2004.6.5OA/TBSラジオ
古田新太の夜な夜なニュースいぢり〜X-Radio[バツラジ]

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古田新太 TBSラジオ夜な夜なニュースいぢりバツラジ。古田新太と……

安東弘樹 安東弘樹がお送りしています。

古田 では、続いてコレ!

安東 昨日、衆議院本会議で著作権法の改正案が全会一致で可決され成立しました。来年の1月から施行されますが、アジア諸国で生産され、日本の価格より安い価格で販売されている邦楽CDの日本への逆輸入を防止するのが狙いです。

古田 なんでだよー!

安東 え?

古田 なんで?

安東 あはは(笑)……っとですね。えー、まあ、ていうか、ちょっと詳しく説明するんですが、アジア各国で販売されている邦楽CDのうち、レコード会社が日本国内販売禁止としたCDの日本への逆輸入が、日本で販売されてから最長で7年間禁止されることになる、ということなんですね。なんで、まあ、輸出専門だよと、そっちだけで売ってね。っていう……。

古田 向こう行って買ってくんのはいいのか?

安東 えー、どう、法律上どう……買って持って帰るっていうのは、個人的に楽しむぶんには大丈夫と。それを販売したり、録音したりしなければっていうことなんですね。

古田 面倒くせえなあ。

安東 でまた、安い洋楽の輸入盤。今ありますよね、当然あの、日本盤よりも安いですよね……。

古田 それでしか買わねえもん、俺。

安東 ま、当然ね、安いですからね。ボーナストラックとかって日本盤も頑張ってますけどね。

古田 いらねえよ、あんなボーナストラックなんか。

安東 ハイッ(苦笑)。これですね、欧米からの並行輸入もなくなって、消費者の利益が侵害されるような場合は規制を見直すという決議も付けられています。

古田 おかしな話だよー。だってさ、日本でさ輸入、あの、輸入された日本用のCDあるじゃん(註:国内盤のことと思われる)。あんなのさ、違いっつったら本当にそのボーナストラックだけでしょ?

安東 ま、そういうことですね。

古田 ボーナストラックなんてもともとアルバムに入ってなかったものだから、ジャマなんだよね。

安東 古田さん的にはジャマ。

古田 ジャマよ。だって、アルバムをさ、アルバムという作品で聞きたいのにさ、そんないらねぇもん付けんなよって。吟味してさぁ、作ってるわけだからさぁ。

安東 はいはい、そうですよね。

古田 オマケだったらよそに付けろ、って感じだよね。

安東 そこに入れるなと。別のCDにしろと。

古田 そうそうそうそう。

安東 それ一理ありますね。起承転結あるようなアルバムの場合、特にね……。

古田 そうだよ。面倒くせえんだもん。なんか、ずっと垂れ流してたら「なんだコレ、全然このコンセプトに合わねえな」っていうとき、「あれ、やっぱボーナストラックだよ! パリン!」みたいなさ……フハハハハハハ。

安東 割っても(笑)……割っちゃったら、ボーナストラックじゃないのも聞けなくなっちゃう……ま、ということで私の説明ではね、説明不足ということなので、今日はですね、今回の著作権法の改正でCD販売の何が変わるのか、問題点はないのかについて、著作権に詳しい音楽評論家の高橋健太郎さんに伺いたいと思います。どうぞ!

古田 もしもし!

高橋健太郎 あ、もしもし高橋です、こんばんはー。

古田 こんばんは、よろしくお願いします。

高橋 はい、こちらこそ。

古田 今回のですね、著作権改正で、具体的には何が変わるんでしょうか。

高橋 えーとですね、今説明があったように、来年の1月1日から日本のレコード会社がアジアのレコード会社にライセンスさせている日本の音楽のCD。これ、還流盤って呼ぶんですけど、アジアでプレスされた日本よりちょっと価格の安いCDが、日本に逆輸入して戻ってきてるんですよね。

古田 はい。

高橋 でまあ、ドン・キホーテとかああいうところの奥のほう行くと売ってたりするんですけども。で、それはまず完全にシャットアウトされますね。

古田・安東 ハァァァーッ!

古田 なぜでしょうねえ?

高橋 ひとつには、もちろん安い並行輸入品なんで2000円くらい、バーゲンだと結構980円くらいで売ってたりするレコードもありますから、そのあんまり安い並行輸入品が売られてしまうと、日本の2500円〜3000円のCDを買う人がそっちへ流れると打撃を受ける。というのがひとつと、もうひとつは、日本の音楽をもっとアジアで売ってきたいというときに、もうちょっと値段を下げていきたい。アジアで売る、特に中国本土で売るには、例えば500円とか600円とかそのぐらいのかなり戦略的な値段でないと向こうの物価に合いませんから。

古田 はいはいはい。

高橋 で、安く中国本土で売りたいんだけれども、それが日本に帰ってきて800円とかで売られてしまうと、あまりに値段の格差がつきすぎて、並行輸入品のほうに人が流れる。ということで1回障壁をつけたい、というのがもともとの発想ではありますよね。

古田 でも……買わないっすよね。

安東 はい?

高橋 還流盤ですか?

古田 いやあのー、日本のCD。日本盤。

高橋 日本盤ですか? まあでも今、日本の音楽、邦楽に関してはほとんど日本の国内盤しか売ってないですから。

古田 そうでしょ。だからその、向こうの輸入品買うヤツっていうのは安いから買うだけで、で、日本盤の正規の値段のものって買わないと思うんですよ。

高橋 買わないっていうのは、それがもし入ってきちゃったら……?

古田 いやいや、入ってきて安く買えるから買うんであって、正規だったらいらねぇってヤツだと思うんですよ。

高橋 まあ、そうかもしれないですよね。

古田 だから、日本の日本盤を買ってる人の数は変わらないと思うの。

安東 あー、なるほどなるほど。

高橋 うーん。ただねえ、実際には日本の今のCDっていうのもアジアでプレスされていたり、実際その還流盤っていうのを見てみると、ほっとんど変わらないですね。何から何まで。

安東 内容がね。

高橋 ジャケットもちゃんと日本語だし、結局アジアに例えば赴任してる日本人の人とかが買うように作られてるんで、そっくりなんですよ。だから、そっくりのものが今はまあ(国内盤)3000円と(還流盤)2000円ぐらいで、ちょっとそういうディスカウントショップで売ってるだけですけど、これが(国内盤)3000円と(還流盤)500円で、しかもプレスも同じだったら相当今とは違うことになりますよね。世の中はね。

安東 (安い方に)流れるというか、ということですよね。

古田 結局は、でも、売れる数が増えた方がいいんじゃないの? とか思っちゃうんですけどねえ。

高橋 でまあ、それについては賛成の人も反対の人もいると思うんですけど、今回の著作権法がすごく問題になったのは、その目的を果たすために、その日本の音楽のアジアからの還流盤だけを禁止するんではなくて、世界中のあらゆる輸入盤も禁止しようと思えば、輸入禁止できる法律ができちゃったんですよ。

古田・安東 はー、なるほどなるほど。

高橋 で今、「そんなことはしませんよ」とこの法律を作成した文化庁も、あるいは日本のレコード協会も言っていて、「アメリカとかイギリスとか先進国から入ってくる洋楽の輸入盤は止まりません」と説明してるんですね。ただ、邦楽の還流防止、還流っていうんですから日本から出して戻ってくるのを禁止って言ってるんですけども、将来、例えば台湾とか香港とか中国本土なりで作られた、例えばマイケル・ジャクソンとかいわゆる洋楽。それが、安い値段で日本に入ってきちゃうことになったら、それは止めると言ってますね。だから洋楽も止まるわけです、そういう意味では。安いと。

安東 はあ、安いと止まるということですね。

古田 じゃあ今、基本的に僕なんか洋楽は輸入盤でしか買わないんですけど、それもなくなっちゃう可能性があるということですか。

高橋 それをね、どこで線を引くかなんですよ。だから今、「先進国のは大丈夫です、発展途上国のはダメです」っていうようなことだけが言われてて、じゃあ、何パーセント安かったらダメなのかっていうのは未だに決まってないんですよね。この法律はまだ、どういうふうに運用するかっていうのがわかってなくて、法律だけでは何とも判断ができない。実際、どのへんでどういうふうにガイドラインを決めるのかとか、あと税関で止めるわけですから……。

古田 そうですよね。

高橋 税関がリスト持ってて「これは通してもいい、これは通してはダメ」とか、あるいはCDにどういうふうに印刷されていたら誰が見ても「ああ、こればダメなんだ」とかにするのかとか、ステッカーなのか、でもステッカーはがせばいいのかとか、いろんなことがあるんですよ。でも、そのへんが法律には何もちゃんとは書いてないんですね。

古田 なるほどなー。

安東 なーるほど。これはあの、非合法の海賊盤とかはもう論外というか、別の話ですよね。

高橋 海賊盤は全然関係ないです。だいたい日本で海賊盤なんてほとんど売ってないし、日本人そんなもの好きじゃないですから、500円でも海賊盤は買いませんよ。

古田 でも、じゃあ、僕なんかはヘヴィメタルが好きなんですけど、ブラジルのヘビィメタルバンド……。

高橋 あ、ブラジルとかが、だからいちばん僕も気になってて、僕はブラジルの音楽はすごい好きなんですけど、「ブラジルは発展途上国です」ってされそうじゃないですか。

古田 そうなんですよ。

高橋 なおかつブラジルの音楽って、すごい実はメジャーのレーベルが多いんですね。そうするとメジャーのレーベルが発展途上国からの洋楽はダメだよっていうようなことを言い出すと、「これBMGです」とかいって「あ、じゃあダメです」とかいうことで止められちゃうようなことになったら、大変ですよね。

古田 面倒くさいですよ! それ困りますよねえ。

高橋 こういう輸入権を持ってる国っていうのは、例えば香港が最近できちゃったんですけども、香港ではやっぱりすごく税関で大変なことが起きてて、で、香港の輸入権っていうのはかなり厳しい輸入権なんですけど、例えばメジャーの大ヒットしてるアーティストが輸入権で「これはダメだ」っていうことになりますよね? ただ、最初の2枚はインディーで出てましたと。そのあとの8枚はメジャーで出てます。で、8枚のメジャー盤は(香港)国内のメジャーから出てますから、「これはダメです」。ところが、最初の2枚はインディーだからいいって言っても税関の役人なんかわかんないわけですよ。

古田 わかんないですよねえ。

高橋 だから、「このアーティストはダメです」というので止められちゃったりしてるんですよね。

古田 うわぁー。

高橋 あと、新譜の場合はこれが輸入禁止なのか、そうじゃないのかって……現物があれば、例えばステッカーが貼ってあるとかでわかりますけど、新譜情報だけだとわかんないですよね。輸入盤の〓〓〓〓(聞き取り不能)が。だから、輸入盤店はそれを調べるためにオリジナル盤のレコード会社に問い合わせをして。ところがこれ、全部の著作権の権利を持ってる人が止める権利があるんですよ。

古田 ほー。

高橋 だからレコード会社に訊いただけじゃだめで、アーティストに訊いて作曲家に訊いて作詞家に訊いて全部の人が「これは大丈夫です」って言って始めて輸入できるっていう。香港ではね、そういうことになっちゃってるんですね。日本がそうなるかどうかはわかんないですけど、ただ、これからどうやって方法を決める、ガイドラインを決める、それの告知の仕方を決める……これからなんです、そこがすべて。

古田 早く決めてもらわないと! 賛同できないですよね、でもね。

高橋 ところが決めないで、もう国会を通過しちゃったわけです。

古田 洋楽ファン、いねえんじゃねぇの?

安東 (笑)。「いねぇんじゃねぇの」って……。

高橋 でもこれもう、5万7千人の人が反対署名してましたし、僕たち音楽評論家とか音楽雑誌の編集者とか数百名もやはり反対の声を上げましたし。だから本当に、レコード屋に行って、自分のお財布開いてお金出して輸入盤買ってるような人はみんな反対してるんですよ。

古田 そうですよねえ。

安東 ま、ただ、逆に言うと、日本のCDが高すぎるっていうこともあるんですかね。どうなんですかね。

高橋 洋楽に関しては例えば、元々の権利を持ってるアメリカのレコード会社とします……(註:語尾少々聞き取れず)。で、アメリカで例えば12〜13ドルで売ってると。で、日本ではまあ、2500円だと。で、アジアではまあ1500円ぐらいだったり、ひょっとするとこれからは400〜500円だったりで出していくわけですよね。で、やっぱり日本は再販制度っていう、本とレコードはどこの店でも同じ定価で売りますよね。この制度があって、なおかつ今度輸入権ていうのが出てくると、安い輸入盤ていうのはあまり安すぎると入れちゃいけないってことですから。そうすると、高値安定になってって日本のCDだけがさらに他の国より高くなる可能性もありますよね。

古田 そうですよね。ていうか、買わねえっすよね。結構これね、著作権の問題でものすごくあの、作り手側も一所懸命やってるんだろうと思うんですけど、結果テメェの首を絞めてるような気がするんですけどね。

高橋 僕がいちばん心配なのはそれで、やっぱりこれで消費者というか音楽ファン反発して不買みたいなことになるかもしれないし、そんなことしなくてもやっぱり高くて、これをやってだんだん売ってるものの種類が減ってくる。値段も選択できないし、種類も選択できなくて、「売れセンのものだけがある」みたいなレコード屋になったらやっぱり買わないですよね。

古田 買わないですよね。

高橋 そうすると、どんどん自分の首を絞めてってしまう。

古田 これ、どういうことなのか意味がわかんないなぁ。

安東 難しい……ま、でも試行錯誤してるんでしょうね。コピーコントロールに関してもあの、まあ、あんまり言えないですけど、レコード会社自体の人も本当はしたくない。したほうが売れなくなるとかっていう話をちょっと聞いたこともあるんで。

高橋 そうですね、コピーコントロールはやっぱりアーティストの権利を守るものですから、これは僕の考え方ですけど、アーティストが守りたいって言ってやるんだったらOKだと僕は思うんですよ。もちろん買う側は「いや、僕はいやだ」っていったら買わなければいいんだけども、ただ、今すごい問題なのはアーティストが「イヤだ」って言ってもレコード会社がCCCDにしちゃうんですよね。

古田・安東 あー、なるほどなるほど。

高橋 そうするとレコード会社の間に立ってる、現場のA&Rとかディレクターみたいな人はもう間にはさまれて、なんとかアーティストの希望でCCCDを回避しようとか、でも、どうしても会社の上の方針でCCCDにしなきゃいけない、アーティストを説得しなきゃいけないとか。そんなとこにばっかりエネルギー使ってるんですよ、今。

古田 ほんとですよねえ! 面倒くせぇなあー、アーティストの意向を聞くべきですよねえ。

高橋 そんなとこにあるエネルギーをもっとちゃんとクリエイティブな方に使ったら、今言ってるようにアジアでね、もっと日本の音楽が売れるようなこともできるかもしれないけど、今もう、日本の国内でアーティストとレコード会社が対立するわ、音楽ファンにはこんなふうにすごく反発されるわってやってると、日本の音楽自体がどんどんつまんなくなってっちゃう。そうすると、どんどん音楽産業っていうものがね、夢がなくなっていっちゃうと思いますねえ。

古田 はーい、どうも、高橋さんありがとうございました!

高橋 はい、こちらこそ。

古田・安東 はい!

高橋 はい、それでは!

古田・安東 失礼しまーす。

古田 ほんっとだよなあ。

安東 ええ、でもよく、わかりやすく説明していただきました。

古田 いやいや、勉強になりました。俺も反対です。

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