くだらな日記(2001年2月)


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2月27日(火)
 漢字を適当に並べると、中国語のように見えるから不思議だ。たとえばこうすると、なんとなく日本有名アニメの中国海賊版のように見えてくる。

「博士、巨大機械的芭蕉鰐、出現! 鰐噴出芳香的物質!」
「了解! 即時的万歳的巨大犬出動!」
「哈哈哈! 芭蕉鰐的機能、超凌駕万歳的巨大犬! 古芭蕉、身体良好的情報、電視台蔓延! 従事破壊活動、遁走的人物、泣言的人物!」
「了解卿、泥棒女王様! 今日的髑髏貴石、我等獲得!」
「今日的勝利、捧全国女子高校生諸君! 出撃、今週的吃驚的驚愕的機械! 釦押下!」
「残念無念、美濃聞多的情報公害……」
「岩、乞出動、万歳的王者!」
「了解、愛! 出動、万歳的王者!! 投下機械素!」

 これって、中国人読めるのかな。(是発想黄泉木的青年所有)


2月25日(日)
 不幸は群れをなしてやってくる、というがそれは別に不思議なことではない。精神状態が不安定なときは、不幸を誘引する行動をとりやすいのだ。
 まずWebでトラブル。日記読み日記は嘘・妄想・トンデモを推奨し、できるだけ真実を書かない方針でやっているのだが、リンクだけは真実であった。この不徹底さを叱られた。しょぼん。
 おまけに雑文もろくなことがない。おかしいな、たしか以前、「あの人の最後の雑文の一周年に、一周忌を営もう」と誓い合ったような気がするのだが、はてあれは夢であったか。なにしろ呑んでいたからなあ。詳しいことは覚えていない。あれも、本人から抗議があれば早速削除する所存であります。てゆーか抗議して。自分で消すのは漢らしくないような気がするので。<そーゆー態度が漢らしくない
 そして某銀行の残高が六万円あると思って六万円おろしたら、残高が十二万になってびっくり。この記号、マイナスだったんだね(悌泣)。さらに、ヤフオクで五百円のペットボトル潰し器を買って満悦していたら、送料手数料込みで千八百円になってびっくり。ええ、確認しなかった私が悪いのです(落涙)。
 そして知人宅に酒を呑みに行ったら携帯電話を忘れ、小田急の線路にはなぜかJRの特急が停泊しており、埼京線に乗ったら隣りの席のおっさんが今にも吐きそうな素振りで読書どころではなく、埼京線名物のケバい姉ちゃんは会話に夢中となって私の本を肘でしきりに圧迫し、ラグビーは接戦ではあったが両者優勝という気勢の上がらない結末となり、松島奈々子と藤崎奈々子をずっと間違えていたことに気づき、実はレモングラスのことを固い葱だと思っていたことにも気づき、阪神はまたも松坂を打てず、日本ジャンプ勢はまたもメダルを逃し、アホネンは優勝できず、そして胃はまた痛む。


2月22日(木)
 昔、「雑文六歌仙」なるものが言われたことがありました。命名はだれか他の人だったと思うのですが、実際に六歌仙をあてはめたのは私だったかな。
 それは私がアミーゴ系の雑文に触れる前だったので、呉さん以下の人は入ってません。ということで、アミーゴ系の人脈を、「雑文蕉門十哲」としてみましょう(大きなお世話?)。
 呉エイジ:雑文芭蕉
やかましさ身にもしみいる妻の声
 イギリス紳士:雑文嵐雪
菊一輪ホストの尻の暖かさ
 しお:雑文基角
キャバクラの身をさかしまに全裸かな
 YB:雑文去来
乳房の量まさりけりご満悦
 MICK:雑文曾良
夜もすがら娘とふけるエロチャット
 静炉巌:雑文杉風
あさがほや其の日其の日の下痢には使えず
 雪ダルマ:雑文丈草 
ほととぎす啼くやお前もカップルか
 げると:雑文野坡
先輩を案じて自分は別れぬぞ
 さくさく:雑文凡兆
便所の外私のパンツ倒れけり
 riko:雑文越人
行く年や恋人にページを隠しけり
 こうしゃく:雑文支考
道化ても我が身はさびし土俵下

 ところで裏日記を書いていてふと思ったのですが、関西の医者はヤクザと行動パターンが一緒なのでしょうか。たしか山口組三代目・田岡組長狙撃事件のときとばっちりを食らったのが隣りの席の医者。そして山口組宅見若頭暗殺事件のとき一緒に撃たれたのも医者。これはもう、1)関西の医者はヤクザと見間違える、2)関西の医者はヤクザと行動パターンが同じ、3)関西の医者はヤクザそのもの、このうちどれかが本当だとしか考えられません。ファイナルアンサー?


2月21日(水)
 受験生の皆さん。
 毎日お勉強、ご苦労様。進学の悩みを抱えておられる方も多いことでしょう。ニュートンの法則が覚えられないとか、comfortableの否定形はin-だったかun-だったか忘れてしまったとか、室町幕府の成立年を思い出そうとしても、足利尊氏の肖像の横に「オールバックだぴょーん」と落書きしたことしか思い出せないとか、「天声人語」を読んで感想を書く小論文問題で、つい「オチが弱い」と書いてしまったとか。
 大丈夫です。受験に悩むなんて、いっときの事です。
 あの「地獄の調教師」「動物農場の獄卒」こと、ムツゴロウこと畑正憲先生だって、こう書いてます。

「高等学校での勉強など苦労した経験はない。受験勉強など、二年の終わりに終了して、全科目テストを受けても三年生には負けなかった。(中略)だいたい、高等学校で教わることなど、百年も前に完成されたものが多い。普通の頭の持ち主なら苦しむほうがおかしい」(われら動物みな兄弟:角川文庫)

 どうですか、なかなかの豪語っぷりでしょう。……え、ますます自信がなくなった? 
 いえいえ大丈夫ですよ、わたくしが言いたいのは、そんなに秀才だったムツゴロウさんだって、四十年経てばあんなになっちゃうってこと。人間、学歴なんて人生の中でほんのちっぽけな部分を占めるにすぎないのです。ふぁいとぉ(高橋由美子の歌マネで)。


2月20日(火)
 「小説・太宰治」(壇一雄:岩波現代文庫)を再読。
 太宰治のデビュー前に佐藤春夫が大きな役割を果たしていたことを再確認。出版前の「晩年」に賛辞を与えたのも、モルヒネ中毒の太宰を入院させたのも、佐藤春夫だ。精養軒での出版記念会に時間前に来て待ちくたびれている佐藤春夫を壇一雄は活写している。
 「北のまほろば」(朝日文庫)で、「どういうわけか、太宰とのつながりが必ずしも濃くなかった佐藤春夫の文章が、太宰の碑に刻まれている」と書いた司馬遼太郎の文章が、無知からくる誤りであることは、論議の余地がない。「晩年、創作者として平板に過ぎた」は、司馬本人を語る言葉ではなかったか。


2月19日(月)
 給与所得者の還付申告というやつを書きました。
 今年は簡単。住宅取得控除も、生命保険金控除も、なーんも計算しなくても、給与所得で天引きされた所得税が、そのまんまぜーんぶ帰ってくる。ビバ貧乏。


2月18日(日)
 なんか世間ではリスカ(リストカット:手首斬りの略)が流行っているそうで。レスカみたいで能天気な語感が、世間多数に受け入れられているところでしょうか。
 人生をリセットしたいという気持ちは重々わかります。もっともなあ。私のこの根性をそのままにして、人生だけリセットしたところで、また同じ轍に踏み込むのは火を見るより明らか。
 高田文夫のエッセイで、「人生をたとえばビンゴゲームとすればリーチくらいはかかるだろうか」と詠んだひとが紹介されていましたが、「人生をたとえばドラゴンクエストとすれば冒険の書は消えないだろうか」というあたりか。あるいは「人生をたとえばときめきメモリアルとすればサッカー部を退部させられてないかい」とか。さらに「人生をたとえばミニモニとすれば150センチ越えてサヨナラ」とか。まあ、人生がたとえばミニモニだった時点で死にたくなりますが。私の場合は、「人生がたとえば大貧民だとすれば革命くらいは起きないだろうか」という感じでしょうか。ああジリ貧人生。
 自殺は生命保険が下りないからイヤだな、せめて死ぬときくらい家族に迷惑かけたくないじゃん、と、所帯じみたおっさんの意見を述べたりして。ちなみにリスカするときはぬるま湯に手首を漬けるといいそうですよ。血が凝固しにくいように塩を混ぜるともっとよい(ゆで卵かい)。


2月17日(土)
 今日は東京ビッグサイトのダイビングフェスティバルに行ってきました。
 もう会場はウェットスーツ姿の娘でいっぱい。思わず心の底のなにかが脈動するような光景です。それがみんな、「アンケートはどうですか」「テキーラ飲みませんか」「イルカと泳ぎませんか」「泡盛飲みませんか」と誘ってくるのです。どうです、脈動するでしょう。なに、しない? ならどうだ、ドライスーツ姿の娘もいたのですよ。
 場所を移して新宿で飲み会。今度は娘たちが囚人服やミニスカポリスの姿に身を包んで接待してくれる居酒屋でした。しかも男はミイラ男やドラキュラやピラニアンや、昔懐かしいタイガーマスクの悪役コスプレです。どうも先週からコスプレづいている気がします。


2月16日(金)
 最近作った替え歌メドレー。
・全日〜オン! ワンツースリー!
 天龍チョップが川田を走る〜
・森と〜小泉に〜囲まれて〜
 静香は〜練る〜 ぼ〜ぼ〜謀略〜

 今日は役所に県民税の申告に行きました。そしたら県民税より還付申告したほうがお金が儲かるというので還付申告の用紙を貰ってきました。ついでに埼玉県民優遇のワールドカップ入場券申し込み用紙も貰ってきました。準決勝は五万六千円でした。申し込めません。どなたか行きたい人は名義だけ貸します。ところでショッカーは、「あの眼鏡屋で眼鏡を買った人だけが行方不明になっている」とか「あそこで犬猫を売った人間がみんな行方不明だ」とか、犯罪がわかり易すぎます。「八つ墓村」とか読んだほうがいいとおもいました。


2月14日(水)
 仮面ライダーのLDを買ってしまいました。
 ヤフオクで出品されているのを見て、つい欲しくなって値段をつけてしまいました。そしたら落札してしまいました。ああ11万。金もないのに11万。2月いっぱいで今の職場お払い箱なのに11万。還付申告で払った所得税ぜんぶ戻ってくるのに11万。全部戻ってきても11万に満たないのに11万。大丈夫か俺。
 それにしても全96話。蜘蛛男からゲルショッカー壊滅まで揃っています。ゾル大佐も出てきます。死神博士も出てきます。地獄大使も出てきます。故・小林昭二も出てきます。島田陽子も山本リンダも出てきます(あんまり嬉しくないけど)。
 こうして見直してみると、仮面ライダーの初期って、ずいぶんエログロ演出なんですねえ。今のクウガみたいに、じわじわとサスペンスを盛り上げるので、爽快感が少ない。そのうえ、やたらに女戦闘員が網タイツでセクシーに出現する。顔は井上京子みたいにペイントですが。これじゃお父さん喜んでも、子供には受けないよなあ。ああ、でも綾小路律子は綺麗だ。網タイツに包まれた太腿もほどよく太いし。ああ鞭打たれたい。
 仮面ライダーにしろキカイダーにしろ、見ていて思うのですが、特撮というジャンルは、人間が科学の発展を基本的に信じていることが前提条件だったような気がします。科学を悪用する人物はいるが、基本的に科学は人間を発展に導くものだ、との楽観が根底にあることが。いま、そういう条件が欠けているので、クウガにしろアギトにしろ、技術は高いが(演技力は低いが。いや特撮に限らず、女優の演技力って、ここ二十年でそうとう低下してませんか?)なんか方向が後ろ向きで、どうにもハマれないのですね。楽観論が底にないので、なんとなく雰囲気が暗いし。
 それはともかく、ジャケットにある設定から、笑えるのをいくつか。
・本郷猛は知能指数600(こらこら)。
・金塊保管所を襲ったコブラ男は、犬に襲われ牙を失う(情けない奴)。その復讐のため、飼い主の少年をつけ狙う(情けない動機。お前、ストーカー以下だよ)。
・ピラザウルスはプロレスのタイトルマッチに集まった要人の暗殺を図る(ロードブレアース会長でも殺すつもりか)。
・クラゲダールは政府要人暗殺用の電気人間を作り出すべく、5000ボルトの電圧に耐える人間を集める(電流が低ければ、耐えられますけど)。
・ショッカーの科学力によりエジプトのミイラが復活したエジプタスは、古代エジプト語しか喋れないため、古代エジプト語の研究者を通訳とするため襲う(情けない動機。だいいち研究者だって、古代語なんて読めはするが喋れないぞ)
・トドギラーは口から零下300度の冷凍シュートを吐く(……もういい)。
・ゴキブリ男はインチキ殺虫剤を作っていた男が改造された怪人(改造前も改造後も情けない)。
・エレキボタルは高圧電流とエレキファイアーでライダーを苦しめるが、腹にアースをつけられ、電気を奪われて破れる(負け方が情けない)。
・ガラオックスは水素ガスの50倍の威力を持つ悪魔の霧を放つ(威力あるのかなあ)。
・設定ではないが、蜂女の回は、戦闘員が男のくせにみんな女の声で「きゃぁー」とか叫んでいて気持ち悪い。
・本郷猛役の藤岡弘が怪我で佐々木剛にバトンタッチしたのは有名な話だが、どうもその前の八話あたりから本郷の声が変わっているような気がする。ひょっとしたら撮影だけ済んでアフレコをしないうちに倒れたのではないだろうか。どうも納谷六朗のような声なのだ。ショッカー首領が納谷悟朗で仮面ライダーが納谷六朗なんて、洒落にもなりゃしない。

 潜水艦事故に関する森首相の言動などを聞くにつけ、この人ほど、「奴は泰然として腰を抜かす」とある政治家が言った言葉に当てはまる人物はいないなあ、と思う。それを大人物だと思いこんでいる自民党の若手も情けないが。


2月13日(火)
 「人間は笑う葦である」(土屋賢二:文春文庫)を読む。解説の森博嗣の文章は最悪。以降彼の本は買わないことを決意。
 それがきっかけで、文庫本の解説に関する駄文を書き出したが、途中でパソコンがフリーズしたため挫折。もう一度書く気になれないので、要旨だけ。
・解説は作者の歴史とともに変遷する。若手時代は先輩の好意的解説時代。中堅になると同輩作家による私事暴露時代。ベテランになると評論家による評論、もしくは後輩・取り巻きによるタイコモチ的文章の時代となる。この後者に、クズ解説が多い。
・かつてクズ解説の宝庫といえば筒井康隆だった。筒井自身は「星新一論」とか「唐獅子株式会社ギャグ全解説」などの名解説があるのだが、筒井本人の文庫への解説はオタク的取り巻きや単なるファンの文章が多すぎて悪質。中でも斎藤由貴に書かせた解説は最悪で、以降「只のファン」が解説する悪例のきっかけとなった。
・今の最悪解説の双璧は東海林さだおと小林信彦。東海林さだおに書いた江口寿史、小林信彦に書いた景山民夫の文章は、「作者について書いているフリして自分のことばかり語る」最悪解説の典型。東海林さだおに書いた湯村輝彦&タラ、小林信彦に書いた中野翠の文章は、「オタク的視野狭窄と独善的エリート観による、作者を持ち上げるために他を貶す」読後感最悪の解説の見本。
・「星を食った男」(潮健児語、唐沢俊一編:ハヤカワ文庫)は、「あとがき」で唐沢俊一がワケもわからず激昂し、一方的に怒るだけのバカ文で自ら自分の本の価値を下げた珍例。あまりに不愉快なので、あの部分破りました。
・ああ、奥野健男や中島河太郎などのまっとうな解説が懐かしい。


2月12日(月)
 昨日は噂のコスプレ居酒屋に行ってきました。
 居酒屋の暖簾をくぐると、そこは別世界。シャアとか剣心とかおんぷとか兎口の魔女とかが店内をうろうろしていて、まさに百鬼夜行。……なんてことはなくて、客の大半はふつうの、私と同じような小汚い格好の男性でした。もっとも女性客はなぜか、メイドやらアンミラやらの格好をしていました。どれが客やら店員やら。
 店員は全員メイドさんと執事と兄貴。このメイドさんが可愛いのです。みんなちび小柄でキュート。兄貴とかしんごママとか男性陣がみんな大柄なせいもありますが。
 ちなみに男爵チョリソーはえげつなかった。Oh!モーレツはおいしかった。そばめしは適度に油濃くてよかった。値段は安かった。店員の接客は恭しく丁寧でした。なにせメイドに憧れてなった娘ばかりだから、カネのためにやってるプロの店員とは気合が違います。


2月10日(土)
 オードリーを見てしまった。
 テレビドラマを見たのは十何年ぶりだろうか。テレビドラマの嘘臭さが嫌いになってずっと見なくなり、特にNHK朝ドラマの臭いが大嫌い。両親と同居していたときも、朝ドラが始まると自室に逃げてBSニュースを見ていたため毎日遅刻していたくらい。それが自発的に見るとは、まさに沢田研二効果といえよう。十五日にはバラエティに出るんだよな。ああ、大嫌いなとんねるずの番組も見てしまうのか。
 とはいってもジュリーの役はチョイ役。冒頭にちょこちょこっと喋っておしまい。やっぱジュリーは、もっと派手な、オペラっぽい、あるいは歌舞伎っぽい、大袈裟な演技が似合うなあ。世間では「太陽を盗んだ男」の評価が高いが、個人的に一番好きなのは、「魔界転生」の天草四郎の、ド派手な衣装と演技なんです。髪斬丸に憧れて鞭を買ったし。
 どうも関西が舞台のドラマらしいのだが、長島一茂だけ関東出身という設定らしく、標準語で喋っている。正解といえよう。彼に方言指導は無理だ。というか、あれで売れっ子俳優という設定も無理だが。
 他の人物は関西弁をちゃんと喋っているのだが、主演らしき岡本綾だけは、いわゆる「NHK方言」というのか、珍妙なアクセントで関西弁を喋っている。そうそう、この下手糞なアクセントの関西弁がイヤで、NHK朝ドラが大嫌いになったんだよな。まだ健在だったんですね。いやはや。

 なんでも、バカ売れしたハリーポッターの本に差別用語があったというので、削除されるとか。魔女がみつくちだったという表現があって、それが差別につながるらしいのだが。
 まあ、たいがいの子供向けの本では、魔女は醜怪な容貌をしていることになりますからね。そのうち、「魔女が長く曲がった鼻を持っているのは、ユダヤ人差別だ!」とか、「鼻にいぼがあるのは、いぼのある人差別だ!」とか、「魔女がヒヒヒと笑うのは、ヒヒヒと笑う人差別だ!」とか、「魔女が老婆なのは老人差別だ!」とか言われたりして。そしておとぎ話の悪い魔女は、みんな輝くばかりの美貌を誇る若い女性に。現在のおとぎ話で合格するのは、白雪姫の義母のみ。それはそれで面白いけど。
 そういえば司馬遼太郎にも差別用語の改訂があることを最近見つけました。「言い触らし団右衛門」という短編なのですが、昭和49年発行の「言い触らし団右衛門」(中公文庫)収録では「ああ、小早川家にいたちんばか」という台詞が、昭和62年改版の「人斬り以蔵」(新潮文庫)収録版では「ああ、小早川家にいた足萎えか」になっています。
 ううむ、でも、私としては、「足萎え」と言われるより、「ちんば」といわれたほうが、人情味というか温かみがあっていいと思うのですがね。どうなんだろう。たとえば女性が「おかちめんこ!」と罵られるのと、克明に周到に容貌の欠点を指摘されるのと、どちらが応えるでしょうか。私なら「この助平野郎!」と罵られるより、女性にまったく縁のないこの人生のほうがよっぽど応えますが。


2月9日(金)
 「すごいよ!! マサルさん」をだいたい読み終わる(5巻は売ってなかったのでパス)。読み進むほどに謎が増えていっさい解決されずとーとつに最終回。こんなに読んでる間面白くて読後感最悪な漫画はじめて読んだ。すごいや。

 馬肉三昧。
 ネット通販で馬肉が格安の店を見つけて注文した。格安の秘密はモンゴルからの直輸入。ジンギスカンが乗った馬を俺が貪り食うと思えば、親愛感もわいてくるというものだ。馬に。
 きょう、クール宅急便で届いたのは馬肉赤身刺身と馬肉スーパー霜降り刺身と馬肉タレ漬け焼き肉と馬肉ホルモン味噌煮。まさに馬肉づくしといえよう。あとタテガミとヒヅメがあれば、馬の再生手術も可能だったのに、惜しいことをした。
 スーパー霜降り刺身は表記通りスーパー美味。馬は乗るより買うより食え。馬は食うべし。それがいちばん、美味しい方法だ。

 以下私信。
 もちろんおんぷです。今更何を言うのですか、徳田雨窓様。おんぷに決まってるじゃないですか。おんぷ無くしておじゃ魔女無し。ぽっぷなんかに萌えてるようじゃ人間失格。なにせおんぷは、あの宍戸先生がみずから声をお当てになっているのです。そんじょそこらのアニメキャラとは存在感が違います。伏し拝んで謹聴せねばなりません。おんぷおんぷ。
 あと、クリトリスはもってのほか。汁ももってのほか。厳重注意。くるくるくる、ばっ(柔道主審の手真似)。幼女は十五メートル先から暖かく見守るべき存在です。犯すなんてもってのほか。ダメ。ブー。我々は幼女の敵になってはならない、我々は幼女の味方なのです。よろしいか。分からない人にはストレッチプラム。


2月8日(木)
 「影武者徳川家康」(隆慶一郎:新潮文庫)を読む。
 徳川家康は関が原で死んだ、という設定のもと、ふだん悪人扱いされている家康や風魔忍者を善人に書いた逆転の発想。小説内で使われている考証が強引というか無茶というか、無理矢理こじつけている部分が多いのだが、これは作者の力量不足ではない。そもそも、家康を善人に仕立てるというのが無理な話なのだ。
 ストーリーの部分は面白く、全三巻をいっきに読めてしまう。しかしなんだな、柴田錬三郎の「眠狂四郎」を読んでいても思うのだが、とにかくどんでん返しに次ぐどんでん返しで、そんなに無理すんなよ、素直に書いていいよ、と肩を叩いてやりたくなるほど。それが伝奇小説というものなのだろうか。

 「すごいよ!! マサルさん」(うすた京介:集英社ジャンプコミックス)を読む。
 三巻まで買ってきて、二巻読んでもお目当ての「めそ」が出てこないので心配になるが、ようやく三巻で出現したのでひと安心。ギャグは面白い。絵は……ときどき、凄く冴えたカットがあるのだが、上達して絵が安定してくると、そういう冴えが消えちゃうんだよね、こういう人って。あと、手抜きがはなはだしいコマが再三あって、何を描いているのかわからずにギャグの効果が薄れているところがあるのは残念。


2月6日(火)
 ラブ・サイケデリコはエル・サイケデリコの弟で、空中殺法の得意なルチャ・リブレのファイター。だと、今日まで信じていました。いやマジで。
 今ふと思ったのだが、ラブ・サイケデリコは「LOVEさりげなく」にも似ている。


2月5日(月)
 昨日は好例の「漢の料理の会」(実はもっとちゃんとした名称がある)に行ってきました。風邪気味だったので料理には参加せず、食うだけという、ぐうたらな参加。
 しかしここに来ていつも思うのは、料理は素材だな、50%は素材だな、ということ。貝柱はぷりりとしてはちきれそうだし、鯛はぴちぴちして皮もとても綺麗だし、海老は生でかぶりつきたくなるような健康優良児を惜しげもなく茹でるし。こういう、いい素材を使うからこそ、かけた手間暇がそのまま味に反映するし、手間をかけると確実に美味しくなるからこそ、手間をかけるのを惜しまなくなるし。
 なかでもササミの朝月揚げは完璧でした。ササミの揚げ物というと、どうしてもパサパサになっちゃうのですが、これはしっとりとしていて柔らかく、それでいて中までちゃんと火が通っていて。そのはずです。ササミが違います。ふつうスーパーで見るササミの、確実に三倍はある大きさです。これだけ立派なササミです。おそらく生前は身長三メートルくらいある鶏だったのではないでしょうか。ああ、伝説の巨大地鶏。ボルネオ奥地に住み、オオトカゲやコブラや狼や虎を常食にするという鶏。たまに人家を訪れ、婦女をまるのみにすると伝えられる地鶏。いつかお前に会いたい。


2月4日(日)
 最近、クローン人間を作るとか作らないとか騒がれていますが、あれ、ラエリアン・ムーブメントだったのね。きょう知りました。ラエルじゃなあ、なに言っても聞かないだろうなあ。抗議しても無駄だろうなあ。
 もっとも私の立場は、面白そうだからぜひやっちゃえ、ですけどね。遺伝子が同じだからって、どうせ同じ人間には育たないし。人間の教育というものを舐めちゃいかんよ。ヒトラーのクローンを作ったところでヒトラーになるわけではない。たしか映画の「ブラジルから来た少年」は、家庭環境も揃える、という設定にしてたと思うけど。それでも無理だろうな。不確定性要素が多すぎる。

 自分ではやらないくせにウィンタースポーツを見るのが好きで、BSの選手権中継をよく見るのだが、今日は中止ということで、「スピードグライダー選手権」なるものをやっていた。
 要するにハンググライダ―でタイムを競う競技。なんか見ていると、ものすごい速度で地表すれすれを飛ぶ。墜落したらひとたまりもあるまい。
 なぜか選手はみんな、変な袋みたいなものを尻にぶら下げ、飛ぶときはそこに足を突っ込み、人間芋虫のようになって飛ぶ。そのほうが空気抵抗が少ないのか、疲れないのか。はたから見ていると、「驚異の宇宙人写真集」に出てくる、お馬鹿な宇宙人の目撃報告のようだが。
 しかし笑ったのはアメリカの選手。アクリル板のようなものですっぽりと全身を覆い、尻には尾翼までつけている。その姿は、「お笑いウルトラクイズ」で飛びこみ台から突き落とされる、売れない芸人の扮装にしか見えない。しかもその格好で、勢いよく駆け出すや、即座に失速してクラッシュ。まるで「鳥人間コンテスト」の爆笑名場面集のようだ。クラッシュ後のインタビューでは、「衣装がずり落ちてきて、足が動かせなかった」とコントのような言い訳をかましてくれた。いいなあ、こういう気楽な競技は。


2月2日(金)
 いやはや、昨日はナニを苛立っていたのでしょうか。今更なことを書いたりして、さぞかしご不快な方もおられるかと存じます。熱でイラついてたのです。きっと。許してね。訂正はしなくていいと思うけど。

 今年になって沢田研二がテレビによく出るようになって嬉しい。ドラマは見ないので「オードリー」は見てないし、吉田拓郎と共演したやつは、カラオケでジュリーを熱唱していて見そびれましたが。<アホや
 今日はBS2で沢田研二ワンマンショー。やや肥って、顔がちょっと西川のりおか太平サブローに似てきたが、声は変わらない。くだらないギャグをやりたがる癖も、変わってませんね。歌詞を間違えるのも(笑)。
 いや、あれはわざと変えたのかな? 「もっと血を流してみたい 見知らぬナイフに傷つけば(六番目のユ・ウ・ウ・ツ)」を「もっと汗流してみたい 見知らぬ言葉に傷つけば」と間違えるのは出来過ぎか。やっぱ少年犯罪の折、自粛?
 それにしてもファンというものは、残酷なものです。番組に寄せられたファックス。「大昔から、ジュリーのファンでした」昔を強調するなよ。「どんどん、昔のヒット曲を歌ってほしいです」歌手はね、いつだって、だれだって、"今のヒット曲"を歌いたいものなのだよ。それがないから、困ってるんじゃないか。


2月1日(木)
 星新一に騙されるな。
 星新一はその小説に時事風俗やエロス、バイオレンスを持ちこまない作風から、公明正大な人間だと思っている人が多いが、そういう気分でエッセイを読むと足をすくわれる。特に明治以降の歴史関係は。
 「明治の人物誌」(新潮文庫)はもっともわかりやすい。親父の星一、その親分の後藤新平、またその親分の伊藤博文の派閥の人間ばかりを称揚しているからだ。
 そもそも、「人民は弱し官吏は強し」(角川文庫)では星一の星製薬を一方的な弱者として、政府の強圧に翻弄されるものとして書いているが、これもとんだ欺瞞だ。一介の私企業を政府が圧迫する所以はない。もともと星製薬は、後藤新平がその資金源として育てた企業なのだ。だから後藤の時代には異数の早さで認可を受け、保護もされ、そのため星製薬は異例に伸張した。要するに政党の爪牙だったのであり、ゆりもどしの政権交代で圧迫を受けて当然の存在だったのだ。政党でいい目を見れば、別な日には悪い目も見る。あたりまえだ。それを、星新一は弾圧として書いた。なにが弾圧か。
 星製薬は売薬部門のみの企業であり、大学の医学部や病院には浸透しなかった。というか、浸透するに足るような薬品を産み出さなかった。はっきり言って、消えてもなんともない、くだらない売薬しか生産していなかった。そこに星製薬の脆弱さがあった。
 そのへんのところをSF関係者は無視していたのか。やはり、SF界の長老ということで遠慮していたか。それともSFの人は歴史に無知で、「ほほう、伊藤博文、そんな人がいましたか。へー、そんなえらい人だったのですか」という有様だったのか。後者のような気もしますね。ああ、オレは今更何を書いているのだ。


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