映画 The
Slingshot
♪日時:2001.01.21(sun) 15:00 - NHK教育放送(1993年
スウェーデン作品、邦題:「イノセント・ライフ」)
♪キーワード:鼻、社会主義、ユダヤ、コンドーム、モデル、自転車
♪内容:
鼻の判創膏がトレードマークの(?)ローランド少年(小学高学年くらい?)の多感な時期の記録。
舞台美術などから想像するに時代は第二次大戦の前後頃だろうか?
ローランドの家族は、
・社会主義者で革命家気取りの父。座骨神経痛のせいで松葉杖なしでは歩けない。
・ロシア系ユダヤ人でロシアから逃げてきた母。父と同様勇敢な主義者。違法なコンドームを貧しい町の人に密かに配っている。
・ボクシングで父の期待も大きい兄。ローランドはその練習台にされ、鼻を怪我することも度々。
ある日、国王の肖像画のモデルの求人広告を見た父が採用試験に出掛ける。まだ残る封建社会に文句をたれる父であるが、まんまと合格し、モデルとして宮殿に通うことに。
またローランドは欲しくてたまらない自転車を買ってもらえない。ある日友達の壊れた自転車を直したのをきっかけに、その自転車を後払いで手に入れる。その代金は友達が回してくれる自転車修理の仕事の修理代で払うことに。
手先が器用で商才もあるようで、母が密かに町の女性たちに配るコンドームを風船にしたり、パチンコ(チーンジャラジャラではない)に仕立て、それを売って小遣いを稼ぐ。しかしコンドームは当時のスウェーデンでは禁制品。見つかったら捕まる。母に咎められ、母の身に危害が及ぶのを心配し反省する。
学校では先生との相性が悪く、反抗して廊下に立たされたり、尻を打たれたりとろくなことはない。
ある日突然、我が家に警察が。コンドームのせいだと感じたローランドは転用したそのゴムの証拠隠滅をはかる。しかし警察の本当の用は自転車の件。実はローランドが修理したり塗装を塗り替えていたのは盗難車であった。少年は事実を知らず犯罪を意識することもなかったが、仕事を回していた友達が捕まったのだ。一時、留置所に入ることに。運が悪いことに彼は学校の卒業を待って教護院(更正院みたいな所だろう)に送られることになった。卒業の日、担任教師に大人になったら教師だけにはならないと捨て台詞。
教護院に行く日、既にロシア人医師の治療で歩けるようになった父は、そんなローランドを力強く励まし、見送る。
彼と同様の身の上の少年達とバスに揺られ、教護院に到着。早速、湖(池?)でシラミ対策の洗濯、洗体。そこで見付けた蛙と一人湖に入るシーンで映画は幕。
♪感想:
結末は決して明るいとは言えないが、時代背景が感じられるとしても全編通して暗さはない。豊かな家庭ではないが不幸ではない。様々なシーンで笑いを誘うほど。
多分ユダヤ人の母は迫害を逃れるためにスウェーデンにやってきた。国民は貧しく、それに反発するように父は社会主義に傾倒。躾には厳しいがローランドにとっては頼もしい両親。主義者の集会に警察が踏み込んで乱闘になるシーンもある。記憶が確かなら今でもスウェーデンは王制国家だと思うが、最近はエリクソンなど携帯電話などの分野で世界の先端を行く、IT王国とも言える。また同じ北欧ではお隣フィンランドのノキアも携帯利用では先進国である。
スウェーデンが生んだ発明家エリクソンは多分、その国際企業エリクソンと関係が深いはずだ。面白いのは少年が近所で見付けた蛙にエリクソンと名付けて可愛がっていたこと。また、留置所で同じ囚人に教わったシラミを撒くことで、そりの合わない先生に復讐するのも。
終わりの方で少年が母親にこう尋ねる場面が印象的。自分は一体何人(なにじん)なのと。息子に母は言う。人間はなりたいと思った人間になれるのだと。少年が先生に反抗したりするのもユダヤ人の血を引いているとか、両親が社会主義者だからとかいった蔑視や偏見を幼いながら実感していたからだ!
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更新日: 01/02/27
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