映画 North by Northwest  

日時:2000.04.23 22:00 NHK教育TV放送(1959年 アメリカ作品、邦題「北北西へ進路を取れ」)
監督:Alfred Hitchcock
キーワード:人違い、スパイ、国連、CIA、寝台列車、密輸組織、女性情報員、ラシュモア山

内容:
  ニューヨークの広告会社社長ロジャー・ソーンヒル(Cary Grant)は離婚暦2回の独身中年。ホテルのロビーで仲間と待ち合わせに出向いたところ、見知らぬ二人組に誘拐され、ある豪邸へ連れて行かれる。豪邸の主はレスター・タウンゼントという国連関係者。そこでロジャーはジョージ・カプランというスパイと間違われたらしいことを知る。タウンゼントと名乗る人物は(実は、国際的な密輸組織の首領でヴァンダムという男)、ロジャーのことを自分たちの組織を探るスパイだと思い込み、動きを追っていたらしい。豪邸で酒を呑まされ、泥酔状態のロジャーは車に乗せられ、海岸の断崖から転落死させられそうになる。走り出した車の中で気付き、間一髪のところを泥酔した頭で車を運転し逃げる。追っ手に追いかけながらも、走っているうちに交通事故を起こして、警察署へ連行され身柄を保護される。
 翌朝、前日あったことを裁判所で話し、釈放されると郡警察と弁護士、母親を付き添いに、タンゼント邸へ。そこで応対したのは見知らぬ女。その対応のせいで、ロジャーは酔っ払いの汚名を晴らすつもりで来たのに、結局晴らせず終い。
 その後、前日のホテルへ向かい、カプランという男が泊まっているらしい部屋に乗り込む。彼の姿はなかったが、またしても昨日の二人組がロジャーを追ってきた。タクシーで国連本部へ逃げ込むと、そこでタウンゼント氏を呼び出してもらうが、彼が前日会った人物とは別人であった。そのとき、タウンゼント氏は追っ手の投げたナイフで背中を刺され死亡。ロジャーは殺人犯と間違えられるのを怖れ、その場を立ち去る。
 一方、アメリカ中央情報局(CIA)ではこの事件が話題になっていた。実はカプランは彼らが創造した架空のスパイで、実体はなかったが、ヴァンダムの手下がロジャーをカプランと思い込んだらしい。ヴァンダムの元には他に別のスパイが潜り込んでいて、その身が危うくなるのを怖れ、CIAはロジャーをそのまま泳がせることにした。ロジャーは見捨てられた格好となった。
 ヴァンダムが入手していたカプランの予定を聞かされていたロジャーは、シカゴでカプランに接触しようと寝台列車で移動。殺人犯として警察にも追われることになり、車内でも州警察が彼を追っていた。車内で出会った女性イブに匿ってもらい、一夜を共にする。無事シカゴに到着するが、イブはヴァンダムの指示で彼をシカゴまで行かせたのであった。カプランとロジャーが会う場所をイブが仲介してくれ、バスで荒野の真ん中まで出向くが、そこで飛行機に乗った何者かに命を狙われる。命からがら、その場を逃げ、カプランが泊まっているはずのホテルへ。そこでカプランが朝早くチェックアウトしていることを知るが、イブがカプランと連絡をとったいう時間には既に彼はホテルにはいなかったことになる。
 同じホテルに泊まっているイブを不審に思ったロジャーは彼女を追って、あるオークション会場へ。そこにいたのはヴァンダム。イブは彼の愛人であった。また、いつの間にかCIAの人間も(教授と呼ばれていた)その場に。敵中に乗り込んだはいいが、又しても命が危うくなり、会場でわざと騒ぎを起こし、警察に保護してもらう。パトカーで向った先は空港。そこで教授に真実を告げられる。予定ではカプランは次ぎに南ダコタ州ラピッドシティに行くことになっており、そこに一緒に行くようロジャーに請う。初めは難色を示すが、イブがCIAの情報員だと知ると、気になる彼女の身を案じて、カプランを演じることを承諾。
 歴代大統領の顔の彫刻で有名なラシュモア山の麓で、ヴァンダムと接触。ヴァンダムが国外逃亡を企てているのを見逃すかわりに、イブを渡せと取引きを持ち掛ける。イブを助けるつもりであったが、彼女の任務はヴァンダムが国外へ去っても継続されることになっていたため、彼女も簡単にヴァンダムの元から離れるわけには行かなかった。イブは空砲でロジャーを撃つと、その場を去る。ロジャーも彼女の目的を察知して死んだ振り。安心したヴァンダムたちもその場を去る。死んだ振りのロジャーは教授の車で病院に運び込まれる。そこで軟禁状態になりかけたが、ロジャーは病院を抜け出して、ラシュモア山のヴァンダムの別荘へ向う。
 別荘では、イブの撃ったピストルが空砲だったことがバレて、彼女に不信感をもったヴァンダムは彼女を消そうと決心。それを別荘外で知ったロジャーは彼女を救うべく、別荘に侵入。密かに彼女に身の危険を伝え、彼女を救う機会を伺う。そうするうちに国外脱出用の自家用機が別荘そばに到着する。
 飛行機に乗り込む直前に、彼女は組織の情報(マイクロフィルム)を収めた骨董品をヴァンダムの手から奪い、ロジャーと共に山中へ逃げる。ヴァンダムの手下の追跡を逃れるようにラシュモア山の大統領の彫刻へ。恐れ多くも大統領の顔の上だ。追っ手に見つかり、危うく岩場から二人ともども墜落死させられるところだが、危機一髪CIAの応援部隊に助けられる。
 この一件の後、ロジャーとイブはシカゴに来るときに乗った寝台列車で水入らずで、ニューヨークへ向った。

感想:ミステリー映画の巨匠ヒッチコックの代表作の一つである。彼は多くの映画を残しているが残念ながらチャンスがなく、ほとんど見たことはない。架空のスパイと間違われとんだ騒動に巻き込まれるビジネスマンの不幸な話だが、女性の情報員と恋に落ちてしまうところが味噌。普通なら勘違いで怖い奴らに追い掛け回されたら、自分の身をなんとか守ろうとするところを、恋した彼女を助けるためにCIAに協力してしまう。格好いいじゃない。ところで、オープニングでバスに乗り遅れる人物はヒッチコックなのだろうか?

更新日: 00/06/19