● (EISEI.47) TS790 + TNC241 : 9600bps 改造 (1994年 10月1日) ----------------------------------------------------------- 英国のUO-22や韓国のKO-23などの衛星は、いわゆる9600bpsの高速で データを電送する機器を有していますので、地上局もそれに対応するシステムを 準備しなくてはなりません。 初期の頃はオリジナルのG3RUH回路を作成し、さらにTNCと無線機の内部 を改造し、それらを接続した後さらに調整を加える、という大変な努力を先駆者 達により為されていました。 1990年に、このG3RUH型の外部モデム「TMB-965」が、タスコ電気(株) より発売され、これを契機に地上高速パケット通信・デジタル衛星通信の発展に 寄与してきましたが、現在それでもTNCと無線機に若干の改造を必要とします。 最近ではG3RUH型9600bpsモデムを内蔵した無線機も登場しています。 それこそ何十個とあるTNCと無線機の組み合わせの数だけ改造の仕方があり、 同じ機種でもその調整が微妙に異なります。しかし改造の本質はどれも同じなの で、ここでは「TS-790」(ケンウッド)と「TNC-241」(タスコ)を、こ のG3RUH型外部モデムの「TMB-965」(タスコ)で接続する方法を、一つ の例として紹介します。無線機内部の改造ポイントは巷でも知られているように 次のとおりです。(詳細は下記資料を参照して下さい。) 1.「送信部」:VCOユニットのバリキャップに、100kΩの抵抗を介し、 TX-Audioを接続する。 2.「受信部」:RX-Audioを引き出すために、IF回路の検波段の FMディスクリミネーターに直接、接続する。 3.「PTT」:TRXの送信PTT入力を接続する。 4.「Filter」:セラミックフィルターを受信帯域幅の広いものに交換する。 まず5ピンDINプラグとソケット各1個、小さな6足のスイッチ1個、そして 1芯シールド線を長さ10mほど用意します。TMB-965附属の6ピンケーブル はシールドが不十分ですので、無線機内部の引き回しのために1mほどの長さに 切ったこの1芯シールド線の数本をこのDINプラグで連結します。 ご存知のように、衛星通信ではアップリンク周波数とダウンリンク周波数が異な ります。TS-790では送信をMAIN側に、受信をSUB側に設定しますので 上記の「受信部」の接続において、地上パケット通信のために無線機のMAIN 側に、そして、衛星通信用のために無線機のSUB側の両方にハンダ付けします。 その切り換え用のスイッチとしてこの6足スイッチを途中に設けます。 また、SUB側のセラミックフィルタ−の「CFW455F」をはずして、受信帯域幅の 広い「CFW455D」に付け替えます。回りのICに影響を与えないよう、ハンダ吸い 取り材を用いて慎重に交換します。 具体的には、まず無線機を裏返しにして裏蓋を取り外します。裏にしたまま無線 機の後ろ側を手前にした状態にして基板を眺め、上記1.〜4.について具体的に 話しを進めます。どのシールド線なのか、詳細は下記資料(1)と(2)をご覧下さい。 1.「送信部」 シールド線の先端に100kΩの抵抗をハンダ付けし、さらにその抵抗 の反対側のリード線を基板右下の『CN31』(IF-44-FMD)の『FMD』の所に ハンダ付けします。そしてGNDのシールド線をすぐ横の『GND』にハンダ 付けします。この『CN31』は、基板右下に『L59』と『TC2』とともに並 んでいるので、すぐわかります。 2.「受信部」 MAIN側:シールド線を基板中央下の『IC8』(MC3357P)の9番ピンに (MC3357P の文字を逆さに見た時に、左下のゲジゲジの足) にハンダ付けします。GNDはすぐ下の『L55』の文字の所に ハンダ付けします。 SUB側 :シールド線を基板中央左の『IC1』(MC3357P)の9番ピンに ハンダ付けします。GNDは近くの『C85』と『C86』の間に ハンダ付けします。 3.「PTT」 この基板を止めているネジ13本をすべてはずし、基板を裏返しにします。 『ACC2』コネクターの9番ピン裏側にハンダ付けします。これはわかり にくいので、テスターを用いて導通を確認してからハンダ付けします。 4.「Filter」 基板中央左にある1cm四方の黒いセラミックフィルター『CFW455F』を、 基板の裏側から慎重にハンダ吸い取り材を用いてはずし、『CFW455D』に 付け替えます。場所は先の『IC1』のすぐ隣りです。これが最もやっかい なので、実際には一番最初に工作に取り掛かるとよいでしょう。 《補足》 下記の TMB-965 と TS-790 の接続ケーブル(a)〜(c)は、全て1芯シールド線 を用いて自作しました。改造した無線機内部から、下記の このシールド線を 無線機の背面から引き出し、途中に、切り替え用の6足スイッチとDIN8ピン ジャック・プラグを経由し、TMB-965 と接続しています。 (下図参照) (a) 70cm 1芯線3本 (TS790内部 --> 背面 --> DIN8ピンジャック) (b) 50cm 1芯線4本 (TS790内部 --> 背面 --> サブスイッチ) (c) 20cm 1芯線2本 (サブスイッチ --> DIN8ピンジャック) (d) 30cm 6芯線1本 (DIN8ピンプラグ --> TMB965) (a)は、無線機内部の送信部に、100kΩの抵抗を介してハンダ付けしたシール ド線と その GRDシールド線、および PTTシールド線の3本です。 (b)は、無線機内部の受信部の MAIN側 にハンダ付けしたシールド線と、その GRDシールド線の2本、および、SUB側 にハンダ付けしたシールド線と、その GRDシールド線の2本の計4本です。 この(a)(b)の計7本のシールド線を 無線機の内部でハンダ付けし、反対の端 を無線機の背面の隙間から7本とも直接、外へ出します。そして、(a)の3本 は、DIN8ピンジャックに直結します。 (b)は、RBBS受信用の MAIN側と、衛星受信用の SUB側の 計4本のシールド線 ですが、この切り替えのために サブスイッチ(6足)に連結し、(c)は、この 切り替えた後のためのシールド線と GRD線の2本です。 この2本のシールド 線を DIN8ピンジャックに連結します。 結局、DIN8ピンジャックには、(a) の3本と、(c)の2本の計5本のシールド線が連結されます。 (d)は、TMB-965付属の6芯ケーブルですが、TMB側と反対の端を切断し DIN8 ピンプラグを連結しました(5ピンでも可)。 この DIN8ピンジャック・プラ グは、無線機と TMB-965 の連結用(切り離し用)です。自作ケーブル(a)〜(d) の概念図は次のとおりで、その長さは総計1m となります。 TS-790 ||| |||| (a) ||| |||| (b) ||| |||| ||| |||| ||| ## Switch ||| || ||| || (c) ||| || ## DIN 8 pinn Jack ## DIN 8 pinn Plug ||||| ||||| (d) ||||| TMB-965 ----------------------------------------- [TS-790側] __ /6 7\ |1 8 3| |4 5|(外部から見た図) \ 2 /  ̄ ̄ Plug || 1 TX (茶) || 2 GND1(赤) || 3 PTT (橙) || 4 RX (黄) __ 5 GND4(緑) / □ \ 6 * (青) |5 6| 7 * |3 4| 8 * \1 2/ Plug  ̄ ̄ [TMB-965側] ----------------------------------------- 参考資料:(1) TMB-965 取扱説明書 タスコ電気(株) (2) Satellite Handbook JA1NVB / 飯島進著 CQ出版社 (3) JAMSAT Newsletter #130 JR1BPR / 西野和幸氏記事 (4) G3RUH入門ガイドブック HAM Jounal No.73 6月号 別冊付録 (5) G3RUH 9600Baudモデム JM1OMH / 桑野仁志氏記事 (6) "9600 BAUD PACKET RADIO MODEM PCB" MANUAL J.Miller/G3RUH (7) http://www.sinister.com/radio/9600mods/
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