読書メモ

・「2020年、日本が破綻する日 〜危機脱却の再生プラン
(小黒 一正 :著、日経プレミアシリーズ \870) : 2011.05.30

○印象的な言葉
・現状のままでは、日本財政は2020年までに高い確率で危機的状況に陥る。破綻確率は他の先進主要国より突出
・一旦、市場の不安に火がつくと、それを打ち消すのは容易ではない
・消費税増税をするなら段階的に行なうより、一度に行なうほうが望ましい
・社会保障(年金・医療・介護)がもつ「暗黙の債務」
・社会保障の充実は成長を安定化させ、世代間格差の是正は成長を促進させる。本当の問題は世代間格差
・2020年までに国の借金が家計貯蓄を食い潰す
・社会保障ファイナンスの一元化。社会保障番号制
・国の総予算のうち4割を「国債費」(借金返済)が占める
・金融機関は大量の国債を保有。どこかの時点で国債が大量の不良債権に変わる。金融機関の自己資本が欠損し、金融危機に陥る
・賦課方式:親世代を子世代が支える「ねずみ講」。現役世代から老齢世代への所得移転。世代間格差を生む
・段階的増税や保険料の段階的引き上げは、その間に債務が膨張するため、「つけ」の先送りと同じ。財政問題の先送りは解決をより困難にする
・膨張する社会保障予算は他の政策的予算を圧迫し、成長を担う投資を蝕む(⇒年寄りを長生きさせるために国が滅んでもいいか?それもまたよし)
・増税なしでは「子供手当」の恒久化は不可能。それだけでは人口減少は脱出できない
・「成長重視派」の主張は危うい賭け。成長率が金利を下回るリスクもある
・経済成長と政府の「大きさ」には関係はない
・若い世代は過重な負担を押し付けられ、搾取されている。財政的虐待(⇒親孝行、儒教的価値観から表立った反対ができない)
・「事前積立」により社会保障を補完。今後の高齢化の進展に備えて積み立てる。
・日本の公的年金の財政検証は監査を受けていない
・消費税造成の低所得世帯への逆進性には、社会保険料や消費税などの追加財源で適切な所得再分配をする
・私たちが抱える問題は、人間が作り出したもの。従って人間が解決できる(J.F.ケネディ)
・目的と方針がなければ、努力と勇気は十分ではない(同)

<その他>
・生存中の社会保障提供を保証するが、死んだら償還もせず、相続も認めない個人向け国債。買う人がいるか?

-目次-
第1章 財政破綻はいつ起こるのか?
第2章 債務超過の日本財政
第3章 「埋蔵金」で問題は解決しない
第4章 縮む日本経済、進む世代間格差
第5章 「崩壊する社会保障」の再生プラン
第6章 いまこそ世代間の公平を実現せよ