読書メモ

・「14歳からの社会学 〜これからの社会を生きる君に
(宮台 真司:著、世界文化社 \1,300) : 2010.09.06

○印象的な言葉
・お互い様
・選択肢を知り、それが選べることが自由。選ぶ能力が重要
・@自由(試行錯誤)⇒A承認(他者が認める)⇒B尊厳(失敗しても大丈夫)⇒@の循環
・いい子を演じたり、周りに遠慮して意見を言えないアダルトチルドレン(AC)
・共通感覚がアテに出来なくなった。注意した相手が歯向かってきた時、誰がどれだけ加勢してくれるか分からない。 共通感覚が失われて社会が隙間だらけになった。それをルールで埋めようとしている
・ドイツ、英国、フランスではエリートに任せて尊敬する文化がある。エリートになれなくても引け目に感じない文化がある
・何にも頼れないから、自分の頭で考え、進むしかない
・この世は不条理や理不尽で満ちている
・過去にも子孫を残すことにこだわらない社会があったかも知れない。そうした社会は淘汰されてきた(→残るはずがない)
・期待水準:現実に何が期待できるか。願望水準:心の奥底で何を望むか。現実的になり本当に何を望んできたのかを忘れていく。夢を抱かず傷つかないように、という段階になる。 期待水準が下がって、願望水準まで下がってしまう(→ニヒリズム)
・ケータイ小説を好む者はディープな関係より、ディープな事件を求める
・自己本位というより、自分のことで精一杯になっている。余裕がない
・17世紀の江戸の町は清潔だった。同時代のパリやロンドンは不潔だった。江戸時代、農民は豊かだった。寺子屋は全国に2万以上あった
・近代成熟期は消費社会。賢明な消費者として、自分に合った消費をして生きることが「いい人生」になった
・創造する仕事は、新しいことにどんどん向き合うから刺激的で楽しい。みんながそういう労働をする社会が理想
・仕事での自己実現をする少数のエリート、消費での自己実現をする大多数の大衆が経済を回す
・入れ替え不可能な人間関係
・抜け駆けする大人が得をする現実をメディアが伝えるのを子供が見ている
・著者の師匠:小室直樹、廣松渉、チョムスキー
・デカルト的自由は「思考の自由」
・@誰かに感染して乗り移られる⇒A徹底的にその人の視点から理解する⇒Bそこから卒業して別の誰かに感染する。これを数回繰り返すと自分のスタイルが出来る
・いずれにせよ宇宙は終わる。エントロピー増大の法則によれば。秩序はいずれ無秩序化する。
・自然死か、延命治療の末の死を選ぶか、ちゃんと話し合う
・歴史は一つではない。歴史には主語がある
・SFはもともと社会批評をモチーフとする
・著者のお勧めSF:「地球幼年期の終わり」(アーサー・C・クラーク)、「第四間氷期」、「他人の顔」(安部公房)、映画「未来惑星ザルドス」、映画「THX-1138」
・理想的に設計された世界を生きることは幸せなのか?幸せに生きられるのか?
・絶えず計画を変え続けることが大切。我々は永久に不完全な存在だからこそ、永久に完全さを求めて前に進む

<感想>
・死刑執行人が初めて手を下すときの気持ち、それを指示する法務大臣の気持ち。自分の中の何かを失った気持ちに
・ネットの「あちら側」⇒彼岸
・一方的に価値観を刷り込まれる社会。それが絶対に正しいと信じる人々⇒怖い社会
・この世を神が創ったのならあまりに酷い世界。神はこの世に満足なのか?どうなって欲しいのか?創り損なったのか?

-目次-
まえがき これからの社会を生きる君に
1 〔自分〕と〔他人〕 …「みんな仲よし」じゃ生きられない
2 〔社会〕と〔ルール〕 …「決まりごと」ってなんであるんだ?
3 〔こころ〕と〔からだ〕 …「恋愛」と「性」について考えよう
4 〔理想〕と〔現実〕 …君が将来就く「仕事」と「生活」について
5 〔本物〕と〔ニセ物〕 …「本物」と「ニセ物」を見わける力をつける
6 〔生〕と〔死〕 …「死」ってどういうこと?「生きる」って?
7 〔自由〕への挑戦 …本当の「自由」は手に入るか?
8 BOOK&MOVIEガイド …SF作品を「社会学」する
あとがき いま〔世界〕にたたずんでいるかもしれない君に