映画 Mr.Holland's opus  

日時:2000.03.26(sun) 22:00 NHK教育放送(1995年アメリカ作品、邦題「陽のあたる教室」)
キーワード:高校、音楽教師、聴覚障害、演奏会、退職

内容:
  原題を直訳すると”ホランド先生の(音楽)作品”ということになる。
  ケネディ大統領暗殺の直後のアメリカ。バンドマンやスタジオミュージシャンなどをやっていたグレン・ホランド(リチャード・ドレイファス)はジョン・F・ケネディ高校の音楽教師へ転職。
  最初は、教師は自分には向かないが、自由な時間に作曲が出来るいい商売だと考えたが、実際はそんな時間は彼にはなかった。生徒は授業への意欲がなく、グレン自身も教師がいやになった。しかし、まもなく妻アイリスが妊娠し、家計を支えるためにも教師という仕事を続けるしかない。
  彼は授業方針を変え、生徒が興味を持つポピュラー音楽を取り入れたりして、文字どおり音楽を楽しむように彼らに仕向けた。女子生徒の演奏の個人授業にすすんで取り組んだり、楽器が全く出来ないが単位の足りない生徒のために、マーチングバンドの大太鼓を教えて無事卒業させたりと活躍する。
  無事子供は生まれ、グレンは好きなジョン・コルトレーン(Jazz Saxプレイヤー)から取っ手、我が子にコルトレーン(略してコール)と名づける。ある日、妻は我が子の耳が聞こえないことに気付く。耳が不自由なことで我が子とうまくコミュニケーションがとれないことでアイリスは苛立ち、更に学校の仕事に追われ家庭を省みない夫を責める。息子コールは手話などを学ぶために私立学校へ入学。アイリスもコールとコミュニケートするために手話を学ぶ。
  グレンも少しは手話を覚えたが、成長していく息子との会話は十分とは言えず、互いに衝突することも。
  ある日、グレンは反省し息子のためだけでなく、聴覚障害者にも音楽を伝えたいと考え、自分の学校の演奏会に息子の通う学校の彼と同じような障害をもつ生徒を招待し、光や手話を使った新しい試みを行う。
  そうして迎えた1995年のある日。州の財政悪化で高校の芸術関係の授業がカリキュラムから削除されることになり、グレンは突然失業することを校長から告げられる。学校を去る日、グレンに内緒で壮行会が準備されていた。多くの卒業生が駆けつけ、彼らが演奏するバンドのタクトを取るよう、舞台に押し上げられる。
  彼にとっては、最初はいやだった教師の仕事が次第に好きになり、自分の時間も生徒に捧げ、30年間突っ走ってきたが充実した教師生活だと感じた1日となった(そう彼が言ったわけではないが、そんな顔をしていた)。

感想:作品の合間に30年間の各年代の映像や音楽を挿入し、グレンが年齢を重ねるのに合わせて、当時の時代背景などを盛り込んでいる。音楽では60年代ロックやガーシュイン、ジョン・レノン、交響曲アメリカなど様々。
  音楽教師の半生を2時間半という短い作品に仕上げなければいけないという制限のためか、耳の不自由な息子との対話場面がそれほど重要視されていないように感じられた。音楽は楽しい、人生を明るく張りのあるものにしてくれる、というのが映画の主題であれば(多分そう)仕方ないのかも。
  ガーシュインの曲で生徒がミュージカルをやることになったとき、ロウィーナという歌のうまい女子生徒との出会いは、妻子ある中年男にほのかな恋心の炎を灯す。見所の一つである。


更新日: 00/04/28