映画 Charade  

日時:2000.07.10 26:25 - 日本TV放送・麹町名画座より(1963年 アメリカ作品)
キーワード:パリ、大使館、CIA、OSS、レジスタンス、ナチス、切手

内容:
  走行中の列車から死体が放り出された。ヘンリー・マンシーニの音楽に合わせて、スパイ映画を思わせるオープニング。

 一転、スイス(?)のスキー場。レジーナ・ランパート(Audrey Hepburn)は友人のシルビーとその悪戯息子ジャン・ルイとバカンスに来ていた。夫はいるが離婚の危機。バカンスにも同行していない。
 パリの自宅に戻ったレジーナは、家財道具が一切合切なくなってしまっているのに驚く。そこに警視庁のグランピエールが現れ、夫の死を知らされる。冒頭、ボルドー鉄道の線路脇に捨てられたのが夫であった。夫は僅かに旅行バッグを残しただけであった。不審なのは夫がパスポートをいくつも持っていたこと。しかも、彼女に内緒で家財を全て売り払い、南米へ渡ろうとしていたこと。その売却額は25万ドルになるという。その金の行方も不明だ。
 夫の葬儀の席に、見知らぬ男が3人訪れる。彼らは彼女に、金を渡せと言うが全く心当たりはない。
 その後、アメリカ大使館のバーソロミューに呼び出され、夫がアメリカCIAから追われていると聞かされる。容疑はアメリカの財産を盗んだこと。彼女にその金を返せと言う。更に、夫の本名はチャールズ・ボスだと知らされ、第二次大戦中の1944年に撮られたという写真には夫と共に、葬儀に来ていた3人の男(テックス・ペンハロー、レオポルド・ギデオン、ハーマン・スコービー)の姿も写っていた。バーソロミューがいうには戦時中、ナチスに対抗するレジスタンスに対して、アメリカから25万ドルの資金が運ばれることになっていた。それを担当したのが夫たち戦時諜報組織(OSS)であったが、彼らはその金をネコババして隠し、強奪されたことにした。が、戦後それを掘り出した夫は仲間と山分けもせず一人占めしていたのだ。
 3人の男達は彼女が泊まるホテルにも居座り、手掛かりを探ろうとしていた。が、彼女には全く心当たりはない。そこにスキー場で知り合ったピーター・ジョシュアと名乗る男(Cary Grant)が現れ、レジーナはほっとするが、彼の言動に不信感も。彼はOSSの一員で既に死んだとされるカーソン・ダイルの兄アレキサンダーだと言ってみたり、泥棒アダムだと言ったりと、嘘が多い。カーソンに兄はいないと、バーソロミューに聞かされ、アレックスに問い詰めると、実はアダムだと名乗るという具合。彼女は彼に心を寄せてはいるが、信じきれない。
 そうするうちに、3人の男達が不審な死を遂げていく。シャンゼリゼ公園で開かれていた切手市でピンときたレジーナは、夫が残した彼女宛ての未投函の手紙に貼られた切手をジャン・ルイにあげてしまったのを思い出し、ジャン・ルイを探す。夫は25万ドルを切手に換えて彼女に残したのだ。その3枚の切手は時価では相当の価値があった。ジャン・ルイはその切手を市で収集家と交換していたが、彼はその価値を知っていたので快く返してもらえた。
 戻ったホテルでは3人目の男が「DYLE」と書き残して死んでいた。殺人犯がアダムだと知ると今度は自分の命が危ないと直感し、大使館のバーソロミューに助けを求める。地下鉄で彼に合いに行くところで、アダムが彼女を追う。この追いかけっこがスリルがあって、見所の一つ。アダムも自分の切手を狙って追いかけているものと思い込んでいたから必死だ。彼の追跡を受けながらも、バーソロミューとの待ち合わせ場所に辿り着く。が、そこで大どんでん返し。大使館員だと思っていたバーソロミューは偽者で、死んだはずのカーソン・ダイルであった。次々に仲間を殺害し、ついにレジーナの切手を突き止め、奪おうとしたのだ。彼女を追いかけていたアダムと撃ち合いになるが、再び彼女を含め無人の劇場で追いかけっこが始まる。アダムの機転で、危機一髪でカーソンが死に、彼女は助かる。
 明くる日、夫が盗んだ金を返すために彼女は、アダムと共にアメリカ大使館を訪れる。大使館員の部屋に一人で入った彼女は、そこにアダムがいるのに驚く。彼の本名はブライアン・クルックシャンク。彼はCIAの諜報員でもあったらしい。金を奪うために追っていたのではなかったらしい。

感想:
 サスペンスドラマの中で大人のオードリーの魅力が見られる作品。年をとっても彼女のオーラは変わらない。モノクロ時代の少女っぽさを残しながらも、大人の女性になっている。
 金をめぐって殺人も起きるサスペンスであるが、Cary Grantとの恋愛や、コメディの部分もあり単調な作品になっていない。Caryがスーツのままでシャワーを浴びるシーンは笑った。また、地下鉄でのCaryとのチェイスは監督の腕の見せ所。スリルある映像になっていた。
 Caryが名前を次々に変えて、彼女に名乗る場面も味噌。「ミセスxxは?」と彼女が聴くと彼が「別れた」と答えるのが決まり。エンディングでも同様に彼女が尋ねると、今度は「いる」とも「別れた」とも答えず、別の言葉で結婚を申し込む。



更新日: 00/07/15