映画Natural
Born Killers
♪日時:2001.10.13(sat) 14:50 - スター・チャンネル(スカパーCh.315)(199?年 米作品)
♪キーワード:連続殺人犯、刑事、TVリポーター、刑務所、インタビュー
♪監督:Oliver Stone
♪内容:
連続殺人犯の男女、ミッキー(ウディ・ハレルソン)とマロリー(Juliet
Lewis)は、マロリーの両親を殺害したのをスタートに50人以上の殺人を繰り返して各地を転々としていた。マロリーに性的虐待をしていた父親、それを見過ごしていた母親はしかたがないにしても、それ以降の殺人は衝動的で、ほとんど理由にならないことが引き鉄となった。クレイジーとしか言いようがない。必ず現場には一人だけ証人を生かしておき、自分らの犯罪であることを伝えるように言い残していた。
この衝撃的な事件が報道されるうちに不思議なことに、いつしか2人は世界の若者のヒーロー的存在に祭り上げられていた。過去の凶暴犯と比較してマスコミも彼らを取り上げるものだから、怖いもの見たさか皮肉にも彼らはスターになった。TVリポーターのウェイン・ゲールも視聴率を上げ、自分の番組を売り込むためだけに、彼らを追いかける一人。ウェインも2人に劣らず、ある意味でクレイジーだ。
一方、警察もだまってこれを見過ごしているわけではなく、異常なまでの執着心で彼らを追う刑事がいた。昔、全米を震撼させた殺人犯に母親を殺されていた。当局は余りにも彼らのやり口が滅茶苦茶で、相手が警官であろうが殺しまくる凶暴さに手を焼いていた。
そんな2人もついに逮捕される日がきた。ガラガラヘビに噛まれて、血清を求めてドラッグストアに来たところで、先の刑事らと銃撃戦となる。
1年後、刑務所で服役中のミッキーに、ウェインが独占インタビューへの出演依頼をしに来ていた。ミッキーはこれを承諾し、スーパーボウルの日曜日、その試合後に生中継が始まった。所長(Tommy
Lee Jones)らが見守る中、ウェインが直接、ミッキーにインタビューする。
その途中、ミッキーの発言に刺激されたか所内で突然、暴動が起こる。インタビューは中断。所長ら所員が暴動を鎮静させるために、その場を離れた後、ミッキーは残った看守たちから銃を奪い脱走を図る。ウェインやカメラスタッフを引き連れ、暴動と脱走シーンを中継しながら、人質の看守を案内にマロリーの独房に向かう。
マロリーの独房には先の刑事が来ていて、ミッキーと銃撃戦となる。刑事を殺害し、2人は1年ぶりの再会を果たすと、脱走を始める。ウェインもこの究極の状態に正気を失い、看守たちに銃を向け、ミッキーらの脱走を補助する。暴動はますます激しくなり、所長も逆に逃げ場を失うほど。所内は戦場と化していた。
ついに脱走を果たした2人にはウェインだけが連れ添っていた。最後までカメラを回し、実況し2人の言葉を拾う。しかし用がなくなったウェインは命乞いも虚しくカメラの前で殺される。
♪メモ:
先週に見た”Any given Sunday”とは全く異質の映画である。同じ監督作品とは思えないほどのギャップ。TVのチャンネルを次々に切り替えるように、推移する映像。アニメやCGも使うと思えば、コメディドラマ仕立ての場面もあったり、モノクロ時代のTV番組風の場面もあったりと支離滅裂ぶりが、まさにクレイジー!
ミッキーがTVで流れる映画を切り替えて見ながらこんな台詞を言う。「よくこんなくだらない映画を作るものだ。ハリウッドはロマンを失った」と。きっとこれは監督自身の言葉であろう。
この作品自体が、セックスと暴力ばかりのハリウッド映画への痛烈な批判ともとれる。犯罪者をある種のヒーローに仕立て上げるマスコミへの批判もあるだろう。刺激的な話題を求める消費者と、それを面白可笑しく伝えるメディア。当事者でなければ犯罪も、単に消費されるだけという現代社会のいびつさ。
そして今、世界はテロとアフガニスタンの空爆を安全な場所でTVを通して見ている。人間とは当事者になってみなければ分からない無責任で、愚かな存在なのかもしれない。
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更新日: 01/10/13
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