映画 Raise the Titanic
♪日時:2000.10.03(tue) 25:40 - フジTV放送(1980年
アメリカ・イギリス合作)
♪キーワード:タイタニック、米国海軍、ソ連、ビザニウム、スパイ
♪はじめに:
1912年4月10日イギリスを出航し、ニューヨーク(NY)に向った豪華客船タイタニックが大西洋上で氷山に衝突し沈んだ事故は今もなお話題にあがるほど有名である。昨年(1999年)はデ・カプリオ主演の映画「タイタニック」が超がつくほどの大ヒットとなった。
この作品はその沈んだタイタニックを引き揚げようという米国海軍の一大プロジェクトを描くフィクションであり、ソ連のスパイも絡むサスペンスでもある。
♪内容:
米国ではシーグラム博士の立案によるミサイル防衛計画が進められていた。レーザー光線の幕により敵国からの核ミサイルを防ぐという計画だ。ただしその実現のためには膨大なエネルギーを必要としていた。そのエネルギー源として博士が狙っていたのがビザニウムという特殊金属元素であった。この鉱石はソ連領内スバルドロフ島に産出するが、約70年前にその地からこの鉱石約500Kgを密かに採掘し、米国軍に売ろうとしていた者がいた。当時彼はソ連のスパイに追われながらも鉱石を運び、なんと後に沈没することになるタイタニックに密かに積み込んだ。そして乗客約1,500人を乗せた船もろとも深さ約3,500mの海底に沈んでしまったことが調査で判明。
この米国の動きはソ連大使館にも通じていた。
海軍提督サンデッカーの命令のもと、元大佐ダーク・ピットがタイタニック号引き揚げの指揮を採る。まずピットは英国へ渡り、タイタニックの生き残りの乗務員に会い、密かに荷積みされた鉱石の場所を聞き出す。そして海軍を上げて、船が沈んだ場所を捜索開始。深海探査艇が予想海域へを探し回るが、容易には発見できない。シーグラム博士のシミュレーションで、沈んだ場所が別の海域であると予想。乗務員3人を乗せた探査艇を一艇失いながらも、ついに船を発見。この情報は調査隊に潜り込んだ何者かによってソ連に漏れていた。これがすぐにTV局に流れ、ニュースで報道されると、提督が説明のため会見を行うことになる。会見では引き揚げ方法の説明はするが、そこに積まれた鉱石については一言も触れなかった。引き揚げ準備作業間際、シーグラム博士を乗せた探査艇が海底で身動きできなくなる。自力で脱出出来なくなり、ピットは急遽予定を早めて、タイタニック号の浮上作戦を実行に移すことにする。浮上作戦とは、船底に埋め込んだ特殊樹脂の巨大な空気袋にガスを注入し、浮力を与える。更に補助のタンクを使い、海底に埋設した火薬を爆発させ船を揺らして海底にめり込んだ船を浮き上がらせ易くする。
作戦は見事成功。探査艇も無事浮上。引き揚げられた船はタグボートに引かれ、NYへ。そこで問題の鉱石が積まれた船倉が開かれる。しかしそこには運び人の遺骸と砂利が積まれた箱が。莫大な費用と犠牲をかけながら計画は無駄に終わった。そのとき初めて提督は本心をピットとシーグラムに告げる。彼はビザニウムのエネルギーを利用して爆弾を作ろうと考えていた。シーグラムはショックを受けるが、その話を聞きながらピットは本当の鉱石のありかを遺骸に残されていた絵葉書から知る。シーグラムと二人でその場所へ向かうと、元陸軍軍曹ジェイク・ホバートという人物の墓であった。放射線測定器で反応を調べると確かに地中に埋まっているらしかった。ピットは掘り起こすかどうかはシーグラムに決めさせた。シーグラムは悪用されるのを怖れてか、そのままにしておくことに決める。
♪感想:
タイタニック号の浮上シーンは最大の見所。迫力あるそのシーンは鯨が飛び上がる瞬間のようで、荘厳ですらあった。ただ、腐食したり堆積物が付着しているのは当然だが、氷山に衝突したにしては、あまりに完全な姿過ぎた気がする。しかもNYまで牽引していったのはやり過ぎだろう。しかし、ピットがまだ水が滴る船内に踏み込んだシーンでは、船内が当時の様子を残し、ある意味神秘的であった。水中神殿か龍宮城のようでもあった。
タイタニック号にビザニウムなる金属が積まれていたとか、タイタニック号が引き揚げられたとかいう事実があったかどうかは、私の知識では定かではないが、多分なかったであろう。私が脚本家なら引き揚げた後、積み荷が本物ではないと分かったら、その場で沈めただろう。確かに約70年ぶりにNYに入港する絵も悪くはないが。
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更新日: 00/10/07
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