LOMO LC-A

lomophoto

世界の各地に熱狂的なファンを持つこのカメラの存在は、以前から気になっていた。
気にはなりつつも、手を出せない。手にしてしまったらきっと夢中になってしまうだろうと思ったから。
今の生活からは考えられないほど多忙な日々を送っていた私は、LOMOを手にしたときに感じるであろう存在の大きさを懸念して購入をためらっていた。何度もオーダーフォームに書き込みながらも取り消したりして。
結局、仕事を辞めるのと同時に注文。そして今現在に至るわけです。

巷では、LC-A=ピンボケ写真。そんなイメージがあるようだ。私も多少はそう思っていたのかも。なにしろ最初に撮ったフィルムを現像して、あまりにも綺麗に写っているので拍子抜けしたほどだったから。室内でストロボも使わずに、こんなに綺麗に撮れるなんて。正直、期待を裏切られたような気さえした。
それから常にLOMOと過ごす日々が続くわけです。使っているうちに、なんでこのカメラに強烈に引きつけられたのかがわかってきた様な気がする。

いつも写真を撮るときに感じること。
例えば夏のある日。ムシムシとして暑苦しい。どこからか聞こえてくる音楽や虫の声。乾いた土の匂い。そんなものは写真には写らないんだよね。当たり前のことなのだが。そんな事を考えながらシャッターを押しているわけだ。

しかし何故かLOMOで撮った写真には、その場の空気を感じることが出来るのだ。とても不思議なことなのだけれど。綺麗に移すだけの箱ではなく、普通のカメラには写せないものまでパックにしてフィルムに閉じこめてしまう。そんな感じ。

カメラに頼りすぎるわけでもなく、また頼られすぎるわけでもない。撮る人とカメラとが、同じくらいの力を出してフィルムがそれを記憶する。そんな関係がとても心地いいわけですよ。

だからこそLOMOは、撮った人なりの写真が出来る。誰が撮っても一緒。そんな簡単で便利なものとはちょっと違う気がする。私が持っているLOMOは、世界で唯一、私だけのLOMO。そんな信頼関係が出来てしまう、不思議なカメラです。




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