映画 秘密  

日時:2001.01.27(sat) 15:00 - TBS放送(1999年 日本)
キーワード:バス事故母娘ラーメン、運転手の息子、憑依、結婚
原作:東野圭吾

内容:
 娘の体に死んだ妻の人格が移ってしまったことで起きる家族の不思議な体験。
 スキーバスの事故で同乗していた母娘が重体で病院へ担ぎ込まれる。母親(岸本加世子)の体は死に、娘(広末涼子)は命を取り留めるが、その人格は娘のものであった。カップ麺を開発している会社員の夫(小林薫)はその事実に戸惑うが、娘の体をもつ妻との奇妙な夫婦生活が始まる。妻の人格である娘の体は家庭では妻として勤め、高校生として学校にも通うことに。
 しかし、なかなかうまくいくものではない。夫は姿こそ娘だがそこに妻を見ているのだから、性生活にも支障が。娘の顔を見るとどうしても気持ちが引いてしまう。
 娘である妻は医大に進学。ヨットのサークルに入ると夫も気が気でない。大学の先輩からの電話も気になる。妻は自分宛ての電話が夫に盗聴されていると知ると自分のプライバシーはないのかと、夫をなじる。勿論夫を裏切るつもりはない。夫も数ある再婚話も断って、浮気すらしない。互いに思い苦しむ日々。
 そんなある日、娘の体に娘の人格が戻ってくる。眠る度に娘と妻の人格が入れ替わるようになる。この現象は次第に、娘の人格である時間が長くなり、ある日、妻の人格が現れたとき、彼女は夫に告げる。もうすぐ自分の意識が娘の体に戻って来れなくなる日が近づいていると。
 二人は昔訪れた岬に出掛け、そこで妻の人格は夫に別れを告げ永遠に去って行く。
 その数年後、娘は夫とも親しい、例のバス事故の運転手の息子(異父)でラーメン屋の店長と結婚することに。結婚式の後、夫は衝撃的な事実を知る。ずっと娘として生きてきたと思っていた彼女は実はずっと妻の人格だったらしいのだ。
 しかし、夫は動揺せず、元妻の新しい人生を祝う気持ちになる。かつて妻のプライバシーを奪って争った後、次第に妻の普通の人間として生きる権利を尊重するように考えるようになっていた。
 そして妻であり娘でもある彼女を奪った形になる新郎は最後に、花嫁の父の儀式という理由で殴られることに

感想:
 今日の東京は大雪。私の住む多摩地区は雪のせいで電波の受信状態も悪く、綺麗な画像で見ることが出来なかったのが残念。
 昔、「転校生」という若い男女の人格が互いに入れ替わってしまうという映画があった(確か大林宣彦監督)が、この作品はもっときわどい。娘の体をしているが人格は妻であるパートナーを夫は以前と同様に独占したくなる。肉体としては死んでいる(戸籍上もそうだろう)が妻であることには違いないのだから。そこに悩みが生じる。しかし夫であるといって妻の全てを支配することはできない。そんな権利はない。夫も次第にそれを理解し、現実を冷静に見ることが出来るようになっていく。
 しかし、もっと苦しんだのが妻の人格。一面では高校生、大学生として、もう一方で妻として生きねばならない。医学を志すようになり新しい目標もできた。しかしこの微妙な夫婦関係が互いを苦しめることをなんとか収束させたい思いで考え付いたのは、徐々に娘の人格が戻ってくると演技すること。娘の結婚式で夫は真実を知らされるが、果たして妻に裏切られたと思ったかどうか?また妻の判断は正しかったのかどうか?
 女優・広末の演技(当時の新人)もまあまあだったのでは?

更新日: 01/01/28