唐船    (とうせん) <四番目物 〜 宝生流>  

日時:2002.07.21(sun) 15:00 - NHK教育放送(国立能楽堂)
出演者:
シテ、祖慶官人:佐野萌
ワキ、箱崎某:高井松男
アイ、太刀持:佐藤融
アイ、船頭:佐藤友彦
子方:4名
笛、小鼓、大鼓、太鼓:各1
地謡:8名


物語の舞台:
九州・箱崎

内容:
  ワキ登場し(武人の体)、名乗ったあと、太刀持(部下)を呼び、祖慶官人(かんにん)にいつものように野飼いの牛馬の世話をさせるよう指示する。
 橋掛かりの中ほどに船の作り物を手に、船頭が登場。続いて唐人役の二人の子方が登場。二人は祖慶の子で、中国から日本に向かおうとしている。そのわけを互いに語る。宝物を船に積んで、日本へ行き、引き換えに父を連れて帰ろうというのだ。
 船の帆が上がり、出航。船が日本に着くと、子らは船頭に箱崎の某に引き合わせてくれるよう依頼。
 船を下りた船頭は、太刀持に某との対面を掛け合い、それを某に伝えると、某は対面を許すと言う。
 二人の子らは船を下り、某と対面し、父との対面をお願いする。祖慶は仕事で出かけているから待てと言う。
(ここで、お囃子)
 中国人の祖慶は日本の船との争いのため囚われ、九州・箱崎の某という者の元で働く身となっていた。日本でも二人の子をもうけていた。
 日本の子方二人が登場。少し遅れて、祖慶が登場(彼はすっかり老人の体である。尉面)。牛馬の世話から戻っていたのだ。揚幕の前でこれまでの経緯を語る。一足先に子らが舞台に進むと、父が現れるのを待つ。父は子らに中国に残してきた子供の話をする。
 祖慶は某に、中国から子供が来ていると伝える。そしてその子供らと対面。
 その子らはすぐにも父を連れて帰りたそう。某は祖慶の帰国を許すが、日本でもうけた二人の子は残していけと言う。祖慶は日中の子らの板挟みとなり、思い余って海に身を投げようとする。子らがそれを押しとどめ、それを見ていた某は、見かねて全員での帰国を許す。
(舞台向かって左には船の作り物が置かれる。船頭が船尾に控えている)
 子らが先に船に乗り込み、舳先に2列に座ると、祖慶が乗り込む。祖慶はその喜びの余り、船上で舞う。舞が終わると、帆が上がり出航する。
(子らが先に船を下り、退場を始めると幕となる)。

感想:
 船上での祖慶の舞は、狭いスペースでの動きの少ない地味なもの。変化がない割りに時間が長いため、ちょっと退屈。食後に見たこともあり、眠くなる。船頭の衣装はいかにも唐人風であったが、唐人の二人の子らは、そうは見えなかったような・・。

参考資料:
「能楽ハンドブック」 戸井田道三・監修、小林保治・編(\1,500 三省堂)

更新日: 02/07/27