Mercury(水星) 発見?!


● (No.195) Mercury(水星) 発見?! (2000年2月16日)
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《その1》

 2月12日(土)から15日(火)あたりの夕方6時頃、西の空をご覧になって
 下さい。三日月と土星、木星、火星、水星の5個の星が縦一列に等間隔
 になって並んでいるのが見えるでしょう。

 水星は太陽の近くを周回しているので、普段はめったに見ることができ
 ない惑星です。明日2月12日(土)の、惑星たちの位置関係を下に記して
 おきます。

 月の近くの土星と木星は明るいので、すぐ見つかると思います。火星は
 そのもっと下方向に小さく赤く輝いていますので、注視すれば簡単に見
 つけられます。

 三日月のそばの土星と木星の間の距離を1とすれば、その右下 約2.5
 ほど離れたところに、かすかに赤く輝く火星を見つけることができます。

 問題はやはり水星です。その小さな赤い火星よりもっと下の方、真西の
 地面すれすれに小さくいるはずです。運が良ければ見ることができるで
 しょう。

 明日(2月12日)の水没(水星の日没)は 18時29分頃です。太陽が沈むのが
  17時19分ですので、暗くなり始めた 17時50分頃から水没(水星の日没)
 の直前の 18時20分頃の約30分間が、水星を見ることのできるチャンス
 です。


             [18:00JST, Feb 12, 2000, QTH Yokohama]

          D     * Saturn(土星)
        Moon(月)
                   * Jupiter(木星)



                                * Mars(火星)

                                       * Mercury(水星)
      [南西]..........................................[真西]



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《その2》  水星発見
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 タイトルは大げさですが、以前からの念願であった「水星」を眼視する
 ことができました。うれしいですね〜〜。

 きょう(2月12日)も雲一つない絶好の観測日和でしたが、日没(17:19)頃
 の西(富士山の方向)から北(東京方向)にかけての地平線上は、排気ガス
 やスモッグが立ちこめ、初めは「水星」が見えるかどうか不安でした。

 日没後、夕方5時50分頃からやっと周りが暗くなり始めました。南西の
 空高く、ほとんど上弦(半月)に近い月のすぐ右隣りに土星、そのやや右
 下に木星が明るく輝いています。その土星と木星の距離を1単位とする
 と、さらに右下方向の2単位ほどの距離のところに小さく赤く輝く火星
 も見えます。

 まだ辺りが薄暗い程度だったので、望遠鏡でも覗いてみました。土星は
 しっかりと真ん丸の環に囲まれています。いつ見ても自然の神秘ですね。
 神様が作ったとしか思えません。木星を望遠鏡で覗くと、4個の小さな
 衛星が近くに漂っています。ガリレオ衛星と呼ばれる イオ・エウロパ・
 ガニメデ・カリスト の四大衛星です。

 夕方6時00分頃にやっと周りも暗くなってきました。火星から1単位ほ
 どさらに右下の、建物の屋根のあたりに微かに輝く星が肉眼で確認でき
 ました。それが「水星」です。

 望遠鏡でも覗いてみました。火星と同じように赤い小さな点として見え
 ます。よく覗いてみると、左半分だけが輝いている半月状の形をしてい
 ました。望遠鏡では天地が逆さに見えるので、実際は右半分が太陽に照
 らされている英文字のDの形になっています。

 水星は直径約4880kmで 地球の約1/3しかない小さな惑星で、地球からは
 1億km以上も離れています。肉眼では小さな点にしか見えません。夕方
 の6時00分頃に見え始め、6時10分頃には淡い靄の中に沈んでしまいま
 した。わずか10分間ほどの「水星」との初対面でした。

 2月15日(火)に、水星が東方最大離角(太陽と最も離れる)を迎えるので、
 あと一週間ほどは夕方6時頃に、水星を西の空に見ることができます。
 よっぽど惑星観測に凝っているか、オタッキーな人でないと、なかなか
 「水星」は見ることができませんね。

 明日(2月13日)の夕方6時頃の惑星の位置関係を、下に示しておきます。
 眼を暗さに慣れさせ、地平線上15度ほどの上空を凝視してみて下さい。
 条件が良ければ、「水星」を肉眼で見ることができるでしょう。



               [18:00JST, Feb 13, 2000, QTH Yokohama]

          D         * Saturn(土星)
        Moon(月)
                        * Jupiter(木星)



                                    * Mars(火星)

                                           * Mercury(水星)
      [南西]..............................................[真西]



《その3》

 きょう(2月13日)は全天曇りで、星一つ見ることができませんでした。
 『自然は意のままにならぬもの』... 明日以降、また期待しましょう。

 月は地球の衛星なので、日一日と東の方向へ移動していきますが、他の
 惑星は太陽の衛星なので、しばらくの間は同じ時間帯に大体同じ場所に
 見えます。

 水星もあと数日は夕方の6時頃には見ることができますので、明日以降
 も天気の良い時に西の空を凝視してみます。 下に明日(2月14日)の夕方
 の6時頃の惑星たちの位置関係を記しておきます。月は東南に移動しま
 すが、惑星たちはまだ南西の上空にいます。

 『日・月・火・水・木・金・土』 の7個の星のうち、話題に上がって
 いない金星ですが、今は「明けの明星」として夜明け前に東の空に燦々
 と輝いています。

 金星が上り始めるのは、明日(2月14日)の早朝5時30分頃です。 太陽の
 日出は6時30分ちょうどですので、金星が輝くのは早朝5時40分頃から
 6時過ぎまでの約30分間です。



             [18:00JST, Feb 14, 2000, QTH Yokohama]

        D                     * Saturn(土星)
      Moon(月)
                                * Jupiter(木星)



                                          * Mars(火星)

                                             * Mercury(水星)
      [東南]..........[南]..........[南西]..........[真西]



《その4》

 今日(2月14日) は大気の状態が悪く、水星を肉眼で見ることは困難でし
 たが、望遠鏡(8cm屈折赤道儀)では 夕方6時01分から6時18分の17分間、
 小さな赤い水星の姿をとらえることができました。

 水没(水星の日没)の後の夕方6時半頃、南の空を見上げていて、半月の
 すぐ右脇に寄り添うように小さく明るく光る星に気付きました。 後で
 資料で調べると、それは「おうし座」の中の「牡牛の赤目」と呼ばれる
 1等星「アルデバラン」であることがわかりました。

 明日(2月15日)は 半月がもっと東よりに移動するので、この星を見つけ
 るのは難しいかもしれませんが、オリオン座のすぐ右上に明るく輝いて
 いますので、捜してみて下さい。

 ところで、星座に関する写真付きのきれいなわかりやすい解説本があり
 ますので最後に紹介します。興味のある方は読んでみて下さい。



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《その5》  木星の5個目の衛星発見
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 今日(2月16日)、日本海側では大雪のようですが 関東地方は雲一つない
 良い天気でした。 何日も待った甲斐があり、最高のシーイングです。

 日没はだんだんと遅くなり 今日は17時23分でした。 周りが薄暗くなり
 始めたのが17時55分頃でした。昨日(2月15日)、東方最大離角(太陽から
 最も離れる. 離角18゜09',視直径7".1) を迎えたばかりの「水星」が、
 濃青色に澄み渡る西の空に紅色に輝く富士山の脇に、0等星ほどの明る
 さで輝いていました。

 富士山の麓に沈むまで、とことん粘って肉眼で18時44分まで見ることが
 できました。約50分間、「水星」を肉眼で見ることができたのはギネス
 級の最長記録ではないでしょうか? その後、望遠鏡(8cm屈折赤道儀)で
 18時46分までその姿を確認できました。

 次回、水星が西方最大離角を迎え、明けの東の空に昇るのは九ヶ月後の
 11月15日になります。今回の西の地平線上に浮かぶ宵の水星の観望は、
 あと数日は続きます。この機会に、普段見ることのできない「水星」を
 是非ご覧になってみて下さい。

 その後、19時頃に望遠鏡を「木星」に振って見てみました。普段は4個
 のガリレオ衛星(イオ, エウロパ, ガニメデ, カリスト)しか見えないの
 すが、凛とした寒さの中、今日は何と5個の衛星が漂っているのが確認
 できました。5個も衛星が見えたのは初めてです。

 この5個目の衛星が何なのか、下記資料の天文年鑑(P.186) で調べてみ
 みました。ガリレオの発見した4個の衛星の発見年は1610年で、それに
 続く衛星は「アマルテア」で、約280年後の1892年発見となっています。
 また平均等級もガリレオ衛星に続く明るさであることを考えると、私の
 見た5個目の衛星は、この「アマルテア」であると推測できます。



《天体ソフト》

 天体画像をリアルタイムで見るコンピュータソフトがいくつかあります
 ので、紹介します。


☆ Sky Viewer  sv0121c.lzh (sv.exe  Ver 01.21c)
  http://www.infonia.ne.jp/~tommy/skyview.htm

 まず立ち上げてから、最初に自局の緯度経度を設定する必要があります。
 画面の左上にポップアップされる設定画面の中の、▼ボタンを押してか
 ら「時刻と位置」タブをクリックして、この設定を行なうことができま
 す。他の細かい設定は、optボタン を押してから、その中で行ないます。

 全天モード,星図モード,プラネタリウムモードの3モードがありますが、
 プラネタリウムモードが最も現実の空に近いと思います。デフォルトで
 は1分ごとに画面が更新されます。


☆ WinTrak Pro  (wintrak.exe)
  http://home.HiWAAY.net/~wintrak/

 このソフトは普段私が使っている衛星用のソフトですが、リアルタイム
 に人工衛星の追尾をすると同時に、天体の表示をすることもできます。

 このソフトはシェアウェアで、入手するには郵送(国際送金為替)で行な
 います。Windows3.1用の WinTrak3.50 と、Windows95用の WinTrak Pro
 があります。価格は次のとおりです。( + は郵送料です.)

  WinTrak 3.50 for Win3.1                         $49.95 + $6.00
  WinTrak 3.50 for Win3.1 UPGRADE FROM 2.x, 3.0   $19.95 + $6.00
  WinTrak Pro for Win95 UPGRADE FROM WinTrak 3.0  $49.95 + $6.00
  WinTrak Pro for Win95                           $69.95 + $6.00

 問い合わせ先の住所氏名: Paul E. Traufler
              111 Emerald Drive
              Harvest, AL 35749-9213
              205.837.0084

 このソフトも最初に自局緯度経度等の初期設定を行なう必要があります。
 「Time Modes」タブの中の「Delta Time」で、任意の日時時刻における
 表示をすることができます。


☆ The Sky Astronomy Software

 これは天体望遠鏡を制御できる、極めつけの本格的な市販ソフトです。
 制御できる望遠鏡は、Meade製LX200シリーズ・タカハシ製TEMMA・ビク
 セン製スカイセンサー2000 の3機種です。(価格 \15.000)



《参考文献》 天文年鑑 2000年版      (誠文堂新光社)
       月刊 天文ガイド        (誠文堂新光社)
       小学5年の なぜどうして事典  (学習研究社)
       ヴィジュアル版「星座への招待」
           村山定男・藤井旭 著 (河出書房新社)


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