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死体の涙 上野正彦 青春出版社 ISBN4-413-03247-0 C0095 2001年8月9日完 普通は「死」とか「死体」などと言う文字が目に入ると、またか、誰が殺されたのか、何 処でとかつい眉をしかめてしまうほど、最近は殺人事件が多い。 いや本当は昔っから多いのかも知れない。 マスコミが発達し情報が素早く全国、全世界に伝わるから、多くなった様に思えるだけ かも知れない。 それは統計に任せるとして、この”監察医の見た「死体の涙」も一気に読んでしまった。 難し(とおもわれる)死を取り巻く話しを著者の人柄に依るところが大なのか、率直に腹に 落ちて読めるのである。 ただ通常の死とは違う、変死や殺人事件を扱う場合が多い監察医という立場から記し ているので、「死」とは何かなどと言う哲学思考好みの方には面白くないかもしれない。 著者は現役の監察医を退いて12年になるという。今になってやっと書き留められると いう酷いものもある(やっと心の整理がついたこと)そうだ。 なかでも、仕事がら死因や死体が最後にみたもの(殺人であれば尚のこと)がなんであ るのか、どんな姿、形をしていたのかが目に残像として残っていないか、そしてそれをとりだすことが出来ないかと、「残像を取り出せ」のなかで試案しているのを興味を持って読 んだ。 生の側から死をみるのではなく、死の側から命の尊さを語りかける。、 |