ノイローゼ完治の実践技術、14.我々の進むべき方向 目次 13.創造的な生活が心の健康を保つ等 15.森田療法や行動療法との比較など               

実践の結果は

@心の切り替え精神集中
A心の流れを留めないという創造的な生活

 切り替え精神集中と心の流れを留めないという、この二つの方法の実践をたえず行っていると、心のエネルギーの流れが正常になった上に、神経質の心のエネルギーやその他のエネルギーの出かたも和ら いでくる。
 そうすると心の流れがスムーズになり、はからいもひっかかりも少なくなり、毎日の生活も順調にい くようになる。
したがって悩んだり苦しんだりすることも少なくなる上、この神経質のエネルギーやその他のエネルギーもプラスに働くようになるから、自分の能力も今まで以上に発揮できるようになる。
            

目標をもって生活しよう

 目標を持つことによって心がひきしまる。(よい意味での緊張状態で、マイナス状態になることが少 ない)
 また目標を達成するために、行う行動によって心のエネルギーが開放される。
              

ひとことで言えば

 どういう心の状態で今を生きるのが良いのであろうか。禅ではものごとに心を留めぬこと、さらりとした状態がよいと述べてあり、心のクセでは知・情・意のすべてについて、あっさりした状態になるの がよいと、述心べのている。
 たしかにそのような心の状態で生活できれば、心のエネルギーの流れは順調でノイローゼになること もないであろう。ある僧がいったように、カラリとした心で水の流れのごとく生きるのが良いのではな いだろうか。
             

ノイローゼは遺伝するか

 性格は遺伝するかと聞かれれば、現代の心理学者は、ある程度は遺伝すると答えるのではないだろう か。性格とは心のエネルギーの集合体である。性格が遺伝するということは、心のエネルギーが遺伝す るということである。それは、ノイローゼの素質エネルギーも遺伝するということである。
 私は私がどんなエネルギーを強く持っており、私の両親のどちらからどのエネルギーをもらったか、 だいたいわかる。もちろん弱気のエネルギーも、両親のどちらからもらったかもわかる。
 ただノイローゼ症状という悪癖は遺伝するかどうかはわからない。しかし、私のように親がノイロー ゼにならなくても、その素質をもっているためにノイローゼになる者もいるのだから、ノイローゼにな った人の子孫は、本来その素質はもっている可能性が強いだろうから、そういう人はノイローゼになりやすいと考えてよいのではなかろうか。
           

大悟とは、小さな悟りの積み重ね

 ある僧が、私は悟りの体験を何十回もしているとある本に書いていたが、悟りというのは、気がつく という体験であるから、何十回してもおかしくない。
 釈迦のような見性大悟は、「気がつく」という数多くの体験の中の、大きな「気がつき」であり、そ の時の心の状態は、最良の状態であるかもしれないが、この心の切り替え精神集中と、創造的生活の実 践を続けていると「気がつく」という小さな悟りを、何度も体験することができるのだ。
 集中的に修行を積んで、見性大悟するもよいが、小さな悟りの体験を、積み重ねることも、やはりす ばらしいことではないだろうか。大悟とは小さな悟りの積み重ねと述べた人もいたが、ある意味では正 しいであろう。
             

我々の進むべき方向

 実践を続け、症状もなくなり、神経質のエネルギーも和らいだ、しかし心のエネルギーは、生きてい る限り出つづける、実践をやめれば、また少しずつ神経質の工ネルギーが、溜ってくる可能性もある。
 したがって、これからも実践は続けるべきである。切り替え精神集中の実践は、症状の出方によって 対応するものだから、少なくなるであろうが、創造的生活の方は今までと同じように実践しなくてはい けない。
 実践を続けることによって、他のエネルギーも和らぐことにより、ノイローゼ治癒を越えた、人間完 成の心境がでてくるのではないだろうか。この技術を極めた先には、絶対他力や心身脱落の仏教的境地 が開けてくるような気もする。
             

ノイローゼの予防

 いつかボートで海に遭難した子供と大人について、新聞で読んだ。その時ノイローゼ状態になったり 、頭がおかしくなったのは大人であって、子供は精神的に異常にはならなかった。
 子供は依頼心が強く、自分で問題を解決しようとしないので、精神的な葛藤はなく、ノイローゼには ならないのであろう。ノイローゼは弱気のエネルギーを強くもった人が、他のエネルギー等とかかわり あったりして、悪癖となって症状にあらわれたものと前に述べた。
 幼児や子供にも人みしりのひどい子、異常に神経質の子など、ノイローゼ的素質(弱気のエネルギー )を強く持った人はいるわけであり、その子が少年期、青年期になってノイローゼに陥る可能性が多い わけである。
 ノイローゼの素質エネルギーを持った人が、ノイローゼ症状が現われてくるのはいつ頃からであろう か。それは、早くとも小学校の五、六年からではないだろうか。その頃から自分でものごとを考え始め 、解決しようとするからである。
 問題が出た時、その性格ゆえにひっかかり、誤った解決法を行ったりし、悪い方向へ進んでしまう。 子供でもひっかかるのだけれども、自分で解決しようとしないからノイローゼ症状まで発展しない。
 ノイローゼもガンと固じように早期発見は大切である。そうすれば、早い時期に気がついた人は、苦 しむ期間が短くてすむわけであり、将来ノイローゼになることもなくなる。放っておけば、将来ノイロ ーゼの為に自殺するかもしれない人も、助かる率が増すわけである。
 正しい予防制度をつくることはノイローゼ者を大幅に減らすことになる。「心のクセ」の本に心のク セは傾斜するとあるが、正にその通りで、自分で気づいて治さないかぎり悪くなることの方がずっと多 いのだ。