見えない橋 澤田ふじ子 新潮社 ISBN4-10-121014-4 C0193 2001年5月19日
昨日までそれなりに見えていた橋が突然掻き消えてしまう。
事によっては自業自得の場合も有り得る。
70年、80年と積み重ねてきた人生を欲の皮を突っ張ったばか
りに、全く違う橋を渡ることになる。そんな事件も現代でも後を立
たない。
「見えない橋」はもちろんそんな事件とはかかわりがない。が
作者があとがきで述べているように「見えない橋」で描いた一組
の夫婦や、周辺にちりばめた人物、その動きなどは、時代の様
相こそ違え、実は現代でも私たちのまわりにありふれて起こって
いる物語りである」
敵討ちというのは時代小説でしばしば出てくる場面ではあるが
女敵討ちはお初にお目にかかります。討っても討てずに果てて
も二度と戻れぬ定めなら、あとは市井に埋もれて気ままにすごす。
