今回のトラターボアンプの製作では、当初は高域特性は諦めていました。上記で述べたように出力トラン
ジスターの保護の為には、高域を犠牲にするしかなかったからです。それでもここまで伸ばせれば、実用上
は必要十分な高域特性を確保出来たように思います。
後 記
本機のドライバー管は6GH8という事で、あまり馴染みがありませんが、一般的な三極五極の電圧増幅
管の中では、五極管ユニットを三結にした時のrpが低い球だったので選んだものです。当初は6U8Aを
使って見たのですが、三結時のrpが高く負荷5kΩでは上手く動作しませんでした。ただ先に述べたよう
に、ドライバー段に出力管は使いたくなかったので、敢えて6GH8を選んだものです。出力段のトランジ
スターにもっとhfeの高い合わせを選べば6U8Aでも良いのでしょうが、あまりhfeが高いと不安定
になるので、今回程度の組み合わせが無難な処だろうと思います。
話は変わりますが、本機のDF値は「20」とかなり高い値を示しました。ただしNFを掛けているので
無帰還時のDF値を測ったところ、同6.7となりました。これを負荷5kΩで受けているので、出力段の
内部インピーダンスは0.75kΩとなり、古典三極管の2A3並の低い内部抵抗値を示しています。ただ
し、これは出力トランジスター自身の特性ではなく6GH8の五極管ユニット三結時の特性を電流ブースト
した結果だろうと思うので、それなら「電圧増幅管とトランジスターを組み合わせれば古典三極管の代用に
なるかも?」という新たな可能性も覗えて、これは面白い研究課題が出来たように思います。
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