映画 Lost Highway  

日時:2000.11.21(tue) 26:05 - フジTV放送(1997年 米国作品)
キーワード:ビデオテープ妻殺し整備工、ポルノホテル

監督:David Lynch
内容:
 オープニングはDavid Bowie(?)の曲に合わせて、疾走する車のヘッドライトに照らされた部分だけの映像でスピード感がある。
 ある朝、サックス奏者・フレッドの家の玄関のブザーが鳴り、留守録用メッセージに「ディック・ロラントは死んだ」という意味不明の言葉が吹き込まれていた。そのメッセージを聞いて家の周りを見回すが誰の姿も見えない。なんとも不気味な始まり。妻のレネエが玄関に出ると、ビデオテープが置かれていた。2人で見るが、自分の家が写されているだけ。また別の日に届けられたビデオには彼の家の寝室が写されていた。奇異に感じて刑事を呼んでみてもらう。
 ある夜、2人で出掛けたパーティで見知らぬ男に声を掛けられる。男が言うには、「前に会ったことがある」「あなたの家にいる」と変なことを言う。男が手渡す携帯電話で試しに自宅に電話すると、留守のはずの電話に目の前にいるらしい男が出て応対する。気持ち悪くなって妻と急いで帰宅するが、家には誰もいない。
 ここまでは映画の題名とは違い、会話が少なく、ゆったりとした展開。が、ここで急展開。フレッドは妻殺しの容疑で死刑の宣告まで受け、独房に収容される。
 ある日、刑務所の職員が彼の独房を点検に行くと、そこには全く別人がいた。調べるとピートという若い男であった。彼は独房から出され(いとも簡単に)、自宅へ連れ戻される(一体、フレッドは何処へ?)。ピートは彼女とも再会、職場にも復帰。両親はある晩、ピートにある夜に起こったことを話す。何か奇妙な出来事が彼の目の前で起こったらしかったが、本人には全く記憶がなかった(これが独房のフレッドと入れ替わった事と関連が?)。
ピートは職場の車の整備工場に客のエディーが連れてきた女・アリスと急接近(レネエと瓜二つ)。エディーに彼女に近づくなと脅されるが、アリスもエディーから離れたがっている。2人で遠くへ逃げようとアリスから持ち掛けられるが、先立つものがない。彼女がカモにしている男を襲って金を奪って、逃げる計画を実行。過ってその男を死なせてしまうが、金目の物を盗んで、それを砂漠の店に売りに行く。
 店は無人だったが、外で2人で抱き合っていると、途中でアリスは一人、店に入っていく。それにピートが気付くと、彼はなんとフレッドになっている?!そこにあの不気味な男が現れ、フレッドは一人で車で逃げ出す。そして何故か、「Lost Highway Hotel」へ。そこにはエディーと死んだはずの、妻レネエが(全然、訳が分からない?)。レネエがホテルから出ていった後、フレッドはエディーを襲って外へ連れ出し、(何故か)あの男も手伝って彼を殺す。死の直前、携帯ビデオ(?)で映像を見せられる。どうやらエディーはポルノ映画の製作に関係があるらしい。
 フレッドは自宅に戻り、誰もいないはずの家の玄関で、映画の冒頭で留守録に残されたメッセージと同じ言葉を吹き込む。そこに警察が現れ、彼がフレッドであると知ると、彼を追跡し始める。映画は逃げるフレッドと警察の車での追跡劇で幕となる。

感想:
 David Lynchらしい何とも不思議な映画だ。不条理というか、突然襲う悪夢というか、簡単には理解できない世界がそこにある。理解しようとしてはいけないのかも知れない。理解できるものでも、するものでもないのだろう。
 ピートがアリスと襲った男(死んでしまった)の家にはフレッドの指紋が残っていたらしい。また、ピートがそこで見たアリスとレネエがエディーと写った写真は、警察が現場検証に来たときには、アリスの姿は写っていなかった。ピートの両親が話す奇妙な出来事とは一体何だったんだろう。結局分からず終いだ。砂漠の店が一瞬、爆発したような映像を逆回しにして見せるというのも意味が分からず・・
 最近は盗聴、盗撮が社会問題となっているが、もし自宅が何者かによって監視され撮影されていたと知ったら(しかも不特定多数の目に晒されたら)、そんな気味の悪いことはない。そんな経験をしてしまったら、という悪夢をDavid Lynchは映画にしたかったのかも知れない。

更新日: 00/11/25