WiSP Q&A #4


● (FUROKU.49) WiSP Q&A #4 (1998年 3月1日)
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   WiSP Q&A #4         (by JE9PEL/脇田 Feb.28, 1998)
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  一般の「WiSP」使用者にも参考になる質問メールが寄せられています。
  jamsat-bb 宛てに、この問答集を一般公開いたしますので、参考まで。


 ※ まず質問にお答えする前に、ご存じのように「WiSP」は日々バージョン
  アップが繰り返されており、昨年までの32ビット版の「WiSP3209」では、
  今年に年号が改まってから、時刻表示問題およびスケジューリング問題が
  発生しています。特に「GSC」を新しいバージョン「2.01a」に差し替える
  ことにより、これらの問題を回避する必要があります。まず 下記のURLか
  ら「wisp3210.zip」をダウンロードして、それを解凍(pkunzip.exeが必要)
  して現れる新しい「gsc.exe」(v2.01a)を、今まで使用の古い「gsc.exe」
  と必ず差し替えてから、以下の質問事項を検討して下さい。

     ftp://ftp.amsat.org/amsat/software/win32/wisp/  (現在未接続)


 ※ また、拙著「衛星通信入門」の前半と「WiSPヘルプ日本語訳」は、共に
  16ビット版の「WiSP16」などをもとに解説していますので、32ビット版の
  「WiSP32」ヘルプ内容および「WiSP32」の画面上の表示が一部異なる部分
  があります(ご指摘の p.56,150,163等)。しかし「WiSP16」,「WiSP32」
  のどちらも基本的には「WiSP」の概念としては共通で大差はないはずです
  ので、その点をご承知の上、両者をお読みいただければと思います。なお
  「衛星通信入門」の後半は、「WiSP32」の解説が中心となっています。


 (質問) 受信画面(MSPE)に入るときに、TNCのSTAとCONランプが点滅しない
      のですが?

 (回答) TNCとコンピュータの間のスピード設定、および「GSC」上でのスピ
      ード設定が正しく一致していないことが考えられます。まず、事前
      に、DOS上で通常の通信ソフト(DXTERMやCCTなど)を用いて、衛星
      ごとに、例えば次のようなコマンドを送り、設定をしておきます。
      【無線機TS790S(改造9600bps) + TNC241 + TMB965(G3RUH型モデム】

          [to KO-23]                    [to FO-29]

              MODE TMB                      MODE JAS
              AFC OFF                       AFC ON
              ABAUD 19200                   ABAUD 9600
              HBAUD 9600                    HBAUD 1200
              X16 ON                        X16 OFF
              TXD 50                        TXD 70
              DWAIT 0                       DWAIT 32
              FRACK 1                       FRACK 8
              FULLDUP ON                    FULLDUP ON
              MAXFRAME 1                    MAXFRAME 2
              PACLEN 255                    PACLEN 128
              RESTART                       RESTART


      ここで、「ABAUD」はコンピュータ・TNC間の「RS-232C」通信速度、
      「HBAUD」はTNC・衛星間のパケット通信速度の設定コマンドです。
      これらのコマンドをTNCに送り込む前に、通信ソフト側で、事前に
      同じ「ABAUD」スピードを設定しておく必要があります。

      次に、今使用しているTNCが「KISSモード」に対応していることを
      確認して下さい。TNCにコマンドの「KISS ON, (RESTART)」を送り
      込むと、KISSモードに入った瞬間に、STAランプとCONランプの2つ
      のLEDランプが同時に3回点滅するはずです。KISSモードから簡単
      に抜けるには、「TNC-241」の場合には「S1ボタン」を押しながら
      電源ONすると初期状態に戻ります。TNCがKISSモードになっている
      状態で、衛星KO-23などからの信号が正常に受信できていれば、TNC
      のDCD緑ランプが常時、点灯しているはずです。

      以下で述べるように、「GSC」上で設定が正しくなされている場合、
      「MSPE」が立ち上がった瞬間に、自動的にTNCはKISSモードに入り
      「MSPE」が閉じた瞬間に、自動的にTNCはKISSモードから抜けます
      ので、実際にはTNCを事前に手動でKISSモードにする必要はありま
      せん。


 (質問) 受信画面(MSPE)の右上のTNC関係の表示の意味がわかりません。

 (回答) さらに、WiSPの「GSC」上でも、スピードの設定を一致させます。
      「MSPE」も「View-Dir」も他のプログラムも、諸設定は全て「GSC」
      の上で行います。例えば、衛星KO-23に対しTNCの設定や「MSPE」の
      設定を次のようにすると、「MSPE」の立ち上げ時に右上の欄にメッ
      セージが最初に表示されます。衛星からの信号が正しく受信できる
      と、デコードされたデータがこの欄にも流れるようにスクロールし
      ていきます。


        GSC - Setup - Satellite_Setup - KO-23 - New - ...

           ...TNC_Settings

                  [TNC Settings] - Maxframe 1
                                   Retries  8
                                   Retry time 3 secs
                                   TX Delay 500ms
                                   Packet Length 255 bytes
                                   (空欄)Test for SMACK TNC

                  [Port]     - Port COM2
                               Speed 19200
                               Uplink 9600
                               TX Buffer Size 4096
                               RX Buffer Size 24519

                  [TNC Type] - TNC-2
                               (空欄)DSP Mode

           ...MSPE_Settings

                  [General]  - Update keps from broadcast
                               Uploading enabled
                               Grab all heard files
                               Block ALL BBS files
                               Acknowledge receipt
                               Load View_Dir at start of pass
                               Close View_Dir at end of pass


 (質問) GSC - Setup の画面表示が、「衛星通信入門」の解説と違います。
      また、「WiSPヘルプ日本語訳」の中の「MSPE Com Port Setup」の
      入力欄もないようです。

 (回答) この記事の最初で述べたように、「衛星通信入門」の前半の解説や
      「WiSPヘルプ日本語訳」は、「WiSP16」をもとに解説したものです。
      「WiSP32」については、「衛星通信入門」の後半の解説を参照する
      か、または「WiSP32」のオンラインヘルプを参照して下さい。


 (質問) ファイルのリネームの方法がわかりません。

 (回答) ファイル「View-Dir Equations.TXT」は、「GSC」において、次の
      手順で作成することができます。


      (1)「GSC - Setup - Edit_ViewDir_equations」とクリック。

      (2)エディタが立ち上がり、続けて「このファイルが見つからない。
         新しい ファイルを作成するか?」と表示されたら、「はい(Y)」
         をクリック。

      (3)「ファイル(F) - 開く(O) - "View_d~1.txt" 選択 - 開く(O)」
         とクリック。

      (4)「ファイル(F) - 名前付け保存(A) - "View-Dir Equations.TXT"
         を選択(自動的にファイル名作成) - 保存(S)」とクリック。

      (5)「上書きするか?」と表示されたら、「はい(Y)」をクリック。


      以上の操作により、「View-Dir Equations.TXT」が作成されます。
      また、「MSPE Equations.TXT」の作成も、上記と同様に行うことが
      できます。なお、解説にある「WiSP16」用の「PM_ERR.LOG」などは
      「WiSP32」用に「ProcMail Error Log.TXT」などと名称変更される
      予定になっています。


 (質問) 「TLM Config File」について。

 (回答) 「wisp-tlm.exe」を動作させるためのファイル「kitsat1.cfg」等
      は、「WiSP16」用のものです。「WiSP32」用のプログラムは、近々
      リリースされる予定になっています。 次のメールは、「WiSP」の
      作者 G7UPN/Chris Jackson氏 から私宛ての私信です。


      > From: Chris Jackson [C.Jackson@ee.surrey.ac.uk]
      > To: "'M.Wakita'" [JE9PEL@jamsat.or.jp]
      > Subject: RE: wisptlm in wisp32
      > Date: Sat, 1 Nov 1997 11:57:54 -0000
      >
      > Hi,
      > Yes, I received your message on the satellite...
      >
      > At present there is no TLM program for WiSP32 however
      > I have nearly finished one and as soon as I can find 
      > some time will release it...
      >
      > Stay tuned...
      >
      > Cheers
      > Chris Jackson
      > Groundstation and Operations Manager
      > Surrey Satellite Technology Ltd
      > University of Surrey
      > Guildford, Surrey GU2 5HX,  UK 
      > http://www.ee.surrey.ac.uk/EE/CSER/UOSAT/


 (質問) Gsc -Satellite setup -UO-22 -Edit - UO-22プロパティ
       - Scheduling - Program - Directory は何を入力するのですか。

 (回答) GSC - Satellite Setup - UO-22 -Edit - General
       - Satellite Type において『PacSat』を選択すると、自動的に
      GSC - Satellite Setup - UO-22 -Edit - Scheduling - Program -
       - Program の欄に『c:/wisp/MSPE.EXE %S』と表示されるはずです。
      つまり、
      GSC - Satellite Setup - UO-22 -Edit - Scheduling - Program -
       - Directory の欄は空欄のまま何も入力しなくて大丈夫です。


 (質問) スケジューリングの方法がわかりません。

 (回答) これを解決することが先決問題です。ここがクリアできないと先に
      進むことができません。今一度、次の設定を確認して下さい。

      (1)jamsat-keps(keps@amsat.org)等から取得した最新の軌道要素
         ファイルを wispディレクトリに保存する。

      (2)GSC - Database - Updata satellite database - ファイル名
                                      - 開く - Updata Keps - OK

      (3)GSC - Tracking - Redo Schedule

      (4)GSC - Setup - Satellite Setup - Satellites - New
               - General - General - Name (例.KO-25)
                           Satellite Type (例.PacSat)
               - General - Callsighs - Broadcast Callsign (例.HL02-11)
                                       BBS Callsign (例.HL02-12)
               - 次へ(クリック) - Scheduling - Priority (例.1)
               - 次へ(クリック) - Frequencies - (無記入)
               - 次へ(クリック) - TNC Settings - (確認)
               - 次へ(クリック) - Directries - (確認)
               - 次へ(クリック) - MSPE Settings - (確認) - 完了

         (注)衛星名は、軌道要素ファイルの中のものと同じにする。
            例. Mirは不可。MIRはOK。

      この操作により GSC画面上に、設定した衛星のスケジューリングが
      瞬時に表示されるはずです。この設定をクリアしないと、ここから
      先の諸設定が有効になりません。


 (質問) ソフトは WiSP と言う物があるとのことですが、WiSPは Windows95
      対応だと思うのですが、Windows3.1 の日本語DOSで動くソフトは?

 (回答) 上記の件について、『WiSP』にはWindows3.1版とWindows95/98版の
      二つがあり、下記の私のHPおよびJAMSATサーバーに、Windows95/98
      版の『WiSP32』の最新バージョンと付随するプログラムを登録して
      あります。

      オリジナルのWindows95/98版『WiSP32』は、次のAMSAT-NAのサイト
      から、また、Windows3.1版『WiSP16』については、JAMSATサーバー
      からダウンロードすることができます。

       http://www.ne.jp/asahi/hamradio/je9pel/
       http://www.amsat.org/amsat/ftp/software/win32/wisp/
       http://www.jamsat.or.jp/anonftp/software/


      なお、いずれの『WiSP』も、PC9801系や MAC系のコンピュータでは
      動作しないことが既に確認されています(PC9821系は不明)。デジタ
      ル衛星通信を志すには、NEC以外のIBM系(DOS/V系) のコンピュータ
      (日本の他のメーカーで可) を使用することを推奨します。

      ところでDOS上で動作する『PB/PG』というプログラムもあり、日本
      の衛星FO-29 を除く他のデジタル衛星で採用されている「ブロード
      キャスト・プロトコル」という概念の本質を理解するのには重要な
      プログラムです。『PB/PG』は、下記URLから入手可能ですが、この
      プログラムはもはや過去の遺産となりつつあります。(現在未接続)

       http://www.ee.surrey.ac.uk/CSER/UOSAT/amateur/software/pbg.zip
       http://www.ee.surrey.ac.uk/CSER/UOSAT/amateur/software/pfhadd.zip
       http://www.ee.surrey.ac.uk/CSER/UOSAT/amateur/software/phs.zip
       ftp://ftp.amsat.org/amsat/software/PC/pacsat/pb920430.zip
       ftp://ftp.amsat.org/amsat/software/PC/pacsat/pg920225.zip


      多くのデジタル衛星ユーザーに使用されているプログラムは、今や
      世界の標準となっている上記の『WiSP』です。この『WiSP』につい
      ての詳細な解説およびヘルプテキストを、次の私の HP(URL)に登録
      してありますので、「No.166」の原稿と共にご参照下さい。

       http://www.ne.jp/asahi/hamradio/je9pel/
       http://www.asahi-net.or.jp/~EI7M-WKT/


 (質問) WiSPを一旦削除して、再インストールする方法を教えて下さい。

 (回答) 既にあるWiSPは、通常の方法で削除できると思いますが、もし何か
      不都合が生じる場合には、下記の手順で Windows95内のレジストリ
      もきれいに掃除して下さい。 なお、レジストリエディタ を用いる
      場合には危険が伴いますので、自局の責任において慎重に行なって
      下さい。

      (1) Wispディレクトリを丸ごと削除する。

      (2) スタート - ファイル名を指定して実行 - 参照
            - C:\Windows - Regedit.exe - 開く - OK - 
              - HKEY_LOCAL_MACHINE - SOFTWARE - WISP - 編集 - 削除

      (3) C:\直下に wispディレクトリを再作成し、wisp32 を解凍する。

      (4) Setup.exe を指定し、全てを手順どおり再インストールする。

      (5) GSCの立ち上げ直後にレジストレーション番号を登録した場合、
          次に、GSC - Setup - Station Setup において自局の緯度経度
          を入力する。

      (6) 拙著、「衛星通信入門」の中の次の三つの原稿を参照をして、
          「View-Dir Equations.TXT」と「MSPE Equations.TXT」の二つ
          のファイルを、GSC - Setup の中で生成する。

         [第83話(No.90) ]  WiSP_3207 [Windows95版] 抄訳
         [第84話(No.91) ]  WiSP_3207 スケジューリング
         [第99話(No.113)]  WiSP32(GSC201a) 初期設定補足

      (7)jamsat-keps(keps@amsat.org)等から取得した最新の軌道要素
         ファイルを wispディレクトリに保存する。

      (8)GSC - Database - Updata satellite database - ファイル名
                                      - 開く - Updata Keps - OK

      (9)GSC - Setup - Satellite Setup - Satellites - New
             - General - General - Name (例.KO-25)
                         Satellite Type (例.PacSat)
             - General - Callsighs - Broadcast Callsign (例.HL02-11)
                                     BBS Callsign (例.HL02-12)
             - 次へ(クリック) - Scheduling - Priority (例.1)
             - 次へ(クリック) - Frequencies - (無記入)
             - 次へ(クリック) - TNC Settings - (確認)
             - 次へ(クリック) - Directries - (確認)
             - 次へ(クリック) - MSPE Settings - (確認) - 完了


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