因として、そういうTVゲームがやり玉に上げられるのもしょうがないのかも。
 さて、私から見ればこの映画の”ZEVO TOYS社”は魅力的な会社である。工場で働く従業員は音楽に合わせて踊りながら玩具作り、意味もなく波打った廊下、そこをガチョウの親子の玩具が横断するために人間が通過待ちする。レスリーは奇想天外な新製品を試作しては回りを驚かせる。その中でも「フラフラ・ヘルメット」と訳されていたヘッド・マウント型の装置は、最近電器屋でも見られる眼鏡式のディスプレイ装置に似ている。これを頭に被るとラフティング(激流下り)などが自宅で楽しめる。日常では体験できないことも、こういった装置で仮想的に体験できる技術はますます進化していくことだろう。ソフトも充実してくることだろう。が、やはり心配になってくるのは技術の悪用だ


更新日: 00/11/03