このDEPPの問題点は、各々の出力ループがP1−B、B−P2と別々の負荷を通るのですが、出力
信号を合成する為に、この負荷が直列に接続されるので出力インピーダンスが高くなるのです。DEPP
アンプでは必然的にOPTを負荷とするのですが、実際にOPTを製作する時にこれが大変不都合なのは
インピーダンスが高くなればなる程、巻線が細くなるので(高インピーダンスに見合うインダクタンスを
得る為には細い線を沢山巻かなければならない)整列巻きが困難になって良い特性が得難くいのです。
それでも真空管式PPアンプでDEPPが主流なのは、全ての電源がアース基準なので一つの電源で賄
えるという事があり、かつて交流を整流する素子が整流管しかなかった時代から引き継がれているのと、
信号入力もやはりアース基準で済むのが、何と言っても大きな要因ではないかと思います。
しかし、さらに高性能を目指そうとすると上記のようなOPTの問題が立ちはだかるので、これを解決
しようとして考案されたのがCSPPなのです。CSPPの大まかな回路は下の図3のようなもので、左
右の増幅素子を180度反転させて接続する事で、一つの負荷で双方の負荷を共有出来るようにしたもの
です。その結果として負荷インピーダンスがDEPPの1/4で済むので、高性能なOPTが作りやすく
なるのです。なお五極管を使った場合は図4のようになり、基本形は何ら変わりません。
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