デジタル衛星通信の概要 (TNCの周辺)


● (No.226) デジタル衛星通信の概要 (TNCの周辺) (2000年10月21日)
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TNC-505(タスコ電気(株)) について、この TNC は AFSK 1200/2400bps、および
G3RUH形式 9600bps に対応している TNC です。無線機 TS-790 などは初期状態
では 9600bps に対応していませんので、TNC-505 を使って受信できるデジタル
衛星は、AFSK 1200bps衛星では DO-17 に限られます。この衛星に対する通信ソ
フトは、地上で普段使用する 例えば Windows95 対応のフリーソフトの Exterm
で大丈夫です。

[参考]  http://www010.upp.so-net.ne.jp/ja3thl/
      http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/satslisj.htm

しかし、残念ながら衛星DO-17は現在 運用休止中なので、この TNC-505 を衛星
通信で使うとすれば、下に述べるように、 9600bps衛星に対して TNC を KISS 
モードにして、デジタル衛星専用ソフトの WiSP32 を使うことが考えられます。

他に 1200bps衛星には、AO-16, LO-19, FO-29 がありますが、AO-16 と LO-19
は 下に述べる 9600bps衛星と同様に、特殊なプロトコルに従って通信が行われ
ます(下図参照)。 そして、アップリンクは 1200bps AFSK の マンチェスター
コード化された信号、また ダウンリンクは 1200bps PSK(USB) の信号が使用さ
れます。 TNC-505 は、Manchester や PSK にも対応していないのでこの信号を
変調復調することはできません。 この目的のために、オールモードの TNC-555
(タスコ電気)を用意することが必要です。

この TNC-555 は、昔の TNC-241 & TMB965 と同様に、300bps〜9600bps までの
FSK, PSK, CW, RTTY, WFAX, SSTV, JAS などのあらゆるモードに対応していて、
この中の JASモードが、上記の アップリンクが AFSK(Manchester) で、ダウン
リンクが PSK(USB) というモードに対応しているのです。(TNCには 'MODE JAS'
というコマンドを送ります。)

最近は、初めから 9600bps に対応した無線機が市販されていますが、TS-790な
どの無線機をこの帯域幅の広い 9600bps に対応させるためには、無線機の内部
に少し改造を加えなければなりません。 次の文献に、いくつかの無線機の改造
のしかたが写真付きで詳しく解説されています。 注意深い作業が必要ですが、
線材を用意してハンダ付けをすれば 30分程で改造が済みます。 無線機 TS-790
における改造の要旨を、次の URLに解説してありますので参考にして下さい。

[参考]  Satellite Handbook (P.219-234), JA1NVB 飯島進著 (CQ出版社)
      http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/eisei47.htm

通信ソフトは、日本の衛星 FO-29 に関しては、上記の Exterm で大丈夫なので
すが、他の外国の 1200bps衛星AO-16, LO-19 は、下に述べる 9600bps衛星と同
じく、FTL0プロトコル, ブロードキャストプロトコル という通信プロトコルに
従っているので、それ専用のプログラム WiSP32 を使用しなければなりません。
(TNCは自動的に KISSモードに入ります。) このプログラムは、米国の衛星団体
AMSAT-NA が配布しているシェアウェアの WiSP32 です。

衛星 FO-29 は、地上パケット通信と同様に 衛星に一度コネクト(Connect)して
からファイルの読み書きのために F, R, W などのコマンドを使用する、言わば
1対1 対応の(実際は最大16局まで同時にコネクト可能な)システムです。そして
このブロードキャストプロトコルというのは、 衛星と地上局との間の通信効率
をよくするために 一回の送信で複数の受信している局に伝送のできる、言わば
1対多 の放送(Broadcast) のような新しいプロトコルの概念です。

WiSP32 の概念は下図のとおりです。 昔は PB/PG というプログラムも使用され
ていましたが、今や この WiSP32 が世界の標準となっています。 WiSP32 は、
G7UPN / Chris Jackson氏により開発されたもので、GSC, MSPE, MSGVIEW,VIEW-
DIR, MSGMAKER, PROCMAIL, UPDKEPS の 7個のプログラムを柱とする、完全自動
運用を実現する完璧な通信プログラムです。


                           +----------------+
                           |    衛    星    |
                           |ファイルサーバー|
                           +----------------+
                (FTL0-プロトコル)      (ブロードキャストプロトコル)

                                 △  ‖
                                 ‖  ‖
                    アップロード ‖  ‖ ダウンロード
                                 ‖  ▽

 +--------------------------------------------------------------------+
 |                                                     +-----------+  |
 |                  +------------+    +------------+   |MSGVIEW.EXE|  |
 |    +--------+    |UPDKEPS.EXE |    |PROCMAIL.EXE|   |受信メッセ |  |
 |    |エディタ|    |ケプラー処理|←→| メール処理 |   |   ージ表示|  |
 |    +--------+    +------------+    +------------+   +-----------+  |
 |        ↑                ↑            ↑                ↑        |
 |        ↓                ↓            ↓                ↓        |
 |  +------------+      +----------------------+      +------------+  |
 |  |MSGMAKER.EXE|      |       MSPE.EXE       |      |VIEW-DIR.EXE|  |
 |  |送信メッセ  | ←→ | マイクロサット       | ←→ |ディレクトリ|  |
 |  |    ージ作成|      |   プロトコルエンジン |      |        表示|  |
 |  +------------+      +----------------------+      +------------+  |
 |        ↑                       ↑                       ↑        |
 |        ↓                       ↓                       ↓        |
 |  +==============================================================+  |
 |  :                    GSC.EXE 地上局コントロール                :  |
 |  +==============================================================+  |
 +--------------------------------------------------------------------+
                                 WiSP32


衛星の軌道計算ソフトには WinOrbit などがありますが、WiSP32 は軌道計算や
衛星の軌跡を表示することと同時に、衛星からのデジタル信号を リアルタイム
で解読することを主な目的とした、総合的な デジタル衛星通信用プログラムと
いえます。 しかし、インストールと操作方法に難解なところがあるので、下記
の私のホームページの各所で 詳細に解説してあります。 WiSP32 の入手方法と
レジストレーション(登録番号) の申請方法については、次を参照して下さい。

[参考]  http://www.ne.jp/asahi/hamradio/je9pel/whatwisj.htm
      http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/numbr166.htm
      http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/numbr189.htm

この WiSP32 は、他の 9600bps FSK 形式の多くの衛星 UO-22, KO-23, KO-25,
TO-31 などにも使用します。これらは、9600bps FSK KISS モードで運用されて
いるデジタル衛星の主流です。これらの 9600bps衛星にも、上記の TNC-555 が
対応しています。現在、衛星 UO-36 で実験されている 38K4(38400)bps よりも
高速の衛星が、今後多く現れることでしょう。

ドップラーシフトによる無線機の受信周波数の TNC からの自動コントロールは
PSK波については、無線機と TNCを結ぶケーブルを自作することによって、AFC
(Automatic Frequency Control)の機能が可能になります。 (TNCには 'AFC ON'
というコマンドを送ります。) 1200bps衛星 AO-16, LO-19 に対して有効です。
TS-790 と TNC-241 間のケーブル作成方法を、次の URL に解説してあります。
なお、PC から他のインターフェースを介して周波数を制御する場合には、この
ケーブル自作は必要ありません。

[参考]  http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/eisei7.htm

FM波の送信受信の周波数の自動コントロールは、TrakBoxというハードウェアを
使用すると可能で、さらにアンテナの自動追尾もこなすということです。 私は
TrakBox は所有していないので、別の方法で PC によるアンテナの自動追尾を
実現しています。また、1200bps衛星 AO-16, LO-19 における PSK波は、上記の
AFC機能を実現していますが、9600bps衛星 UO-22, KO-23, KO-25, TO-31 など
の FM波に対しては、送受信周波数を手動で追尾しています。なお送受信周波数
の関係には、各衛星ごとに逆ヘテロダイン とよばれる方式に従う衛星や、送信
受信固定の周波数をもつ衛星があります。詳細については次を参照して下さい。

[参考]  http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/eisei15.htm
      http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/eisei17.htm
      http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/numbr224.htm

PICNIC 基板を使用した「新・アンテナ自動制御の導入」、および「新・周波数
自動制御の導入」については、次を参照して下さい。

[参考]  http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/numbr645.htm
      http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/numbr646.htm


                          Antenna
                     /           /
                   /\/       /\/   WHS-32N
                     /\/       /\/
              ZQ-81H   /\/       /\/
                         /\  Rotator/\      +------------+
                            ‖ KR400,500 ‖     || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  +---+
                  ----------‖============      ||          ||  |---|
                  |         ‖                  ||          ||  |---|
        CS500 +-+-+   +----------------+        ||_____||  |---|
        CX232 +-+-+   |  □□      □  |        +------------+  |HDD|
  +-+         |       |       ○       |              ||     ---|   |
  | |   +------+      +----------------+          −−−−−  | +---+
  +-+---|      |          TS-790S  |              IBM DOS/V   |
  HDD   +------+                   |             (486DX2/66)  |
      /     //                  |                          |
     +------+                      |     +-----+              |
     98NOTE-nv                   +---+---|     |---------------
                                 +---+   +-----+       RS-232C
                                TMB-965  TNC-241


> PACSATプロトコルは FSKの一種と考えるべきか.

まず変調方式について、FSKは 振幅を一定にして、変調周波数をデジタルの0と
1に従い変化させるもので、PSKは 変調周波数を0と1に従い位相を0゜と180゜と
変化させるものをいいます。

PACSATプロトコルは、通信を効率的に行なうために アクセスしている多くの局
を時間的に平等に振り分けて、データを細切れに送受信しながら 最後に個々の
ファイルを完成させるような概念のことをいいます。 使用する変調方式は FSK
すが、根本的にこのような概念を PACSATプロトコル といいます。

WiSPプログラムは、軌道計算や可視時刻表示の他に この概念によって得られた
デジタルデータを解読し表示することのできる、総合的なプログラムです。


> PSKを受信する場合は USBを選択するのか、LSBを選択するのか、どちらでも
> ないのか.

送信は LSB、受信は USB とするのが習慣(ルール?)となっています。 TNC241で
は、UP/DOWN出力が LSBを使用することを前提に作られているので、受信の USB
のために、UPとDOWNを逆に接続して AFC機能を有効にするため、TNCと無線機を
結ぶケーブルを自作する必要があったのです。 PCから他のインターフェースを
介して周波数を制御する場合には、このケーブル自作は必要ありません。


> FMとFM-WとFM-Nの違い (WiSPの設定の際、AnalogやPacsatと一緒に出てくる)
> は何か.

'Analog' はアナログ衛星の軌道計算のみを行ないます。 'Pacsat' はその他の
デジタル衛星の設定の時に選択します。 そして、C:\WISP\ 内に ディレクトリ
を自動的に作成し、他に General, MSPE Settings, Scheduling, Frequencies
などの設定もここで行います。

この Frequencies の Mode設定の中に、FM, FM-W, FM-N がありますが、WiSPに
よる インターフェースを介す周波数制御に影響を与えると思います。おそらく
W は Wide、N は Narrow のことと思いますが、どのような違いがあるかは実験
をしてみないとわかりません。


> WiSPとTNC-555はどう関連付けられるのか. (TWT-Termのように、表示がWiSP
> のどこかに出てはじめてコネクトするのか, 電源を投入すれば勝手につなが
> るのか)

まず、ExTermなどの通信ソフトを使用して、事前に TNCの HBAUD(外部モデムの
通信ボーレート)と ABAUD(RS-232Cの通信ボーレート)を設定します。 そして、
WiSP(GSC) の Satellite Setup の中の、TNC Settings の Speed と Uplink の
通信ボーレートも、これと同じ数値に設定しておきます。

COMポートも正しく設定しておくと、MSPE が立ち上がった直後に 画面の右上の
窓に、Initialising your TNC-2 TNC. というメッセージが表示されます。

なお、ABAUD の値は HBAUD の値の二倍にしておくと、PCへの信号の通りがよく
なるようです。(例: HBAUD 9600bps, ABAUD 19200bps)


> KISSモードや PACSATプロトコルなどは、TNC-555では特に何もしないでも、
> WiSPの方で勝手に解読してくれるので良いということなのか.

通常は、TNCを KISSモードにするには、KISS ON, RESTART というコマンドを送
らなければならないのですが、WiSPでは、MSPEが立ち上がると同時に 自動的に
TNCを KISSモードにし、衛星通信に必需の FULL DUPLEX(全二重) にもします。
MSPEを閉じる時に、自動的に KISSモードから抜けます。

また、上記のように、WiSPそのものが PACSATプロトコルに対応している専用の
プログラムなのです。


> WiSP(GSC) において、
> GSC - Setup - Station Setup - Rotator - Interface - Type
> の設定の中に、TrakBox, EasyComm, DDE などのインターフェースを設定する
> 項目があるが、この設定は有効なのか.

WiSP 本体だけでの設定では、ローテーターインターフェースは動作しません。
しかし、プラグインである WiSP-DDE をインストールして、例えば IF-100 を
設定すると、コントローラー KR-5600Bなどが制御できます。ここで、WiSP の
本体の方では、DDEを設定します。


> BroadcastコールサインとBBSコールサインはどちらもあるもの、ないもの、
> 片方しかないもの等まちまちですが、これはその衛星がその機能を持ってい
> たりいなかったりとまちまちであるからなのか.

衛星DO-17や SO-33ではコールサインが一つしかありませんが、これらの衛星は
PACSATプロトコルではなく、衛星からは テレメトリを送信しているだけなので
コールサインを意識することなく、WiSP以外の他の通信プログラムで 受信のみ
可能です。

日本の衛星FO-29もコールサイン(8J1JCS)が一つですが、この衛星のみ地上RBBS
と同じ概念で利用できます。つまり コネクトするという概念で、F, W, R など
のコマンドが使われます。

他の AO-16, LO-19 などの1200bps衛星や、KO-22, KO-23, TO-31 などの多くの
9600bps衛星は、すべて PACSATプロトコルの概念に従っています。 Broadcast
コールサインは、衛星からのブロードキャスト信号を自局側で受信し 表示する
ために必要で、BBSコールサインは、衛星にファイルの送受信をする時のために
必要なものです。


> 衛星AO-16 に、cmd:c を送ったりしていたら、'PACSAT-1>STATUS:-7' という
> ような信号を受信したが、これは何なのか.

一般に 衛星とのやりとりに、コネクト(CONNECT) するとかディスコネクト(DIS
CONNECT)する、という概念はないことに留意して下さい。 いわゆる地上のRBBS
でよく使う CONNECT, READ, WRITE などのコマンドは一切使用しません。

では どのような概念で、実際にどのようにして衛星とアクセスするのかという
ことですが、「PACSATプロトコル」という言葉に注目して下さい。 PACSATプロ
トコルとは簡単に言うと 通信を効率的に行なうために、アクセスしている多く
の局を 時間的に平等に振り分けて、データを細切れに送信受信しながら多くの
ファイルの完成をしていきます。これを衛星のパスの通過ごとに行います。

つまり衛星の飛来ごとに、アップロード(地上局-->衛星)ならば衛星側にデータ
を蓄積し、ダウンロード(衛星-->地上局)ならば自局側にデータを蓄積していき
最後に個々のファイルを完成させる、という概念です。 ダウンロードでは衛星
からの UIフレーム、テレメトリ、ファイルデータなどが(TV放送のように)自動
的に自局に取り込まれます。

これには、'PACSAT-1' のように衛星ごとに決まったサインを感知した地上局側
が、今度は衛星に自局のコールサインを自動的に衛星に送って 衛星と地上局と
のコンタクトが成立し、上記の PACATプロトコルに従って 送信受信が自動的に
行われます。 衛星を観測している多くの地上局が、その衛星のパスごとに同時
に (若干の時間差を取りながら)これを一斉に自動的に行なうのです。

これを実現するのが、デジタル衛星通信 専用のプログラム「WiSP」なのです。
正しく GSC に設定がしてあると、人間がコンピュータの前にいなくでも、衛星
が飛来した時に 自動的に MSPE が立ち上がり、この衛星とのアクセスを自動的
に行い、衛星が過ぎ去るとまた自動的に MSPE が閉じて、再び GSC の管理化に
置かれ、次の衛星がやって来ると また同じことを自動的に繰り返すわけです。

言い換えると、WiSP以外のターミナルソフトでは、衛星からの UIフレームのみ
を一方通行的に画面に表示するだけで、それ以外のことは何もできないのです。
上記のことを、双方向的に行なうことのできる標準のプログラムは、WiSP だけ
です。 このプログラムは、衛星からの信号を画面に解読して表示させるだけで
なく、自局のファイルのアップロードや 地上局側で指定したファイルのダウン
ロード要求などの操作を 自動的に行なうことのできる総合的なプログラムなの
です。

それには、WiSP(GSC)における衛星の設定に先立ち、最初に自局のコールサイン
(衛星に自局を認識させる際に必要)、および 衛星ごとに決められているBroad_
castコールサイン (衛星からのあらゆる情報を MSPE画面上にデコード表示させ
る際に必要)、そして BBSコールサイン (衛星内部ディレクトリの情報を見る際
に必要)を、まず 正しく設定することから始まります。

ところで 衛星からのテレメトリを取る方法ですが、WiSP(GSC) の衛星の設定の
際に、それを指定する項目があります。これも設定さえしておけば 衛星からの
テレメトリを MSPE が自動的に認識し、自局のHDDの中の所定のディレクトリに
ファイルとして取り込んでくれます。 その受信したテレメトリを解析するため
には、「WISP-TLM」,「TLMDC4」のような別の専用プログラムが用意されていま
すので、それを使用します。 これらは米国の AMSAT-NA から入手することがで
きます。

以上は、日本の衛星FO-29を除く全ての外国のデジタル衛星に共通の概念です。
FO-29のみ、地上パケット通信と同じ概念で、WiSP以外の他の通常のターミナル
ソフトを用いて、C, R, W などのコマンドを使って通信をします。


> MSPEとTNCを繋がないことにはWiSPでメッセージを送ったりすることができな
> いと思いますが、TNCの設定はどうすればいいのか.
> MSPEのTNCの設定欄ではCOMポートの設定をするところがないようだが?
> この設定が上手くいけば、MSPEが 現在使っているターミナルソフトと同じ働
> きができるようになるのか.
> CWであるとかPSKであるとかの選択はどうなっているのか.

WiSP はいくつものプログラムの総称ですが、あくまでも 基本となる柱は GSC 
です。GSC における設定が、MSPE を含む他のプログラムに命令を自動的に下す
のです。

TNC の設定も GSC で行ないます。 MSPE はそれに従って、完全自動で従うだけ
です。 具体的には、最初に各衛星の Setup の際に 衛星ごとに、COM Port や 
Speed を含む他の細かい設定を、次の操作で行ないます。

        GSC - Setup - SatelliteSetup - (各衛星) - TNC Settings

通信モード や、衛星 --- TNC --- PC 間の通信速度は、事前に通常のターミナ
ルソフトを用いて、最初に TNC に設定しておきます。通常のターミナルソフト
を用いるのはこの場面だけで、後は閉じて WiSP に全てを委ねます。

ただし、衛星からの CWビーコンをデコードする時と 日本の衛星FO-29のデジタ
ル信号をデコードする時は、WiSP とは無関係に通常のターミナルソフトを用い
ます。(TNC は、事前にそのモードにします。)  つまり、衛星の CWモードと、
日本の衛星FO-29以外のほとんど全ての外国衛星の デジタルFSK信号(またはPSK
信号)は、WiSP(MSPE) を用いて自動的にその信号をデコードすることができて、
設定に応じてファイルを自動的にアップロードすることができます。

まずは、衛星AO-16 が JASモード[Up:マンチェスターAFSK信号、Down:PSK(USB)]
で、1200bps KISSモード のデジタル入門用の衛星と言われていますので、WiSP
を用いて受信デコード実験をしてみて下さい。 これができれば、他の 9600bps
FSKモードの UO-22, KO-23 などの衛星も 受信デコードできるはずです。 送信
実験は、その後ということになります。

[参考]  http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/furoku49.htm
      http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/numbr182.htm
      http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/numbr214.htm


[補足]

下記URLにおいて、以上の概念を詳細に解説してあります。 上段URLの日本語版
のHPにおいて概念の解説をして、下段URLの英語版のHPには、解説とともに関係
するプログラム類を収めてあります。 参考にして下さい。

      http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/
      http://www.ne.jp/asahi/hamradio/je9pel/


その他、衛星通信全般に関する情報は、JAMSAT のホームページに掲載されてお
り、またJAMSAT会員になってメーリングリストに登録すると、日々 最新情報を
得ることができます。 下記URLを参照して下さい。

      http://www.jamsat.or.jp/
      http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/eisei++.htm


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