狂言 末広かり   <和泉流>  

日時:2003.07.20(sun) 15:00 - NHK教育放送
収録:国立能楽堂。第17回NHK能楽鑑賞会より
出演者:
・シテ・果報者:野村万作
・アド、太郎冠者:野村萬斎
・アド、スッパ:野村万之介
・笛、小鼓、大鼓、太鼓


内容:
 烏帽子をつけたシテが”大の果報の者”と自らを語る。太郎を呼びつけて都へ行って「末広がり」を買って来るよう言いつけられる。「末広がり」が何かも知らないまま太郎は初めての都へ心躍らせて出発。スッパが登場し、太郎を見つけると田舎者に違いないと素性を見破る。からかってやれとばかりに太郎に自分こそ「末広がり屋」であると言う。スッパは一本の唐傘を太郎に渡し、これこそが末広がりと言う。ただの唐傘だと一旦は突き返す太郎であったが、スッパは何やかやと理屈をつけて、この唐傘こそ太郎の主人が求めていた仕様にぴったりであるとして、太郎に売りつけようとする。すっかりこじつけ話に騙され傘を買わされてしまう太郎。喜び勇んで国許に帰る。
 主人に傘を見せると、こんな傘は要らぬとばかりに(都で太郎がしたように)唐傘を突き返す。太郎はスッパが都で彼に語ったのと同じように、これこそ「末広がり」だという話を主人に向かって始める。主人は気が違ったかと呆れる。「末広がり」とは扇のことだと言い、扇子で太郎を打つ。腹を立てそっぽを向いて座り込んでしまう主人。太郎は(橋掛りで)都でスッパが彼に見せたのと同じように、唐傘を広げて手にし、「傘をさすなる春日山・・・」と囃子に合わせて謡う。何度も繰り返しているうちに、その謡いと囃子の調子のよさに機嫌を直した主人は立ち上がると、太郎と一緒に飛び跳ねるほどである。

感想:
 この演目を見るのは2回目。今回は同じ和泉流であるが演者が入れ替わっている。太郎冠者は今をときめく萬斎である。
 知ったかぶりをすると恥をかく、という戒めのお話である。


更新日: 03/08/01