狂言 井杭 <いぐい 〜和泉流>
♪日時:2004.03.21(sun) NHK教育 15:00 - NHK教育放送
♪収録:2004年1月
国立能楽堂。第18回NHK能楽鑑賞会より
♪出演者:
・シテ(算置):野村萬
・アド(某):野村与十郎
・子方(井杭):野村虎之介
♪内容:
少年・井杭は町の有力者・某を訪ねるたびに頭をはられる(叩かれる)ので、清水の観世音に願をかけにいくと、観音様に頭巾をもらったと言う。彼はその授かったという赤い頭巾を懐から取り出して見せる。願掛けの効果やいかに。
某を訪ねた井杭は早速、彼に扇で頭を叩かれそうになるが、その瞬間あの頭巾を被ってみる。そうすると突然、某からは井杭の姿が見えなくなる。そうと知った井杭はおどけてみせる。日頃、頭をはられることの仕返しができるぞ。
算置が登場(金色の長いヒゲ。頭巾を被る)。腰の袋から算木を取り出す。この算木を使って占いのようなことをするらしい。早速、占ってみると某の左に井杭がいると出た。ばれたと思った井杭は、算置の右に移動。また占うと今度は自分の右にいると出た。某が井杭に迫ってくるので思わず、2人の間に座る井杭。次に2人の隙を突いて算木を隠す井杭。算置は某が算木を隠したのではないかと迫る。戸惑う某を笑うように、井杭は彼の背後から一本一本算木を投げ出す。次第に2人の間が険悪に。井杭の悪戯はエスカレート。2人の大人の鼻や肩を叩く。井杭の悪戯と知らない二人はついに争い始める。少し悪戯が過ぎたと思った井杭は自分はここにいると言って、頭巾を脱ぐ。姿を現した井杭は「許してくれ」と言って逃げる。大人らは「やるまいぞ」と繰り返して、逃げる少年を追いかける(揚幕へ)。
♪感想:
子方の井杭を演じる虎之介くんの名演。頭巾を被ると透明人間になってしまうというSFチックな作品。それを使って悪戯をするところが狂言らしい。悪戯が過ぎて大人が喧嘩するのを見て、反省するのも子供らしい。愉快な演目である。
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更新日: 04/05/24
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