読書メモ

・「民主主義が一度もなかった国・日本
(宮台真司、福山哲郎:著、幻冬舎新書 \800) : 2011.05.17

政権交代後の宮台さんと外務副大臣(当時)との対談。対談だから「日本の難点」よりは理解しやすかったが、ついて行けないところも。宮台氏は喋りすぎ?マスコミは読め。

○印象的な言葉
・日米構造協議(正式には日米構造「障壁」協議)。年次改革要望書。米国の要求を口実に自分たちの権益を拡張しようとする利権勢力がいる
・権威主義(国家主義)←→参加主義(市民主義)
・市場主義(米国)←→談合主義(欧州。再配分主義)
・アメリカ共和党の保守的発想は、アメリカンスピリットがあるのだから、それをスポイルする国家的介入を拒む
・子供手当てや高校無償化は機会の平等を確保する政策。子供手当ては国際標準。多数派の共働き家庭の子育てを支援するのが合理的
・日本には保守はない。あるのは右翼。法を破っても共同体を守るという構え
・グローバル化が個人を直撃する社会的包摂の欠如が問題
・2005年の選挙では民主党には「弱者にしか注目していない」というイメージが付いた。シンクタンクの研究員みたいな奴ら。苦労も知らない。かっこよさそうなことを言う
・小選挙区制で、政党間の権力奪取の政治に変わった
・マスコミの「万年野党」的な思考停止(⇒マス媚び)。ネガティブなことを言うだけなら、批判精神としては正しくない
・教育バウチャー:用途指定クーポン券のため無駄がない。現金支給はバウチャー制度までの過渡的な政策
・陳情は「参加」でなく「依存」
・民主主義のコストは時間と手続き。コストがかかるのが嫌なら独裁者に決めてもらえばいい。(⇒それが理解できない国民では首相はすぐに辞めさせられる)
・「みんな」の反応しだいで態度が変わる、日本人の集合的な行動特性。「空気」
・沖縄米軍基地を大幅に縮小するなら、重武装中立化しかない。基地は日本を守るためではなく、米国の国際軍事戦略のためにある
・世界各地で米軍基地が激減した今、沖縄米軍基地の重要性は増している
・欧州流の「信頼醸成主義」。積み重ねによって何となく醸し出す
・「力の原理」に「美の原理」で抗う
・日本人は原理よりも事実にコミットする傾向がある。事実が変更されると、ほどなく適応する
・靖国問題で外交関係がすぐに崩れるような脆弱な関係
・2005年の日米合意で、日本が米国を助ける「義務がある」という話になっていた。政府も国民に伝えていない
・国内でロビイングやるより、米国にコネクションをつくって、米国に物を言わせればいい

<その他>
・日本の選挙制度は人を選ぶより党を選ぶ仕組み

-目次-
第1章 日本の政治、何が変わったのか?
第2章 日本の自画像
第3章 民主主義の代償
第4章 日本の内と外
第5章 アジアの中の日本
第6章 閉ざされた政治空間
第7章 日本の未来