『命運を決める一瞬(とき)』 中村直文 NHK出版 ISBN4-14-080569-2 C0095 2001=04=01読了
(新・女子マラソン伝説 )
『シドニーへ』 増島みどり 文芸春秋 ISBN4-16-356990-1 C0095 2001=04=14 読了
(彼女たちの42.195km)
新着本棚を作って振り返ってみると、女子マラソンに関するものが、今回のもの2冊を含め16冊中7冊
を占めている。女子マラソンに対する関心はまたそれだけ高く強いのかも知れない。
いずれも、2000年のシドニーオリンピックを目指した女子ランナーの足跡である。
「命運を決める一瞬(とき)」は言わば一瞬の映像で切りとられたかの様で、もしかしたら、それはTVで
みたその瞬間瞬間の記憶のなぞりなのかも知れない。
なのに「シドニーへ」は文章による記録である。
巻末の取材の記録がそれを物語っていると、読み終えて改めて思った。
だから自分も走るくらいに気合を入れないと一気に読んでしまうということが出来なかった。疲れた(;^^
市橋有里はある意味では被害者と言うことが出来るらしい。
しかし逆にそれを栄養に強く逞しく成長するところが並みではない。
どちらを読んでも共通していることである。
女子マラソンに拘るには私なりに理由がある。選考方法が未だに府に落ちないし、この両書でも触れられている。
「そもそもセビリア世界選手権で銀メダルとはいえ、27分台が自己ベストの市橋を、まだ国内3つの
レースが残って段階でなぜ突然内定したのか」(命運...p58)
「ひとつだけ断言できるのは、世界歴代十傑に入り、今季の世界ベスト5に相当する2時間22分台をマー
クしながらなお落選しなければならない選手が一人はいる、ということだ」(シドニー...p142)
としつ つ、小出義雄監督の言として次の様に言わせている。
「22分台で代表になれない国なんて世界中どこにもないし、おかしな話しだ。弘山は強い、本当に強い
マラソンランナー。現選考レースで22分台をマークした三選手が、内定を受けた選手よりも劣っている
点は少なくともまったくない。自分は指導者としてそう思っている」(同書
p143)
いずれも登り詰めるまでの息詰まる勝負。しかし「シドニーへ」の山口衛里の日記は関西弁でほっとす
ることよ。