映画 The Matrix  

日時:2002.10.05(sat) 21:00 - フジTV放送(1999年 アメリカ作品)
キーワード:ハッカー仮想現実AI、救世主、電話

内容:
  20世紀末のアメリカ。ネオ(キアヌ・リーブス)は普段は大手ソフト会社のプログラマとして働き、しかし裏ではハッカーとして暗躍している若者。しかし常々、自分が夢と現実のどちらにいるいるのか分からないという感覚に捕らわれていた。そしてついにその疑問を明らかにするべく歩み始める。、まず彼の目の前に現れたのは伝説的なハッカーで、超人的な運動能力を持つ女性トリニティ。彼女に導かれるように、彼が以前から会いたいと思っていた人物モーフィアスと対面する。そこで彼が知らされた事実は衝撃的なものであった。ネオが現実だと思っていたのは仮想現実であり、全てMatrixによって創出された仮想空間に彼は生きていたのだ。しかも真の現実の時代は2,199年であり、かつて人類はA.I.が率いる機械と戦い、地球を荒廃させ、A.I.が支配する世界にしてしまった。純粋な人類はザイオンという町に住むごく一部の生き残りだけらしいのだ。更にネオが信じられないことに、ネオたちは実はMatrixによって”栽培”されて生まれ育ってきたという。栽培された人間は単にMatrixのエネルギー源として存在するに過ぎないのだ。しかも手の込んだことに仮想の世界を見せられながら。モーフィアスやネオたちは後頭部にプラグが着けられていて、それをコンピュータネットワークに接続することによって、現実と仮想現実(20世紀末)を行き来することができた。
 これを聞かされてネオは錯乱する。モーフィアスたちはそのMatrixからの支配から人類を解放する救世主を探し続けていた。そしてMatrixから見れば体制に反抗するテロリスト集団として、追われる身でもあった。事実、Matrixの手先、エージェントたちが彼らを追っていた。
 人類に自由をもたらす救世主。そこで目を付けられたのがネオであった。ネオは栽培用のカプセルから脱出し、モーフィアスたちの船に乗る。そしてエージェントたちとの追いかけっこが始まる。ネオは船でカンフーの訓練プログラムを後頭部のプラグを通して学び、仮想現実での戦い方をマスターしていく。
 モーフィアスの船には数名の仲間が乗船していたが、サイファーという男は最近エージェントたちと接触し、仲間を裏切ろうとしていた。そしてネオ達と仮想現実へ乗り込んでいったある日、サイファーはまんまと一足先に船に戻り、仮想現実に仲間達を取り残したまま二度と船(現実)へ戻れないようにしようとした。彼に手によって仲間は一人一人命を絶たれていく。
 しかし危機一髪、ネオとトリニティは船に戻れるが、モーフィアスはエージェントに捕らえられて仮想空間に留まっていた。二人は再び仮想現実へと戻り、モーフィアスを救うべくエージェントに戦いを挑む。
 何とかモーフィアスを救出して船に戻ろうとするが、今度はネオだけが取り残され孤軍奮闘する。しかしついに力尽きて心停止。船の方もMatrixの手先のイカ型殺人マシンに襲われる。そんな時、トリニティーはシートに横たわったままの死んだネオに愛を囁く。ネオは白雪姫よろしく彼女の口付けで蘇り、仮想現実の世界では見違えるような強さになって、エージェントを蹴散らす。救世主の出現だ。戦い終わり、船(現実)に戻ったネオの目の前には彼を愛するトリニティーが・・。しかし戦いは終わったわけではない。この後、ネオたちの戦いはどううなって行くのか?

感想:
 既に第2弾の公開が来年6月に予定されているらしい。
 最初は単に未来を舞台にした電脳アクションSF映画だと思っていたが、大間違い。確かに映像表現でも話題になった作品でもある。事実、被写体を中心にカメラ側が回るという描写は、その後CMでもよく用いられるようになった。
 しかし内容はそれ以上に深い。大袈裟に言えば「人間とは何か?」を考えさせられる映画である。また現実とは何なのかとも。モーフィアスは言う。「現実とは五感が感じ取った電気信号にしか過ぎない」と。
 またカンフーや東洋思想も出てくる。「悟りを開けば銃弾なんて交わすほどのもでもない」。
 ある本によればこの映画はサイバーパンクというジャンルのSFに大きく影響されているという。確かにベースとなる舞台(技術?)設定には「ニューロマンサー」的な要素は大いに感じられる。サイボーグよろしく後頭部や体のあちこちにプラグが着いている肉体なども。そして主人公が見知らぬ敵と戦う羽目になることも。
 気に入らないのは、仮想現実の世界から船に戻るには指定された固定電話の電話口に出なければいけない、という設定。携帯電話で船のクルーと連絡をとっているのにも関わらずだ。このシーンは滑稽ですらある。
 アクションシーンについては何ら語ることはない。技術偏重になっていないので嫌味には感じないが。


更新日: 02/11/09