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10月19日 日本人の活躍

 昨日と今日の朝日新聞夕刊にベラルーシで甲状腺癌の治療をしている菅谷昭(すげのや・あきら)医師の記事が出ていました。1986年に起きたチェルノブイリ原発事故が原因で、多くの子供達に小児甲状腺癌が発生し、現地の医療機関が対応しきれないでいることが知ったのがベラルーシに渡るきっかけとなったそうです。
 菅谷さんの癌におかされた甲状腺を取り除く手術の技術は特にすばらしく、また傷跡がほとんど残らない。「素晴らしい医師が、日本の大学の地位を捨て、子供達のためにやって来てくれた」と地元の医師は最大の評価してくれて、患者やその家族との間にも厚い信頼関係ができているようです。
 実は、菅谷さんは25年間勤めた信州大学医学部を助教授で辞めて、この被爆治療を行うためにベラルーシに渡ったそうです。普通に考えたら「えっ」と思うような行動です。大学での研究・診療・手術・若手の指導などの仕事に忙殺される中で、学会から帰る飛行機の中で、もし飛行機が落ちたら自分は死ぬが「十分に生きたと満足して死ねるだろうか」と考えたのだそうです。自分が何をしようとしているのかさえ分からなかったその時にチェルノブイリの後遺症の報道に触れ、ベラルーシに行くことを決意したそうです。心暖まる患者からの赤いバラのプレゼントの記事の後の「そろそろ死ねるかな。最近やっと、そんな感じがしてきました」という菅谷さんの言葉が実にさわやかに感じられました。
 私は、こんなすてきな日本人がいることを知っただけで、将来が明るくなったように思え、そして自分もこんな風に生きていけたらとも思いました。

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