必要のない人  内館牧子  角川書店  ISBN4-04-185411-3  
                                2001年10月13日
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   幾つかの短篇のなかの一つが本書のタイトルになっている。
   若いときには、先の定年や働けなくなった時のことなど、なかなか想像できないし考えもしない。ひたすら働き続ける。
   今、リストラが流行って、失業率も5%を超えるとき、ふっとよぎるのは、いずれは自分も必要とされないときが来てどんなおもいで日々を生きるのだろうかと、頭の片隅に染みの様にこびりついている。いやそれはもう来ているのだ。
   読みながら、俺はどうなんだ、俺だったらどうする、と反発し共鳴し慨歎する。
「必要のない人」の他に「可哀想な人」「夏を抱く人」「幸せな人」「別れる人」「光飲む人」の五編。
   「可哀想な人」「幸せな人」はキャリアウーマンの見栄と性。