参議院を国民から選抜された人達による選抜議員の議会にする案

   アフガニスタン兵士からタリバンになった青年の言葉「アフガニスタン政府も軍も腐りきっている。外国からの援助は政府や軍の上層部に私物化されて、兵士までまわってこない。タリバンは貧しいけれど清潔だ。」

 「政府や軍が腐りきっている」、こういうことはアフガニスタンだけでなく、中国は云うにおよばず、大統領や議員が選挙で選ばれたアジアやアフリカの国々でも多いのではないでしょうか。

 民主主義の大国アメリカでもアンケートでは国民の90%が銃の規制に賛成なのに業界のロビー活動などで、法案が通りません。日本でも国民の多くが望む文書交通費や政務活動費の公開が進まない。

なぜ国民の大多数の意思が通らないか、それは被選挙政治家独裁体制に問題があると思います。解散しなければ4年間は国民の大多数が反対しようとやりたい放題できます。

 それで提案ですが、参議院を国民の選抜者の議会とするとよいと思います。

 選抜議員希望者に政治に関する基本的な試験をし、選抜議員資格者をつくり、その中から、その年必要な議員数を抽選でえらび、国民の選抜者の議会とすることはどうでしょうか。

 命を左右する裁判を選挙で選ばれたわけでない裁判官や裁判員がやっていることを考えれば充分できると思います。

 案として、多くの人が参加できるように、また既得権益ができないように、選抜議員の任期は2年間で、原則として選抜議員になれるのは一生に一度だけ、人数は500人くらいで1年ごとに250人づつ半数交代、つまり、先輩と後輩で仕事をすることになる。

 給与は400万から500万くらいにすれば、その額に議員活動に必要な経費をプラスしても一人当たり被選挙政治家(秘書手当、政党助成金を含めた)の10分の1くらいの費用で済みます。

 例えば法案は2分の1の賛成で衆議院は通過し、参議院(選抜議員議会)で2分の1以上の反対で否決されても衆議院の3分の2以上の賛成で成立するのは今までどおりですが、しかし、選抜議員達の多くがその法案に反対の場合、選抜議員議会の3分の2以上の要求で国民投票にすることができるようにする。

 法案は、選抜議会からも出すことができる。国民投票は選挙の時に一緒に行うなどして、国民に負担にならない程度に年に何回か実施するようにする。ある意味、直接民主制と間接民主制の折衷案です。

 そうすれば文書交通費を公開しなくてもよいと衆議院の3分の2以上が賛成しても、選抜議会で3分の2の賛成で国民投票の要求が成立すれば国民投票になるということです。(衆議院は優先されるので2分の1以上の要求で国民投票にすることができる。)

  参議院が選抜議員議会となり、3分の2の賛成で国民投票を実施できると予想される起こる変化。

 国民が望めば、情報公開が進む、文書交通費、機密費、企業への補助金、また消費税が本当に福祉だけに使われているかなども公開され、海外視察の無駄なものや企業献金なども禁止になる確立が高く、政官業癒着もできなくなり、より公明正大な政治になる。

 選抜議員は選挙がないので国会がない時は、専門家と一緒に官僚の仕事ぶりの監視、調査、評価もできる。天下りは適切か、仕事に対して給与は適切か、その行政法人は必要なものか、民営化できないか、無駄使いはないかなど調べることができ、改革が進む可能性が大きいと思います。

 今までの政治は、主に被選挙政治家の政党間等の競争で、よい政治をしようということだったわけですが、それに加えて選抜議会とも競争になるわけで、切磋琢磨され、よりよい政治が行われる可能性は大きいと思います。

 また、ある意味、被選挙政治家は選抜議会と国民投票者の許容範囲内で政治を行うということになります。

 地方でも被選挙政治家独裁の結果、市長が後援してくれた支持者の土地を税金で相場よりも非常に高く買い、市民グループが訴え、裁判で市長に市への損害金額の返還命令が出ても、市長と組んだ多数派の議会が市長は払わなくてもよいというような議決をしてしまいます。

 国会では議員のお金の問題について論じられていますが、地方では議会議長達の税金でのコンパニオン宴会というのがテレビで報じられ、主催した議長はインタビューで、今までの恒例でやっていると述べ、来年もやるともやらないとも云わない。

 コンパニオン宴会に反対した議長がいて、そんな会にお金は出さないと自分の議会に諮ったのですが議員達が否決し、それならばともう一人の議長と議長会でコンパニオン宴会をやめる提案をしたのですが、議長会はそれを否決しました。

 人間の利己主義の強さと、自分の利益に関わる税金の使い道を本人達のみで決められる現在の政治家独裁体制に大きな問題があるように感じられます。

 地方でも被選挙議員を減らして、非常勤の住民選抜議会(日曜日や祭日に議会開き、それ相応の対価を与える。)をつくり二院制にして住民投票を実施できるようにすれば、首長や被選挙議員の横暴も防ぐことができ、政務調査費の公開なども、出来る可能性が大きいと思います。

 現在、スイスにはヨーロッパや南米から多くの政治家や政治研究家が訪れているそうですが、現在多くの国で行われている間接民主制政治に限界を感じ、疑問を持ち始めた人達が増加しているそうです。

 はたしてここ何十年間政治はよくなっているのか、進歩しているか、むしろ後退しているのではないかと思っている人達が増えているということだそうですが、かと言ってスイスの政治のしくみがよいかというと、疑問を持つ人も多いとのことです。

 選抜議員議会というのは一つの提案ですが、現在の被選挙政治家独裁政治の利己主義行為の酷さに見るにつけ、改善方法として考えたものです。