太田川流域の植生(花の写真)

はじめに
 「太田川流域の植生調査」と少しお堅いタイトルがついていますが、今手元には全くデータがありません。
これから自分の足でかせいで集めることになりますが、充実するまでには当分の間かかると思います。
そこでこのページでは、その過程で集めたきれいな花の写真を紹介して行くことにしました。
とりあえず花の紹介は季節ごとに進んで行きますが、一部に例外があるかもしれません。

花の写真(文と写真)
1997/10/10:紅葉の始まる季節の花・・・比婆郡比和町吾妻山
1997/09/20:高原の秋の花たち・・・比婆郡比和町吾妻山
1997/08/03:深入山麓と八幡原の花たち・・・山県郡戸河内町、芸北町
1997/06/30:県北にある湿地の花たち・・・山県郡戸河内町、芸北町
1997/06/13:ヒメジョン、キョウチクトウ、ノイチゴ・・・広島市安佐南区西原
1997/05/09:ノイバラ、ニワゼキショウ・・・広島市安佐南区西原
1997/04/24:河原の菜の花とダイコンの花・・・広島市東区戸坂
1997/04/01:さくら!サクラ!桜!・・・広島市中区平和公園、東区不動院
1997/03/26:ヤナギの芽吹き・・・広島市安佐南区西原
1997/03/20:梅とユキワリイチゲ・・・広島市安佐北区安佐町

〜 花の写真(文と写真) 〜
紅葉の始まる季節の花

快晴=文句無し日本晴れに恵まれた体育の日に吾妻山に出かけた。
前回(9/20)には、ほとんどがつぼみであったリンドウが花盛りであった。
草原の上部付近は、それはそれは見事なリンドウのお花畑になっていた。
草原の片隅に、白いキクの花があった。
花の形やつき方などから、シオンの仲間であろうか?

同じく草原に、前回はつぼみであったヤマラッキョウの花が咲いていた。
白いキクの花が登山道の切り通しの上に咲いていた。
厚肉・丸葉のこの花は、斜面にもよく見られた。
キク科の黄色い花も咲いていた。
花の形から、ニガナかオニタビラコの仲間であろう。

夏に来た時に見当をつけていたグミが赤い実をつけていた。
試しに食べてみると、甘さと苦みが混在した味がした。
山腹から吹き上げる秋風になでられて、ススキの穂が揺れていた。

高原の秋の花たち

毎年恒例、マツムシソウ&ウメバチソウ観察のため、吾妻山に出かけた。
池のまわりにはミゾソバ(タデ科タデ属)の群落が見られた。
草原一帯にはゲンノショウコ(フウソロウ科フウロソウ属)が咲いている。

そして今回のターゲット、白く清楚なウメバチソウ(ユキノシタ科ウメバチソウ属)を見つけた。
良かった、と思う間もなく、マツムシソウ(マツムシソウ科マツムシソウ属)も見つけた。
8月中旬から咲き始めたらしいが、まだ群落として咲き残っていたリンドウ(リンドウ科リンドウ属)はつぼみであったが、別の場所では咲いたものもあった。
草地には、これも秋の七草の一つであるカワラナデシコ(ナデシコ科ナデシコ属)。
ヤマハッカ(シソ科ヤマハッカ属)も、群落を作って咲いていた。
薄いワインカラーのヤマラッキョウ(ユリ科ネギ属)は、まだつぼみであった。
黄色がまぶしいアキノキリンソウ(キク科アキノキリンソウ属)も点在している。

吾妻山山頂を目指す登山道から振り返ると、素晴らしいパノラマがひらけていた。

登山道に沿ってイヨフウロ(フウロソウ科フウロソウ属)が、よく咲いていた。
もう少しで頂上という所に一つだけツルリンドウ(リンドウ科ツルリンドウ属)があった。
山頂で展望を満喫した後、同じ道を引き返した。

笹っ原の中に1つだけ?トリカブト(キンポウゲ科?トリカブト属)が目立った。
登山道沿いには、秋の七草であるハギの花も少しだけ咲いている。
草原に降りたところでツリガネニンジン(キキョウ科ツリガネニンジン属)を見つけた。

深入山麓と八幡原の花たち

夏の花を見に、戸河内町の深入山麓の湿地に出かけた。
崖の上には、早くも秋の七草のキキョウ(キキョウ科キキョウ属)が咲いていた。
その近くにはママコナ(ゴマノハグサ科ママコナ属)のつぼみがあった。
サラシナショウマ(キンポウゲ科サラシナショウマ属)も咲いていた。

アキアカネの色も徐々に変わりつつある。
薄紫色をしたヒメヒゴタイ(キク科トウヒレン属)の上に蝶が止まっていた。
マムシにおびえながら湿地に分け入ると、コバギボウシ(ユリ科ギボウシ属)が咲いている。
コナラの林縁に早くもハギ(マメ科?属)の花が咲いていた。

芸北町八幡の長者原にある湿地には、ヒヨドリバナ(キク科フジバカマ属)があった。
これも湿地に咲いていた(?科?属)である。
道路脇の林床にはアキノタムラソウ(シソ科アキギリ属)が咲いていた。

千町原牧場跡の草地に、見事なコオニユリ(ユリ科ユリ属)を見つけた。
そのすぐそばには、小さなアカバナ(アカバナ科アカバナ属)が咲いていた。

県北にある湿地の花たち

朝から天気が良かったので、バイクツーリングを兼ねて県北の花を見に行った。
戸河内町の深入山麓の湿地には、色々な花が咲いていた。

そぐ隣の草地にはウツボグサ(シソ科ウツボグサ属)が咲いていた。
湿地に入りかけると、オカトラノオ(サクラソウ科オカトラノオ属)が咲いていた。
そしてカキツバタ(アヤメ科アヤメ属)とノハナショウブ(アヤメ科アヤメ属)。
葉の形から、ユリ科のようであるが、名前のわからない花があった。

いくつかコバギボウシ(ユリ科ギボウシ属)が咲いていた。
ラン科のようであるが、はっきりしない花も咲いていた(トキソウ?)。
また、白色の花が清楚なミズチドリ(ラン科ツレサギソウ属)も咲いていた。
足下には食虫植物のモウセンゴケが群生している。

乾燥した草地には、オオマツヨイグサ(アカバナ科マツヨイグサ属)が咲き始めていた。
?アザミの花には、ガの仲間がとまっていた。
鮮やかな赤紫色をしたシモツケソウ(バラ科シモツケソウ属)も咲いていた。

少し場所を移して、芸北町の八幡高原を訪れた。
こちらの湿地には、ゼンテイカ?(ユリ科ワスレグサ属)とハンカイソウ(キク科メタカラコウ属)が咲いている。
少し離れて、早くもイヨフウロ(フウロソウ科フウロソウ属)が咲いていた。

別の湿原(池)には、ハス(スイレン科ハス属)の花がよく咲いていた。
同じハスの花にも、ピンク色の濃いもの薄いものがあって、それぞれ上品な美しさをもっている。
低いアングルからねらったハスの花もいい感じだ。
ここからは、池越しにブナの森につつまれた臥竜山(1223m)が良く見渡せる。

側の湿原に、紫色をした花をふたつ(1つめ2つめ)見つけた。
しかし、自宅の図鑑で調べてもよくわからなかった。
いったい何の花だろうか?

ヒメジョン、キョウチクトウ、ノイチゴ

5月の中旬から、太田川の土手にヒメジョン(キク科ムカシヨモギ属)が咲き始めた。
6月に入ると、さながら「ヒメジョン花壇」のようで、なかなか見事である。
土手の下にも群生しているのでのぞいてみると、テリハノイバラ(バラ科バラ属)が咲いていた。
テリハノイバラは地を這うように生育しており、花の形は普通のノイバラとよく似ている。
すぐ側には、赤く熟しておいしそうなノイチゴの実もあった。

土手のすぐ側に重なるように小さな公園があって、そこのキョウチクトウが咲き始めていた。
ここには花がピンク色のもの白色のものが植えられている。
キョウチクトウは花期が長く、夏を通り越して10月まで咲き続けて、我々の目を楽しませてくれる。

古川の土手に紫色をしたマメ科の花が咲いていた。
花の形から、シロツメグサかレンゲソウの仲間のようであるが、わからない。
この時期に紫色の花は珍しいので、さっそく撮影しておいた。

ノイバラ、ニワゼキショウ

久しぶりに近くの太田川の河川敷に下りて歩いてみた。
伸び放題のイネ科の野草に混じって、淡い紫色のニワゼキショウが咲いていた。
カタバミの類かとも思ったが、葉の形がまったく異なっていて、アヤメ科の花であった。
背の高いイネ科の野草の下に、ニワゼキショウが群生していた。

近くに、ムラサキツメグサが咲いていた。
クローバーとして知られる、同じマメ科のシロツメグサとよく似ている。

河川敷の、川のすぐ側(下段)には白い花をつけたノイバラが咲いていた。
かわいらしい白い花ではあるが、やはり茎には鋭いとげがある。
コンクリートの上にツルマンネングサが繁茂していた。
葉が厚肉で、手でつぶすと水分が滴ってくる(ベンケイソウ科キリンソウ属)。

河川敷の下段にヤナギなどの木々が茂り、いい雰囲気をかもし出している。
下段には、カキドウシ(シソ科カキドウシ属)もちらほら見かけた。

キツネノボタン(キンポウゲ科キンポウゲ属)の小さい黄色い花も点在していた。
キツネノボタンの花は直径1.5cmぐらいで、かわいらしい

河原の菜の花とダイコンの花

土手を自転車で走っていると黄色の花が目につく。
たいていが菜の花の集まったものなのだが、場所によりキンポウゲの花もある。
以前はもっとたくさんの花が咲いていたような気がしたが、最近めっきり少なくなった。

カラスノエンドウの花も3月下旬から咲き始めていて、多くは種もでき、花期は終わりそう。
土手の上部には一面にコメツブグサの花(マメ科コメツブグサ属)が群生している場所があった。

土手を走っていると至る所に菜の花の小群生が見られるのだが、ここは比較的大規模であった。
緑の濃くなり始めた河原には菜の花の黄色がよく似合っていて、絵になる風景だ。
もう少し走ったところに同じアブラナ科のダイコンの花が群生していた。
ダイコンの花びらには淡く紫色がかかっており、意外に?美しい。

さくら!サクラ!桜!

今年は例年にも増して暖冬の冬であったようだ。
2月中旬までは、それでも雪など積もったりしていたのだが、下旬になると途端に暖かくなった。
3/15に熊本での開花宣言を皮切りに桜前線も順調に北上を続け、3/22には広島上空を桜前線が通過した。
開花宣言から1週間あまりたった4/1〜2、快晴の陽気に誘われ、
おニューのマクロレンズを手に平和公園まで、お気に入りの自転車を走らせた。

春になると、あちこちでいろいろな花が咲き始めるのだが、その中でも桜の花は別格である。
枝ぶり花付きのよい満開の桜の木の下に立ち、天を見上げると本当に言葉を失う。

太田川を1kmほど遡った所にも花見の名所があり、純白のコブシの花も満開であった。
それから、この時期に純白の花と言えばユキヤナギが目を引く。
ユキヤナギとは言ってもヤナギの仲間ではなく桜と同じバラ科なので、どことなく花の形は似ている。

花見と言えば、一度にたくさんの花を眺めてため息をついたりすることが多いが、
うんと近寄って眺めてみると、それはそれでかわいらしい花だということがわかる。

午後から再び自転車にまたがり、不動院に出かけた。
不動院は室町時代に建てられた名刹で、国の重要文化財であり、境内には国宝の金堂がある。
戦国時代、毛利元就によって滅ぼされた武田家の落とし種がかくまわれて出家、
後に安国寺恵慶と名乗り、毛利方の外交担当僧として活躍している。
案の定、境内の墓地には安国寺恵慶の墓地もあった。

寺の桜は全部合わせても数十本程度であるが、ここだけ時が止まったような静かな境内になじんでいる。
表参道に沿って点在する民家の庭には、黄色のレンギョウが満開であった。

青空をバックに、傾きかけた陽の光に映える満開の桜は美しい。
もちろん、光の届かなくなった桜も美しいままだ。

ヤナギの芽吹き

太田川の河川敷(一番川に近い部分)に数種類のヤナギが茂るようになり、いい感じになってきました。
3月の中旬あたりから急速に新葉が出始め、4月の初めには一斉に新緑に彩られています。

梅とユキワリイチゲ

太田川の中流域にあたるこのあたりは、川沿い+北斜面ということもあり、
安佐南区の平地よりも気温が2〜3度程度低いようです。
ここにユキワリイチゲが咲くのが3月上旬から下旬。
斜面にある林の縁と、道路をはさんだ道ばた斜面に咲いています。

民家の裏ということもあり、淡いピンク色をした梅の花が咲いていました。
足下には、春を告げる新緑色のフキノトウがあります。
ユキワリイチゲの花びら(正確には萼片)は太陽の光が当たると開き、陰ると閉じてゆきます。
がく片は、白色にほんのり紫色がかかる清楚な雰囲気です。
今年は昨年より花が多いようで、たっぷり堪能してきました。

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