映画 Ascenseur pour l'echafaud  

日時:2000.03.30(Thu) 13時 TV東京放送(1957年フランス作品、邦題「死刑台のエレベータ」)
キーワード:完全犯罪、社長夫人、愛人、エレベータ、小型カメラ、モーテル、ドイツ人

内容:
  土曜の夜、カララ商会に勤務する元大尉のジュリアン・タベルニエ(モーリス・ロネ)は上の階の社長室を訪れ、社長を殺害。銃を手に持たせ自殺に見せかけ、ベランダからロープ伝いに自分のオフィスに戻ると何食わぬ顔で帰宅の途につく。が、花屋の前で停めた車を出そうとしたところ、ロープを外すのを忘れたのを思い出し、社へ戻る。エレベータに乗ったがタイミング悪く、丁度ビル管理人がエレベータを止めて帰ってしまう。途中で止まったエレベータの中にジュリアンは閉じ込められ、なんとか外へ出ようと試みるが時間だけが経っていく。
  そうする間に花屋で働く娘ベロニクの彼氏ルイが勝手にジュリアンの車に乗り込む。そしてベロニクを乗せて走り出す。依頼した夫の殺害を終えて会いに来るはずの愛人ジュリアンを待っている、カララ社長夫人フロランス(ジャンヌ・モロー)はその車が通るのを見かける。なかなか現れないジュリアンをフロランスは夜中まで探し回る。雷が鳴り、雨も降り出す。
  他人の車で若い二人は意味も無くドイツ人旅行者ベンカー夫妻のスポーツカー、メルセデス(ガルウイングの2シーター)を追いかけ、そのままモーテルへ。タベルニエの名で夫妻の隣の宿舎に泊まることに。二人は夫妻の部屋に招かれ酒を飲んで盛り上がる。そのうち車から持ってきたジュリアンの超小型カメラで、ベンカー夫人がルイとベンカー氏が並んだ写真を撮る。現像のためフィルムはモーテルの係へ。
  自分の部屋に戻った若い二人は夜中に目を覚まし、ベンカーの車に乗り換えて逃げようとする。エンジン音で気付いたベンカーは車をうまく出せない二人を留めようと、銃で威嚇する。動転したルイはたまたま着ていたジュリアンのコートのポケットに入っていた銃でベンカーを撃ってしまう。
  すぐさま二人はベンカーの車で逃げ出し、ベロニカのアパートへ戻る。睡眠薬を飲んで二人で死のうと決意。
  モーテルでの事件はすぐに警察に通報され、早朝フロランスもそれを知る。タベルニエの名を騙り宿泊していて、ジュリアンの車も現場に放置してあったため、ジュリアンが犯人として追われることになった。日曜の朝刊トップにはジュリアンの写真入りで記事が掲載される。
  ジュリアンを追って刑事がカララ商会を訪れる。ビルの管理人を伴いエレベータでジュリアンのオフィスを調べに。おかげでジュリアンが閉じ込められていたエレベータも動き出し、無事ジュリアンは脱出、社外へ。そうする間にビル管理人が社長室で社長が死んでいるのを発見。
  ジュリアンは自分が警察に追われているとは知らず、カフェへ朝食に。事件を知っている店員が警察に電話し、間もなくジュリアンは連行され厳しく尋問される。
  新聞を見てジュリアンが犯人じゃないと確信したフロランスは、彼を救おうと、ベロニカのアパートを捜し出し訪れる。そこには死に切れなかった二人がいた。彼女が警察に通報している間に、ルイはモーテルで頼んでおいた写真のことを思い出し、証拠を隠すため取り戻しに行く。バイクで出かけるのをフロランスも車で追う。
  モーテルにはまさに現像中の写真があった。が、既に刑事がいて即、ルイはご用。それを追って入ってきたフロランスは真犯人が捕まり、安心する暇もなく刑事に別の写真を見せられる。そこにはジュリアンと写っている自分がいた。ジュリアンのベンカー殺害容疑は晴れたが、新たにカララ社長殺害容疑に切り替わったのだ。

感想:Miles Davisが音楽を担当しているということで名前だけはずっと前から知っていたが、初めて見ることができた。邦題がどぎついので印象的だったから覚えていたのだろう。原題を直訳しても”断頭台へのエレベータ”だから大差ない。二流ホラー映画じゃないんだから。しかし中身は題名以上の内容。ホラーではなく、完全犯罪を企て、それが失敗するというミステリー。
  モノクロ映像とフランス語とジャズ。これがすごくマッチして雰囲気が出ている。
当時のフランスのエレベータのドアはスライド式でなく取っ手付きのスイング(開き戸)式で妙だった。管理人が止めたエレベータに閉じ込められてしまうという間抜けな設定だが、降りるフロアにちゃんと止まらず、ずれて止まったのも変だ。
  社長の殺害は19:30頃だったが、外はまだ明るかった。陽が長い季節なのか、明るく見えただけなのか?ジュリアンのオフィスの時計が面白いデザインだった。縦置きで日めくりカレンダーのように上に”時”、下に”分”が刻まれるだけなのだ。


更新日: 00/04/28