衛星AO-13のテレメトリ表示法 #1


● (EISEI.26) 衛星 AO-13 のテレメトリ表示法  #1 (1994年 3月12日)
 ---------------------------------------------------------------

                              +------------------+
 本編(17)で述べたように、AO-13からは常時 右の     | 00分-05分 | CW   |
 ようにビーコンが送られてきています。多くの情報を     | 05分-15分 | PSK  |
 を含むこのPSKテレメトリを、PC98(NEC) 上に     | 15分-20分 | RTTY |
 表示させる手順を今回は紹介しましょう。          | 20分-30分 | PSK  |
                              | 30分-35分 | CW  |
 このテレメトリは衛星から400bpsPSKで送信されて     | 35分-45分 | PSK |
 きますので、特殊な基板を入手し、TNCの代わりに     | 45分-50分 | RTTY |
 無線機(TS-790)とコンピュータ(PC98) との     | 50分-60分 | PSK  |
 間に接続する必要があります。               +------------------+

 この基板は、『PHASE3 400bps PSK DATA DEMODULATOR』と呼ばれる、かの有名な
 「G3RUH James Miller」氏の設計による基板です。

 この基板は、本編(3)で紹介した日本アマチュア衛星通信協会で頒布しています。
 (入手方法については下記資料(2)を参照。組立検査済基板会員価格 \19.000)
 なお、当協会への頒布品についての問い合わせや在庫の有無などは、必ず書面で
 行うことになっていますので注意して下さい。

 詳細は下記資料(2)〜(4) N/L No.149,150,151 の中の JJ1WTK/坂本氏 の記事に
 詳しく書かれていますので、その通りに実行してゆけば大丈夫です。ここでは、
 それを参考に追実験をしていきたいと思います。

 なお、資料(5) N/L No.127 の JA2PKI/岡本氏 の記事は、この『DEMODULATOR』
 の前身とも言うべき「G3RUHデコーダ」についての詳細な解説がなされています。
 また、資料(6),(7)にはPSKテレメトリの基礎についての解説があります。

 まず、基板の入っている箱を開くと、この基板の他に1cm四方の白いコネクター
 が5個、細い1cm長のピンが17本、そしてLED(赤ランプ)が3本の入った
 ビニール袋が付属しています。要はこれらをハンダ付けするだけです。

 その他、マイク端子用8ピンプラグ、スピーカー端子用3.5φモノミニプラグ、
  RS-232C用 D-25ピンコネクター、これらを結ぶケーブル等は各自で用意して
 おきます。(横浜近辺でしたら、JR石川町駅北口にある T.ZONE 横浜店2Fの
 エジソンプラザで全て調達できます。)

 付属の英文解説書のP.16の「7.1 CONNECTORS」の頁に次表が載っています。

      +-----------+-----------+-----------+-----------+-----------+
      | Audio     | Tuning    | Power     | RS232     | Outputs 1 |
      | P1 Signal | P2 Signal | P3 Signal | P4 signal | P5 Signal |
      +-----------+-----------+-----------+-----------+-----------+
      | 1 In Hi   | 1 Down    | 1 GND     | 1 GND     | 1 GND     |
      | 2 GND     | 2 Common  | 2 +12v    | 2 RXD     | 2 CLK     |
      | 3 In Lo   | 3 Up      | 3 GND     | 3 CTS     | 3 DATA    |
      |           |           |           | 4 DSR     | 4 T(+)CLK |
      +-----------+-----------+-----------+-----------+-----------+


 P1、P2 などは基板上に印字されているコネクタ番号です。その下の 1,2,3,4 は
 上記1cm四方の白いコネクタの中のピン配列番号です。この白いコネクタの左隅
 に2mmほどの小さな数字の 1 が書いてあるので、ハンダ付けするとき目印になる
 でしょう。

 たとえば P1 は無線機からの受信信号を伝達するコネクタですので、上記3.5φ
 モノミニプラグの外周部と 2 を結線し、プラグの中心部と 3 を結線します。
 (通常は Low の 3 と結線しますが、入力レベルの大きいときは High の 1 と
  結線します。)

 P2 は、この DEMODULATOR から無線機に自動的に周波数をUP/DOWN動作を
 させる信号を送る部分のコネクタです。基板上では、1 が UP、3 が DN 、と逆
 に印字されているようです。とりあえず、無線機(TS-790S)の解説書を参考にし
 ながら、マイク端子用の8ピンプラグの 3番を 1 に、7番を 2 に、4番を 3 に
 結線しましたが、UP/DOWN動作の確認はまだしていません。
 
 P3 は、DC電源供給です。2 に +12[volts] を供給せよ、ということですが、
 解説書には最小 +8[volts] から最大 +18[volts] まで、とありますので、通常
 使用している +13.8[volts] の安定化電源で大丈夫です。プラス(赤)を 2 に、
 マイナス(黒)を 1 と 3 に接続します。

 P4 は、コンピュータ(NEC-PC98) の RS-232C に接続するためのコネクタです。
 衛星からのテレメトリを解読するには、専用のプログラム『P3C.EXE』(これも
 JAMSATで頒布)が必要なのですが、これを使用するために次のように結線します。

          +-------------------------------+
          | G3RUH DEM          RS232C     |   (*)IBM-PC機を使用する場合は、
          | P4 Signal          D25pin     |      左の「8 DCD」を、「5 CTS」
          |-------------------------------+      に変えて接続し、IBM-PC版
          | 1 GND ------------ 7 GND      |      の『P3C.EXE』を使用します。
          | 2 RXD ------------ 3 RXD      |
          | 3 CTS ------------ 8 DCD(*)   |      理由は、下記資料(2)(4)を
          | 4 DSR ------------ 6 DSR      |      参照のこと。
          +-------------------------------+

 P5 は、通常使用しません。

 次に、LED(赤ランプ)のハンダ付けです。基板上の左下の「CAR,CLK,BLK」
 と印字されている所に、各々、短い方のリード線を「K」と印字されている側に
 して両足ともハンダ付けします。

 最後に、それなりのボックスに収め、固定すれば工作は終了です。



          ==========================================================
          参考資料  (1)PHASE3 400bps PSK DATA DEMODULATOR manual
                    (2)JAMSAT Newsletter No.151 ('93  6/15)
                    (3)          〃         150 ('93  5/10)
                    (4)          〃         149 ('93  3/10)
                    (5)          〃         127 ('90  7/25)
                    (6)          〃          75 ('83 10/25)
                    (7)          〃          74 ('83  8/25)
          ==========================================================


 次のページへ移る.

 ホームページ(目次)へ戻る.