2004年11月17日:お手々つないでメイド喫茶

 かつて、「先達」というものがあった。
 それは、「講」または「御師」と不可分なものだった。
 たとえば、「熊野講」というものがある。これは熊野の霊山へ参詣する旅のことだが、これを先導するのが「先達」であった。かれらは商売人ではない。かつて熊野に旅したことがある経験者を「先達」としておしたて、「先達」は未経験者を導いてさまざまなアドバイスを与えつつ旅をした。現地の宿泊先でかれらを迎えるのが「御師」だった。
 いまの旅行になぞらえると、「講」はツアー、「御師」は現地のホテルならびにガイド、「先達」はツアーの団長とでもいうべきか。

 などとくだくだ日本旅行史を書いてきたのはほかでもない、どうやら私がいつのまにか「先達」にされてしまったようだからだ。
 この場合「講」はメイド講であり、「御師」はメイドさんであろう。
 どのような御利益があるかは知らない。先達にもそれだけはわからない。

 ということで今回も、メイド喫茶初体験のkemekoさんをエスコートしてのメイド巡礼です。
 まずはkemekoさんと駅で待ち合わせ、トレンビーさん、未鏡さんとはラムで待ち合わせ。きょうのラムは「制服お兄ちゃんウィーク」とのことで、先週と恰好とメニューはまったく変わりませんが、入店と退店の挨拶だけが、
「おかえりなさい、おにいちゃま!」
「いってらっしゃい、おにいちゃま!」
 となっております。
 私とkemekoさんが入店したときは、とうぜん、
「おかえりなさいませ、おにいちゃまとおねえちゃま!」
 でした。
 kemekoさん、すっかりこれに萌えてしまいました。さらに店に入ったとたん「少々お待ちくださいませ」と口調が変わることにも萌え、注文を取ったあとにちょっと膝を曲げて会釈するのにも萌え、しまいには隣の人が食っていた「妹手渡しのタイヤキ」にまで萌えていました。こんなにも萌えられると、案内した甲斐があるというものです。

 次はLittleBSD。なんだかよくわからない少年ジャンプのコスプレを的確に指摘しながら、kemekoさんはここでも「ぐりぐりオレンジサワー」に萌え、「小悪魔が握るおむすび」に萌え、「闇串」に萌え、店の雰囲気全般に萌えていました。

 飲み疲れたので、下のCos-Chaでひとやすみ。ここでkemekoさんは給食メニューに萌え、揚げパンに萌え、ソフト麺に萌え、ミートソースにニンジンが入っていることに萌え、ミルメークに萌え、ミルメークがなかなか溶けないことに萌え、ミニスカメイドさんの前かがみギリギリショットに萌えていました。いくらなんでも萌えすぎのような気がしました。

 最後にひよこ家へ。平日夜の三人以上へのプレゼントとして進呈されたひよこ家オリジナルマグカップに、当然のように萌えるkemekoさん。BGMで流れていたトリプルファイターやダイターン3に萌えながら、ラストオーダーまで萌え続けていました。

 というわけで店の印象より、kemekoさんがひたすら萌えつづけていたことだけが印象に残っています。萌えろいい女。
 ちなみにkemekoさんの話で記憶に残っているのは、
・フィンランドはドイツに勝ったからすごい
・フィンランドはロシア人が凍えたから寒い
・フィンランドには不凍港がないからすごくて寒い
・いちどでいいから見てみたい、ベンツのエンジン載せて飛ぶ隼(栄はダメ、金星は論外)
・練馬には自衛隊御用達のエロ本専門コンビニがある
・瑞鶴と翔鶴は無駄に沈んだ
・アメリカの戦車は泥田で沈むから司馬遼太郎はウソ(泥炭なら走る)
・日本の戦車は戦車じゃない
・日本海軍がニューギニアに色気を出さずスエズ運河を突けば勝てた
・イタリアが邪魔しなければ日独で勝てた
・ドイツの戦闘機は航続距離短すぎ、ゲーリング馬鹿すぎ
・ソフト麺はミートソースの入ったお椀にぶちまけるのが正解
・いまの女子中学生は少年ジャンプを読む
・kemekoさんの長女はひらひら嫌い、次女はふりふり萌え
・kemekoさんの娘さんズは無防備
・シャンゼリオンの主人公は仮面ライダーでは悪役
・日本の球技にはFC東京しかない
・萌え萌え萌え
 でした。ビバkemeko。

 あときょうは、やたらに人にものをもらいました。未鏡さんからは災害対策用のソーラーラジオをもらいました。トレンビーさんからはヘネシーのブランデーとボルドーワインをもらいました。kemekoさんからは娘さんをもらいました。人の情けが身に沁みる季節です。


戻る