衛星UO-14 デジタルループテスト成功!


● (No.197) 衛星UO-14 デジタルループテスト成功! (2000年3月7日)
 --------------------------------------------------------------

 衛星UO-14が、FMレピーターとしてアマチュアに運用再開されていますが、
 本日3月7日(火) 10:15-10:27JST、デジタルループテストに成功しました。

 パケット通信速度は 9600bps、RS-232C通信速度は 19200bps、通信モード
 は FSKに設定し、通常のアナログ運用とは逆に送信周波数(145.975MHz)を
 固定し、受信周波数(435.070MHz)の方をドップラー偏移に対応させました。


 (1)まず、地上用の通信ソフトを用いて次のコマンド(例)をTNCに送り、
    衛星の自動追尾の設定も事前にしておきます。

          MODE FSK
          HBAUD 9600
          ABAUD 19200
          AFC OFF
          X16 OFF
          TXDELAY 70
          DWAIT 32
          FRACK 8
          FULLDUP ON
          MAXFRAME 2
          PACLEN 128
          MONITOR ON
          MCON ON
          MCOM ON
          RESTART

 (2)通信ソフトを、コマンドモードからコンバースモードに変更します。
    つまり、cmd:表示の後に半角 K を入力します。  cmd:K(Enter)

 (3)その後、入力キー(Enter)を推すたびに、TNCは  JE9PEL>CQ:  とい
    うパケットを送信し、衛星のトランスポンダーを介し周波数が変換
    されて、その信号が地上に戻ってきます。

 (4)送信周波数を固定して、受信周波数の方をドップラー偏移に対応さ
    せます。入力キーを推すたびに、音が「ビーーッ」と聞こえるよう
    に受信周波数を微調整します。衛星が地球の近くを飛んでいるので
    ワンテンポ遅れる感じだけで、タイムラグはほとんど感じません。

           JST    Uplink    Downlink
          10:15   145.975   435.076   AOS
          10:18   145.975   435.073
          10:21   145.975   435.070   TCA
          10:24   145.975   435.067
          10:27   145.975   435.064   LOS


 今回、受信周波数の方を繊細に微調整することによって、自局の発射した
 信号を明瞭な信号音として確認することができましたが、コンピュータの
 画面上にそれをデコード表示させることはできませんでした。次回の検討
 課題としたいと思います。



《補足》

 衛星UO-14は、英国のサレー大学が開発した科学実験衛星で、1990年1月22日
 01:35UTCに、フランス領南米ギアナのクールー宇宙基地から ARIANE-IV V35
 ロケットにより打ち上げられました。

 この衛星の開発名は UoSAT-3, VITASAT, HealthSat-1と称され、打ち上げ後
 に UO-14(AMSAT-Oscar-14)となりました。打ち上げ時のメインペイロードは
 フランスの地球資源観測衛星SPOT2で、これに便乗する形でUO-14を含む6個
 のアマチュア衛星UoSAT-E(UO-15), PACSAT(AO-16), DOVE(DO-17), WEBERSAT
 (WO-18), LUSAT(LO-19) が一緒に打ち上げられました。

 UO-14の大きさは 345x345x600mm, 重さは 45kgで、打ち上げ初期の周回では
 平均高度794km, 軌道傾斜角98.6度, 周期約100.7分の太陽同期軌道でした。
 マイクロバス(MicroBus)とアンテナ系の詳細は次のとおりです。


  1. バッテリーモジュール (Battery module)
  2. 受信機モジュール (Receiver module)
  3. 送信機モジュール (Transmitter module)
  4. 電源システム (Power system)
  5. 遠隔命令システム (Telecommand system)
  6. テレメトリシステム (Telemetry system)
  7. オンボードコンピュータ 1802 (On-Board-Computer)
  8. ラムディスク (RAMDisk)
  9. PACSAT通信装置 80C186 (PACSAT Communications Experiment)
 10. 宇宙塵測定装置, 放射線測定装置 (Cosmic Particle, Total Dose)
 11. 姿勢決定装置, 制御系, 安全装置 (Attitude Determination etc.)
 12. VHF単一アンテナ
 13. UHF単一アンテナ (4本)
 14. 重力傾斜ブーム (Gravity gradient boom)
 15. 3軸磁力計 (3-axis Magnetometers)
 16. マグネトルカー (Magnetorquers)
 17. GaAs太陽電池パネル


 衛星UO-14は、1990年1月22日に打ち上げられてから最初の18週間は、アマ
 チュアバンドで「ストア&フォワード」の衛星として機能しましたが、後
 にアマチュアバンドを離れ、VITA (Volunteers In Technical Assistans)
 という団体の主に医療関係の業務通信用として、アフリカへメッセージの
 転送の業務をしていました。

 アマチュア無線業務は、後続の衛星UO-22に 高速デジタル通信として引き
 継がれていますが、UoSATsの管制局の G7UPN / Chris Jackson氏によると
 今回、UO-14の生誕10周年を記念して、UO-14をFMボイスレピーター衛星と
 して復活させたそうです。 (Uplink 145.975MHz, Downlink 435.070MHz)


 参考資料
   http://www.ee.surrey.ac.uk/CSER/UOSAT/missions/uosat3.html
   amsat-bb:30190 (23 Feb 2000),  UO-14 10th birthday present
   JAMSAT Newsletter #124 (20 Feb 1990)


 次のページへ移る.

 ホームページ(目次)へ戻る.