楽器を選ぶ

 これからサクソフォーンを始めるうえで、まず、よい楽器、よいマウスピース、よいリガチャー、よいリードを選ぶことが大切です。よいスタートを切って、練習を快調に続けるためには、すべてよいものを揃える必要があります。

 サクソフォーン本体は、フランス製のセルマーやクランポンが有名ですが、これらに限らずヤマハ、柳沢などの日本製の楽器も大変よくなりました。ただし、日本製の場合にはグレードがありますので注意が必要です。よい楽器は、音質もよく、キーメカニックもしっかりしていますので、長い間使うことができます。なにも、金メッキなどの特別なものを買う必要はまったくありません。ゴールドラッカーまたはイエローラッカーと呼ばれるもので十分です。しっかりとした楽器を選びましょう。ちょうど、車選びと同じで、乗り心地がよい車のほうが、ロングドライブも疲れませんし、多少高価でも長く愛用できますよね。予算の関係もあると思いますが、ぜひ、しっかりとしたよい楽器を選ぶように心掛けてください。これから初めてサクソフォーンを吹き始める人にとっては、楽器のことなんて何もわからないのが正直な話しだと思います。広告にまどわされることなく、また楽器屋さんにすべてを任せるのでもなく、できればサクソフォーンの専門家に選んでもらうのがベストです。

 同じように、マウスピースもよいものを選びましょう。仮に外国製の有名なマウスピースでも、開き(Tip opening) やカーブ(Facing)、そしてラバーやメタルの素材の違いがあります。また、同じメーカーで、同じ開きやカーブ、素材であってもひとつひとつ大きく違います。そういった意味でもマウスピースの選びは重要です。初心者は、まずラバー素材(よく見られる黒い、エボナイト素材と呼ばれるもの)の標準的な開きのものをお薦めします。たとえば、セルマーC*や同180。マウスピースによって音色が多少なりとも変化しますので、バンドーレンの音色を好む方はそれでもよいでしょう。これも、できればサクソフォーンの専門家に選んでもらうのがベストです。

 次に、リガチャーです。各楽器メーカーが作っているもの、リード会社が作っているもの、マウスピース専門会社が作っているもの、または有名な演奏家の名前がついているものなどたくさんあります。一般的によいとされているリガチャーは逆締めタイプのものです。リード側でネジを締めつけるものではなく、反対側、つまりマウスピースの上側でネジを締めるタイプのものです。逆締めタイプのものは、リードを均一の圧力によってホールドしてくれるからです。素材やデザインもいろいろありますが、それよりもリードと接する部分の形状によっても音色や吹奏感は大きくかわります。重要なのは、マウスピースの形状とあっているもので、リードを均一に締めてくれるものを選びます。実際にマウスピースにリードをつけ、リガチャーを締めた時に、リガチャーとリードの接する部分にすき間がないかどうかを確認してください。なお、この18年くらい「ハリソン」という専門メーカーのもの(これも逆締めタイプ)が好評でしたが、バンドーレン社から新しくでた「オプティマム"Optimum"」は、しっかりとリードをホールドしてくれるよいリガチャーです。

 最後に必要なものは、リードです。いくら楽器がよくても、マウスピースがよくても、リガチャーがよくても、リードが悪ければ、それでいっかんの終わりです。音色、音程、タンギング、高音域から低音域までの音域をサポートしてくれるのが、このリードなのです。悪いリードを使うと音色はダメ、音程もダメ、タンギングが思うようにできなくなり、出ない音まででてきます。一般的に、フランス産のケイン(リードの素材)で、リードを透かして見た時に中央部(ハート)にきれいな山型の影がでるものがよいとされています。ただ、リードによって演奏は左右されますが、あまりにも神経質になっても練習がはかどりませんので、初心者の方には、一般的に広く使われているバンドーレン社のリードの2半から3番のものをお薦めします。

 さあ、よい楽器、よいマウスピース、よいリガチャー、よいリードがそろったら、いよいよ楽器を吹いてみましょう。

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