狂言 雷 (かみなり)<和泉流>
♪日時:2002.09.08(sun) 15:00 - NHK教育放送
♪収録:国立能楽堂
♪出演者:
・シテ・雷:井上靖浩
・アド・医者:井上祐一
・笛、小鼓、大鼓、地謡x3
♪内容:
(お囃子に合わせて医者が登場)
自分は鎌倉で薬師(くすし)をしているが、鎌倉は医者が多く、自分のようなヤブ医者には患者も来ないから、思い切って奥州へ移るつもりであると語る。
彼が謡いながら奥州に向け歩いていると広い武蔵野に出る。(ここで囃子方は退場)
急に天候が怪しくなって、雷も鳴り始める。耳を手で抑えて地に伏せ「クワバラ、クワバラ」と唱えていると、空から雷様が落ちてくる。(雷様は赤い顔の鬼神の面を着けている)
雲を踏み外して落ちたと言う。中風(ちゅうぶう)を患っていたが、地上に落ちて再発したと言う。そのそばで伏せている男が医者と知ると、薬をくれと言う。薬を飲んだ雷が、中風で手足が利かないと言うので、医者は鍼(はり)を打とうと言い、雷様の肩を揉んだあと鍼を打ち込む。初めは痛がった彼だが、鍼のあと肩が上がるようになったと喜ぶ。
次は腰に打つため雷を横に寝かせると、再び鍼を打つ。打たれて泣き言をいう雷だが腰の左右に鍼を打った後は具合が好いので喜ぶ。
このことを雲の上の仲間に話して、皆で礼を言いに来ようと語ると、医者はまた雷が落ちてくるのは敵わぬと、それを辞退する。それで雷は、「では、その代わりに適度な量の雨風をもたらしてやろう」と言う。
(地謡が登場)雷は謡に合わせて舞う。雷鳴を轟かせ、雷は天上へと登っていく(退場)。
♪感想:
雷は古来より、その稲光や雷鳴、落雷の衝撃から恐れられたが反面、雨をもたらすということで雨の恵みの神として崇められた。この狂言では、その擬人化された雷様が雲を踏み外して、地上に落ちてきた。しかも病気を患っているというから、人間的な、より身近な存在として描かれている。
礼を言うために大勢でまた落ちてくると言う雷、有難いがそれは困ると断る医者。笑いを誘う場面である。
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更新日: 02/09/14
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