● (No.184) 太陽系惑星 (1999年11月10日〜18日) -------------------------------------------- ☆木星(Jupiter) 今からちょうど2年前(1997年12月5日)、ロシアの衛星MIRを眼視したの をきっかけに 天体望遠鏡(8cm屈折赤道儀)を入手してあったのですが、そ の後ずっと埃(ほこり)をかぶったままになっていました。 箱から出すの が億劫でそのままになっていた望遠鏡を組み立て、今日(1999年11月10日) 初めて、夜の11時頃に夜空を見上げてみました。 望遠鏡で覗いた星々は意外と小さなものでしたが、ピントを合わせて見た ところ、東の空に浮かぶ木星の縞模様を見ることができて感動しました。 実際は何本もある縞模様を、なんとなくですが2本認識することができま した。この縞模様のきれいな木星を巡る四大衛星(ガリレオ衛星とも呼ば れる)イオ,エウロパ,ガニメデ,カリスト も確認することができました。 今度は土星の環を見てみようと思います。 ◎土星(Saturn) 翌日の1999年11月11日、土星のリングと呼ぶにふさわしい本物の「環」 を長時間ながめてみました。小学生の我娘たちも、その宝石の指輪に似た えんじ色に輝く「環」に、感嘆の声を発していました。 夜中に望遠鏡で覗いている近くで、帰宅途中のサラリーマンが「あの星は 何か由緒ある星なのですか?」と聞いてきたり、犬を散歩させていた女性 が「流星を見ているのですか?」「へー、あの大きく輝いている星が木星 と土星なのですか!」と話しかけてきたりして、思いがけなく見知らぬ人 たちと対話をしました。 @月(Moon) 今度は、11月13日(土) 19時頃、月を観察してみました。11月8日の新月 から五日後の今日、夕方の南西の空に三日月の形で浮かんでいました。 「静かの海」,「晴の海」,「夢の湖」のまわりは一面クレーターで、その 火口(?)の中まで見ることができ、まるで固い土でできた静寂に包まれた 砂漠のようでした。 至る所に大小のクレーターがある様子は、遠い昔に隕石が衝突してできた というよりも、まだ月が沸騰した状態の時に泡がふつふつと出て、それが 冷えて固まってできたのではないかという印象を持ちました。 この月に、電波を直接反射させて行う無線通信(EME)の方法がありますが、 自分の声が暗黒の宇宙空間を38万kmの距離を往復してくることを想像する と夢がありますね。 11月15日には、天体望遠鏡にカメラを接続し、引伸法(リレーレンズ法)と 呼ばれる方法で月の拡大写真を撮影してみました。どんなふうに写ってい るか楽しみです。 ☆水星(Mercury) ご承知のように、水星は惑星の中では最も太陽に近いところを公転して います。つまり、太陽からあまり離れることのない、朝か夕方にしか見る ことのできない観測の難しい天体です。 天文年鑑(誠文堂新光社)によると、本日1999年11月16日は、水星が太陽面 を通過するめずらしい時で、この日の朝、東から昇ったばかりの太陽面上 に真っ黒な水星の姿が見られるということです。次にこの現象が起きるの は、2003年5月7日だそうです。 来月 12月3日に、水星が太陽から最も離れる西方最大離角(20度)になる時 なので、この日近くの天気の良い時に望遠鏡で覗いてみようと思います。 太陽と水星の位置関係や他の天体の動きの様子は、人工衛星追尾用ソフト 「WinTrak V3.5」を用いて、コンピュータ上に視覚的にシミュレーション させることができます。 ☆金星(Venus) 明けの明星を観測するために、1999年11月17日 早朝5時頃に、家の外で 寒い中、望遠鏡を東方に向けセッティングをしました。まだ真っ暗な中で 朝刊の配達に来たお兄さんに、「何をやってるんですか?」と問い掛けら れたので、「金星を覗いているんです」と答えると、「へぇ〜、あの明る い星が金星なんですか!」と驚いていました。 写真撮影をしようとカメラを接続して覗いてみると、なんと半月(下弦)形 に星の半分が欠けているのが確認できました。望遠鏡に映る金星は右半分 が光っていましたが、ご承知のように望遠鏡では像が倒立するので、実際 には左半分の下弦の月と同様に光っていることになります。 我娘の「5年のなぜどうして事典(学研)」で調べてみると、金星の表面は 二酸化炭素の厚い雲で覆われ、表面温度が480度、大気圧は90気圧もあり、 とても生物が存在する環境ではないようです。 ※しし座流星群(Leonids) 今回は残念でした。昨年(1998年)は、夜空に雲が全くなく、11月18日の 早朝 4時14分頃に出現したみごとな永続流星痕を、幸運なことに目撃でき ました。(家族も見上げていましたが、この時7才の我娘は 私の膝の上で 真っ暗な空を見上げながらスースーと寝息を立てていました。) 期待していた今年は、横浜では11月18日早朝は曇り空で全く流れ星を見る ことができませんでした。(翌 19日には雲一つなく、たくさんの流れ星が 見えたそうです。) しし座流星群は周期33.2年のテンペルタットル彗星を母天体とする流星群 で、その回帰ごとに流星群活動が活発化するそうです。次の33年後の観測 に期待しましょう。 ☆火星(Mars) 地球のすぐ外側を公転している星ですが、この時期(1999年11月)は地球 と最も離れていて、見かけの大きさも明るさも最も小さい時で、11月18日 の日没後の18時頃に Or5mmの接眼レンズで望遠鏡を覗いても、オレンジ色 に輝く点としてしか見えませんでした。20時過ぎには西の水平線上に沈ん でしまいました。 地球と火星は 2年2ケ月ごとに接近し、今年(1999年)の5月1日に 8650万km まで近づいたので、次回の接近は 2001年7月頃となります。望遠鏡で眺め ると、大気中の二酸化炭素から生じた氷でできた白い帽子のように見える 極冠が見えるはずです。 また、19世紀の天文学者スキアパレリ(伊)やローウェル(米)らの見た運河 も観測することができるでしょう。なお、1976年に火星に着陸した探査機 バイキングでは微生物すら発見できなかったので、火星人の存在はもはや 否定されたのでしょう。
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