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no.97 7月20日 サマーコンサート2002を終えて

 サマーコンサートは、定期演奏会に比べて合奏の曲が少なく、曲種も一般に楽しめるものなので指揮者としても演奏者としても気は楽な方です。でも、今回は「Jazz」。特に今回のプログラムはテンポの変化に富むメドレー、速いテンポのジャズ・ワルツ、スロー・バラード、フュージョン、4ビートジャズと、その表現の幅はかなり広い。

 そんな中、一番の難曲は「My favorite things」(私のお気に入り)でした。ある意味では挑戦的な姿勢で取り組まないとできない作品。当初、指定のテンポで演奏するのに、もっとも苦労すると読んでいました。でも各パート一人ひとりが、精力的に、かつ前向きに取り組んでくれたお陰で、指定テンポに余裕をもって演奏できるようにまでになりました。一般バンドでこのくらいの演奏ができれば立派なものだと思います。

 次に難しかったのは、スロー・バラードの「Grace」(グレイス)。「My favorite things」とは正反対にテンポがかなり遅い。クラシックでもそうですが、この手のテンポを苦手とする人が多いはず。この1つの小節に4拍子が2組入るくらいのテンポをキープするのが、言うまでもなく非常に難しかった。どうしても、曲想が高揚する場面ではテンポが速くなってしまう。そして、そのテンポは戻らずままで進んでしまう。しかも、私は、ソプラノサックスを細かなパッセージで吹いている・・・。アップテンポなら、そのままテンポに乗れるが、スローではそうはいかない。指揮者が立っていれば、その問題の解決に繋がるが、指揮者なしでの演奏も苦労するひとつの要因でした。
 しかし、この曲では、音楽が8分音符の単位でパズルのように組み合わさっていること、また、ハイハットシンバルの刻みをよく聴くことが、アンサンブルを成り立たせる秘訣であることをみんなが学ぶことができました。その結果、定演の時よりもかなり上達した演奏となりました。さらに、ホルンのソロ、トランペットのハイトーン、テンポキープの要のドラムス、そして魅惑のピアノを中心に、みんながそれぞれ頑張ってくれたと思います。

 「A Chorus line」(コーラスライン)は、練習初めの頃に集中的にやっていたので、ある程度できるものと安心していましたが、本番一週間前、前日の練習で再び音を出した時に、正直言って不安を覚えました。どれを取っても不安要素が一杯・・・。けれども、本番直前の練習では、以前のバランスの取れたサウンドが戻ってきました。エキストラが3名加わったことも良い方向に作用したのかもしれません。今後は、さらに豊かな表現力とサウンド、ダイナミクスのコントロールができるように励んでほしいと思います。全体の牽引役となったドラムスに感謝します。

 「Sabana Hotel」(サバナ・ホテル)は、単純な4ビートのリズムと全体の音域が狭いため、サウンドの輝きを作るのに苦労しましたが、二人のソリスツの活躍と、随所にメリハリを付けコントラストを加え、さらに手拍子を取り入れたおかげで、聴き手を十分に巻き込んだ楽しい演奏になりました。欲を言えば、途中の各パートのソリが当初のアレンジ通りに吹けていれば、さらにサウンドが輝いたと思います。今回は易しいバージョンにしましたが、次回はオリジナルにチャレンジしてほしいと願います。またドラムスの頑張りも評価したいと思います。

 次に、各アンサンブルの演奏について一言。
 感心したのは、フルートとサックスアンサンブル。フルートはひたむきに練習していて、それが手に取るようにわかる演奏でした。初めてのステージに緊張したでしょうが、次回のステージにも大きな期待が持てる好演奏でした。
 サックスは、ある程度吹けて当然と思われているパートだけに、プレッシャーがあったと思いますが、それを大きくはね返すかのように、2曲めはパフォーマンスを交えながら、しかも暗譜での演奏をしてくれました。正直言って、これには驚きました。これだけのものにするためには、かなりの練習量が必要なはず。合奏の合間に、午後にと・・・。彼ら、彼女らに敬意を表します。
 この暗譜をすることで、たとえ多少のミスがあったとしても、音楽自体が実に生き生きとしているのがみなさんにもわかったと思います。他のパートも、ぜひ見習ってください。
 普段では聴けないコントラバス・アンサンブルは、その魅力と興味でなんとかカバーできましたが、もっともっと歌い込める楽器なので、その特性を生かした演奏を目指してください。
 ブラス・アンサンブルも、演奏者、選曲共に素材は良いのだから、もっと吹き込んで、スカっとするような演奏にまでもっていってほしいと思います。「じょんうぃりあむず組曲」全曲版をぜひ聴かせてください。

 今回のサマーコンサートは、全メンバーが熱心に練習に参加して、その成果が十分に発揮できたセッションだったと思います。その分、個人の休日の時間が減ったと思いますが、こんなに緊張できて、楽しめるものは、そう簡単に他では味わえません。私たちは<音楽>を通して、これを体験しています。この喜びを末永く味わい続けてほしいと思います。

 次の目標は「継続」すること。今回芽生えたアンサンブルの火を1年中、灯し続けてほしいと思いました。そう、できれば定期演奏会でもアンサンブルを発表できる機会を作ってはどうかと。これに賛同してくれるパートは、今からレパートリーの開拓と練習に励んでください。

 最後に、メンバー、手伝いを含め、裏方を務めてくれたみなさん、ご苦労さまでした!

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