映画 The
Rose
♪日時:2001.02.20(tue) 26:25 - 日本TV放送(1979年
米国作品)
♪キーワード:女性ロックシンガー、スター、ツアー、マネージャ、故郷
♪内容:
1960年代後半一世を風靡した、伝説の女性ロックシンガー、Janis
Joplinをモデルにしたと言われる映画。主役は"The Rose"と呼ばれるシンガー(Bette
Midler)。大スターとしてアメリカ全土を飛び回る日々に疲れ、悲劇的な最期を迎えるまでの短い人生の末期に焦点を当てている。
ローズは赤い薔薇と"The Rose"のロゴの入ったツアー専用機で飛び回っていた。ある日、NYに着いた彼女は身も心もボロボロの状態。酒浸りでまともに歩けもしない。マネージャのラッジに一年間の休養を願い出る。彼女を大スターに育て上げたマネージャとしてはここでの休暇は命取りだと考えていた。彼には世界ツアーも視野に入っていた。記者達を事務所に呼んでの会見の席で彼女は故郷フロリダ(Janisはテキサス出身)での公演後、休養に入ることを勝手に宣言。ラッジもあきれるが、それほど彼女は追い詰められていた。
その夜のNY公演前も楽屋で一人酒を飲み、ステージに向けて必死で自分を奮い立たせようとしていた。そんな状態だから舞台でも自然に汚い言葉が増える。コンサートは無事終了。その足でラッジと二人でカントリー歌手ビリー・レイに会いに行く。わざわざヘリで。彼女はビリーの曲をステージでも歌うこともあるほど、彼を尊敬していたが、そこで彼女は親子ほど年の違う彼に、面と向って自分の歌はもう歌わないでくれと頼まれる。解釈が違い過ぎると。ショックを受けた彼女は一人逃げ出し、たまたまビリーを待っていたリムジンに勝手に乗り込み借り切ってしまう。運転手ヒューストンとすぐに意気投合。二人でNYで昔住んでいたアパートに入っているオカマ・バーにお忍びで訪れる。ローズの来店を知り、店のショーガール(?)達は彼女を舞台に連れ出し歌わせると店内は大いに盛り上がる。そのまま盛り上がったローズとヒューストンは彼女の泊まるホテルへ。おかげで翌日のスタジオ・セッションに遅れた彼女はラッジに猛烈に叱られる。彼女の我が侭にラッジとの関係も徐々に悪くなっていく。
ローズのステディとなったヒューストンはツアーにも同行。ほとんど紐状態。
故郷フロリダへ立つ前夜、ステージが終わった楽屋裏にローズの旧友サラが。ローズと彼女のただならぬ関係を目撃してしまったヒューストンは激怒してローズと大喧嘩。彼はどこかへ姿を消してしまう。
フロリダ公演当日。ローズはボディガードの若い元空軍兵マールに車を運転させ故郷を走らせる。故郷には苦い思い出があった。実家の前も黙って通り過ぎるだけ。ヒューストンが去り、かねてからの願いである「故郷で自分を見せたい」のを実現するその日でも彼女の精神状態は更に不安定。しかも悪いことに、会場のスタジアムに到着した彼女にラッジは公演は中止、彼女との絶縁宣言を一方的に告げる。彼女の我が侭ぶりに仏の顔も三度という状態。
更に絶望の淵に突き落とされた格好の彼女の前にヒューストンがひょっこり姿を現す。二人はメキシコを目指し車を走らせる。途中で寄ったバーで一悶着。昔彼女が初めて歌った場所だというので店に入るが、客の一人が彼女の秘密の過去を匂わせる言葉を発したのを聞いたヒューストンが切れて喧嘩に。再び彼は姿を消してしまう。行き場を失い茫然自失となった彼女に古い知り合いが麻薬を渡す。一時は中止を宣言したラッジからスタジアムに戻るように連絡を受けたローズは一人ハンドルを握り、卒業した高校の前まで来て公衆電話からラッジと連絡をとる。すぐに迎えに来るようにと。迎えを待ちながら、電話ボックスの中で薬と酒を飲む。実家の両親にも電話。
なんとかヘリでコンサート会場に到着。ホームタウンのファンに遅参を詫びる。しかしステージ前から彼女の様子はおかしかった。一曲歌い終わった後、初めて覚えたという歌を口ずさみながら突然彼女は倒れ、この世を去る。
♪感想:
華やかなショービジネスの頂点に立つ者ならではの悩み苦しみ。
時代背景を伝える描写がいくつかある。ヒューストンと出会って最初に訪れたレストランでは彼女の衣服に驚いた店主に入店お断りと言われる。彼女の格好は所謂、当時ヒッピーと言われる若者達の装いであった。年長者たちには煙たがられていたらしい。また、ヒューストンが運転する車のラジオからはベトナム戦争を伝えるニュースが流れる。そのヒューストンも実は軍曹で、休暇終了後も帰隊せずに運転手なんかをやっていた。軍隊しか知らない彼も、当時アメリカ全土で厭戦気分が盛り上がる中、兵隊をやめたかったに違いない。そんな時代だから「セックス、ドラッグ、ロックンロール」と舞台で叫ぶ彼女が若い世代から支持されたのかも知れない。映画ではローズはステージの上で死ぬことになるが、Janisのほうはホテルで死んでいるのが発見されたらしい。薬が原因らしい。多くのビッグなミュージシャンが辿る、お決まりの末路。
1960年代後半では私は産まれたばかりの頃であるから、Janisをリアルタイムには知らない。しかし、洋楽に興味をもち始めた10代には彼女の伝説を知るようになる。今、手元にあるJanisの二枚のCD(「Cheap
Thrills」'68年、「I got dem ol' kozmic blues again mama!」'69年)はロックンロールというよりはブルース色の濃い曲がほとんどだ。この映画はJanisの映画というよりはBette
Midlerのライブ・ビデオと捉えたほうがよいかも知れない。いい曲が多く音楽映画としても十分楽しめる。
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更新日: 01/02/23
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