企画室航空・宇宙基地“赤い稲妻”地球監視ネットワーク生態系監視衛星 “ガイア・21” /巨大隕石の衝突

 【生態系監視衛星/ガイア21       天体衝突      ・・・高度600km/地球極軌道・・・

       巨大隕石の衝突と  

   
     
地球圏生命進化のストーリイ 


   
               

トップページHot SpotMenu最新のアップロード         担当 :   堀内 秀雄   白石 夏美 

   INDEX        wpe74.jpg (13742 バイト)           

プロローグ   2002. 6. 5
No.1 〔1〕 衝突追跡子 “フラーレン(C60)” 2002. 6. 5
No.2

〔2〕 衝突追跡子から見る、ペルム紀末の風景

               水星の概略 

               <彗星と、星間空間の氷/ アモルファス氷 

2002. 6.25

 

 プロローグ                 

                              

   「おはようございます。白石夏美です...                                          

         こちらは、高度600km...地球極軌道...                                 

                生態系監視衛星/“ガイア・21”観測室です...」                 

 

「ええ...新春対談(2002年/1月27日〜3月27日)から、まだ間もないのですが、再びこの

“ガイア・21”観測室からの仕事になりました。よろしくお願いします。仕事の内容とし

ても、“地球生命圏における大量絶滅”の、続編となります...

  どうぞ、ご期待ください!!!

 

 〔1〕 衝突追跡子・・・フラーレン/C60     

 

  地球を見下ろす観測窓は、1m四方の同じ大きさがある。それに並んでテーブル

型スクリーンが配置されている。そして、その無重力空間の壁面に対し、マジックハ

ンド型遊動チェアー3本が起動し、各ポジションを固定している。

  夏美は、手元のコンピューター端末を使いながら、堀内秀雄とポン助がスタンバイ

するのを待った。

「ええと...よろしいでしょうか、堀内さん?」

「うむ...」堀内は、窓を見下ろす形で、マジックハンドの位置を微調整した。

「ポンちゃんも、いいかしら?」

「おう!いいよな!」ポン助は、剣菱の徳利を、遊動チェアーの操作スティックに引っ

掛けた。

「はい!それじゃはじめます...堀内さん、今回は、“フラーレン”の話になるのでしょ

うか?」

「はい。そうですね...“フラーレン”については、“メタンハイドレート”のページで紹

介していますが、大きなデータではないので、再度全文を掲載しておきましょう...」

「はい。お願いします」

  

************************************************************************************

                         <こちらから、全文引用・・・“メタンハイドレート”>

wpe89.jpg (15483 バイト) 担 当 メ モ   house5.114.2.jpg (1340 バイト)

フラーレンの入れ子構造                   

 

「メタンハイドレートのメタン(CHが、氷の結晶に取り込まれている様子

は、球殻状の炭素分子/フラーレンの入れ子構造と似ていないでしょう

か?」

 

炭素原子60個からなる、サッカーボールのような立体的な炭素分子構

造、を“フラーレン”といいます。これには、C60 C70 C84 C102 といった

ようにさまざまなタイプがあります。さて、こうしたものの中に、560個の炭

素原子からなる C560 があります。ところが、この大きなボール状の網カ

ゴの中をのぞいてみると、中に C240 があり、さらにその中にC80 が入っ

ていたといいます。うーむ...一体どうなっているのでしょうか?

  いずれにしても、不思議な光景です。もっとも、電子顕微鏡でようやく見

える世界なわけですが...」

 

「こうした基礎科学における多層フラーレンの発見は、様々な新技術への

応用が考えられるといいます。そして、その1つに、水素原子の貯蔵という

のがあります。このシステムが、軽くて安全性が高いようなら、燃料電池自

動車に応用できるかも知れません。

  それにしても、凍った水分子の結晶が作るカゴが、メタン分子を補足して

いるのとよく似ているような気がします...」

 

                  参考文献: 日経サイエンス/2000年3月号/TOPICS 

                                      担当: 堀内 秀雄 /談

************************************************************************************

 

「ええ、“フラーレン”の概念については、上記のデータで、大体分かっていただけたと

思います...」夏美は、手元のコンピューター端末を読み終えて言った。「それで、こ

のフラーレンと、地球生命圏の大量絶滅と、どのような関係があるのでしょうか?そ

れと、“衝突追跡子”の意味は?」

「はい。実はこのサッカーボール型の炭素の立体構造の中に、不活性ガスが閉じ込

められています。そして、この不活性ガスの由来が、地球外のものだとしたら、このフ

ラーレンは、宇宙から来たものだということになります」

「はい、」

「さて...この不活性ガスは、希ガスとも言うわけですが、具体的にはヘリウム

オンアルゴンなどです。周期律表を縦に下っていく、安定したガスですね...

  これらの元素が、宇宙から来た隕石や宇宙塵に含まれていたものか、地球上に本

来あったものかは、実は簡単に見分けがつくのです。それは、同位体組成が明確に

異なるからです。まあ、炭素原子にも、C12や、C14、あるいはC60といったものがある

ようなものですね...つまり、この同位体組成の違いから、宇宙から来た原子か、地

球に本来あった原子かが分かるのです...まあ、原子核の内部を読み取るという科

学技術力は必要ですがね...

  いずれにしても、そうした宇宙由来の希ガスを内包しているフラーレンは、それそ

のものが、宇宙からやってきたという証拠なのです」

「うーん...はい」夏美は、コクリとうなづいた。

「そして...こうした“宇宙から来たフラーレン”が、古生代・ペルム紀の地層から大

量に発見されたとなると、これがどういうことか分かりますか?」

「うーん...その時代に、巨大な隕石が、地球に落下したということでしょうか?」

「そうまさに、そういうことです

  この仮説は、まだ学会で圧倒的に支持されているわけではありませんが、そうした

証拠が集まってきているようです。

  つまり、地球生命圏に、最大の大量絶滅をもたらした原因というのは、宇宙空間か

らやって来た巨大隕石か、巨大彗星ではないかということです...」

「はい...大量絶滅は、宇宙からやって来るのですか...うーん...そうなのでしょ

うか?」

「ま、繰り返しますが...まだ新しい理論で、学会で圧倒的に支持されているわけで

はありません。しかし、6500万年前の、恐竜が絶滅した際の大量絶滅は、これは巨

大隕石の衝突ということで、すでに学会では圧倒的な支持が得られています。したが

って、2億5000万年前の、ペルム紀末の最大の大量絶滅も、巨大隕石が原因とな

ると、大変な発見になるわけです」

「はい、」

「これは、地球生命圏の生命進化の大きなステップが、宇宙から進入してくる巨大

隕石や巨大彗星がもたらしたとなるわけですからねえ...よく言われるように、恐竜

がもし絶滅していなかったら、人類の出現さえもなかったというわけですから...」

「はい...

「つまり、地球の重力圏に侵入してきた幾つかの小天体が、地球生命圏の風景を、

ガラリ、ガラリ、と変えて来たということですね。これは、大変な意味を持ちます」

「ふーん...」夏美は、あごに指を当てた。「本当なのかしら...」

「まあ、そうなのかも知れません。これまで言われてきたような、数百万年にも及ぶ活

発な火山活動が原因ではなく、古生代の終わりの大量絶滅も、地球に落ちてきた小

天体ではないかというわけですね...

  まあ、これから証拠集めと、詳細な検討が進んでいくわけですが、面白いことにな

りそうです...」

「あの、堀内さん...、恐竜が絶滅した6500万年前の大量絶滅ですが...それ

が、巨大隕石だと圧倒的に支持されているのは、何故なのでしょうか?」

「はい...これは、地質年代が中生代から新生代へ移行する、最後の大量絶滅です

ね。これが巨大隕石が原因だと認定されたは、数々の明確で具体的な証拠が集まっ

たからです。では、まず、そのあたりのことから、詳しく説明しましょうか、」

「はい」

 

≪6500万年前の、巨大隕石の衝突≫         wpe68.jpg (9959 バイト)   

 

「まず、巨大隕石が衝突したという明確な証拠になるのは、何と言っても、その最大

の痕跡であるクレーターの存在でしょう。月には空気がなく、大気によってかき乱され

ることがないので、無数のクレーターがそのまま残っています。

 では、地球どうかというと、小さな隕石は、ほとんどが大気圏の摩擦で燃え尽き、気

化してしまいますね。流れ星が光るのがそれです...

  一方、大きなものはどうかというと、これは燃え尽きることがなく、地球に激突する

わけです。そして、広島に落とされた核爆弾の数百万倍から数億倍というような衝撃

エネルギーを与えます。しかも、大気や海水があるために、その影響は広範囲に攪

乱されます。地球表面を一周し、さらに何週もするというような影響になるわけです」

「はい...大気の存在が、さらに影響を拡大するのですね、」

「そういうことです...

  さて、巨大隕石が衝突すると、クレーターができるだけではありません。その他に、

様々な衝突放出物を残します。そして、こうした衝突の痕跡のことを、いわゆる“衝突

追跡子”というわけです」

「隕石や隕鉄も残りますよね、」

「はい、もちろんです。ちなみに、直径10kmの小惑星が海岸付近に衝突した場合

温度は数千度、気圧は100万倍にもなると計算されています。さらに、高さ90mの

津波、マグニチュード13の地震、粉塵の大気圏への放出。また、大気中に舞い上が

った放出物は、数ヵ月間もの間、地上に降り注ぎ太陽光線を遮断し、地球を冷却化

ます。まあ、大雑把な数値ですが、このあたりで、衝突のおおよその風景は分かると

思います...

  それから、過去6億年の間に、直径5km以上の隕石が、約60回地球に落下して

いるというデータもあります。つまり、そうした時間スケールでは、巨大隕石は、しばし

ば地球に落下しているということですね...」

「うーん...」

「さて、多くの隕石は、イリジウムという元素を豊富に含んでいます。このイリジウム

は、地球表面の岩石には少ししか含まれません。したがって、このイリジウムがたく

さん見つかる堆積層があれば、その時代に巨大隕石の衝突があった証拠とみなせ

るわけです。ちなみに、このイリジウムは、代表的な衝突追跡子です」

「あ、はい...これが、“衝突追跡子”なのですね、」

「そうです」

                                                    

 

「さて、1980年に、カリフォルニア大学バークレー校のチームが、このイリジウムを、

異常に高い濃度で含んでいる地層を発見したと、報告しています。

  場所は、イタリアのグッビオ近郊...厚さ1cmほどの粘土層。粘土層は、6500

万年前の地層と測定されました。これは、まさに大繁栄していた恐竜が絶滅した、

亜紀の末期の地層でした」

「ふーん...何て偶然かしら

「いや、夏美さん...」堀内は、片手を上げた。「これは偶然ではないのです。いいで

すか、そこに真実があり、それが掘り起こされたと解釈すべきなのです...」

「はい、」

「いいですか、ここで、このイリジウムを大量に含む地層の発見によって、恐竜時代が

突然終わったのは、宇宙から落ちてきた巨大隕石ではないかという仮説が生まれた

のです。

  隕石は直径10〜14km...科学的な裏づけのある強力な仮説です。そして、ひ

とつの真実が、しだいに発覚して来たのです...」

「ふーん...はい、分かります」

「これは、当時、“小惑星衝突説”と言われ、各界で激しい議論が沸きあがりました。

そして、世界中の白亜紀末期の地層が、再度精密に調査されたのです。その結果、

どうやら巨大隕石の衝突は、その時、間違いなくあったと分かってきたのです」

「あの、堀内さん...巨大隕石は、イタリアのグッビオ近郊に落ちたのではないので

すか?」

「ああ、そうそう...巨大隕石が落ちたのは、そこではありません。地球規模で撒き

散らされた隕石の放出物が、その地質年代の地層に降り注いでいたということなの

です。まあ、その巨大隕石の衝突を、地球が地層の中に記録していたということで

すね」

「じゃあ、巨大隕石は、何処に落ちたのでしょうか?」

「はい。それは、この仮説が発表された直後、メキシコのユカタン半島チクサラブで発

見されています。メキシコ湾で石油と天然ガスを探査していた物理学者が、巨大な円

形構造を見つけたのです。それは直径180kmもある巨大なもので、後にクレーター

と確認されています。

  まあ、したがって、これが動かぬ証拠になったわけです。しかし、こんな宇宙からの

大災害が、地球の生命進化に大きく関与していたのは、まさに驚きですね」

「ふーん...」

「そうそう、世界中の白亜紀末期の地層が再調査された時、イリジウムの他にさらに

3つの衝突追跡子が発見されています...それは、マイクロスフェリュール(微球粒)

衝撃変成石英、そして密度の非常に高い煤(すす)でした。

  ああ...ポン助君...解説の用意は出来ているかね?」

「おういいよな

「それじゃ、たのもうか、」

「おう

 

h4.log1.825.jpg (1314 バイト)≪ポン助のワンポイント解説・・・No.1≫    

<衝突追跡子の考察......主要な衝突追跡子 

【イリジウム】     【マイクロスフェリュール(微球粒)

【衝撃変成鉱物】   【煤(すす)と灰】

【傷ついた岩】     【地球外フラーレン】

 

「衝突追跡子はよう、現在、上記の6つが知られているよな...こうした物

理的な痕跡はよう、大規模な隕石の衝突では、特にいい証拠になるよな。

まず、これらを、簡単に説明しておくぞ」

 

【イリジウム】

「これは、地球の岩石中には少なくてよう、隕石の中に多い元素だよな。衝

突放出物が堆積した粘土層に保存されてるぞ...」

 

【マイクロスフェリュール(微球粒)

「これは、微細なガラス粒子だよな。衝突の衝撃で溶けた岩石が大気圏に

吹き上げられ、急速に冷却されてできたガラス玉だぞ。ここにはよう、火山

噴出物とはまったく異なる、微量元素も含まれているらしいぞ...」

 

【衝撃変成鉱物】・・・( 衝撃変成石英 / 鉄・ニッケル・ケイ素の変成粒子 )

「この“石英”というのはよう、本来非常に安定した鉱物だぞ。地殻深部の、

高温高圧の環境下でも変成しないぞ。だけどよ、大規模な噴火だと、石英

の粒に平面上にひびが入ることもあるよな。しかしよ、こうした場合は、1方

のひびが入るだけだぞ。衝撃変成石英では、複数の方向にひびが入る

ようだよなあ...」

 

【煤(すす)と灰】

「この煤や灰というのはよ、衝突の際の大火災でできたものだぞ。通常の

ものよりも数万倍の濃度で堆積している地層があるぞ。まあ、燃えたの

は、植物だよな。これは、衝突追跡子としては、みんなが認めているし、反

対意見の少ないものだよな...」

 

【傷ついた岩】 

「これにも、色々なものがあるぞ...猛烈な衝撃波を受けた結果、筋状の

模様(シャッターコーン)が残った岩や、衝突時に飛散した角礫が堆積して

できた岩などもあるぞ...」

 

【地球外フラーレン】

「これが、今回の考察で問題になっている、一番新しい衝突追跡子だよ

な。最初に夏美と堀内さんが説明したようによ...カゴ状の炭素分子の中

に、宇宙の希ガスを抱え込んでるよな。この物質はよう、隕石や小惑星に

乗って、地球へやってきたわけだよな...」

            wpe68.jpg (9959 バイト)         

 

「はい、ポンちゃん、どうもありがとうございます...」夏美が、大気圏表層の風景を

眺めながら言った。「ええと、堀内さん、ひとつ気になっていたのですが...巨大隕

小惑星という表現があるのですが、これは同じものと考えていいわけでしょう

か?」

「はい。そうですね...まあ、言葉のとおりに、多少のニュアンスの違いはあるのです

が、ここでは同じものと考えてください」

「はい、」

                                     

                                              

 〔2〕 衝突追跡子から見る、ペルム紀末の風景 

                                               ( 2002. 6.25 )

「堀内さん、もうひとつ確認しておきたいのですが...」夏美が、地球極軌道で周回

する窓の上に浮かびながら言った。「小惑星や隕石と、彗星との違いを説明していた

だけないでしょうか、」

「うむ。そっちの方も、ポン助君の準備が整っているようだな。ポン助君、彗星につい

て、ざっと説明してくれるかね」

「おう」ポン助は、スティックに引っ掛けてある剣菱の徳利が、無重力で離れていく

のを押さえた。徳利には、支折が作ってくれた大きなコルク栓がしてあった。「彗星

が、大きな楕円軌道を描くのは、知っているよなそれから、カイパーベルト(天王星の外

側にある)オールトの雲(太陽から1〜2光年という星間空間に広がっている)という2つの“彗星の巣”

についても、もう何度か説明しているよなそこでよ、今度は、彗星を形成する星間

空間の、“アモルファス氷”について話す

「ふむ...ポン助君、その前に...まず、間違えやすい“水星”“彗星”について、

少し話しておこうと思うんだがね、」

「おうおれは、いいよな、」

「うむ、すまんな...

  ええ...“水星”というのは、よく知られているように、太陽系で最も内側を回る惑

星ですね。また、太陽に最も近く、灼熱で焼かれている天体であり、その水の星とい

う字とは裏腹に、その表面は水とは無縁の世界のように見えます。

  が、しかし...太陽光の差し込まない極地域の“永久影”には、クレーターの底に

があるかも知れないと言われています。まあ、いずれ、はっきりする時代が来るで

しょうがね。

  ええ、その水星のおおよそのデータは、こうです...

《 水星の概略 》                         

半径    :  約2440km

          (月と火星の中間のサイズ。木星の衛星ガニメデとほぼ

             同サイズです。)

平均密度 :  5430kg/㎥

            (太陽系の惑星の中では、地球の次に密度が高い。ただ

             し、地球は水星よりもサイズが大きいために、重力が

             大きく、物質の圧縮効果が高い。したがって、実際には

             水星の平均密度が一番高い。つまり、これは水星がき

             わめて高密度の物質でできているということである。)

自転周期 :  約59日

公転周期 :  約88日

 

  水星には、大気が無く、昼は強烈な日差しにさらされ、430℃

という灼熱地獄になる。しかし夜は、-170℃という極寒の世界

に変わる。このような世界だから、極の“永久影”のクレーターに

“氷”があると指摘されている。

                                    

 

「はい、」夏美が言った。「ええ...それでは、続いてポンちゃんに、“ワンポイント解

説”をお願いします、」

「おう

≪ポン助のワンポイント解説・・・No.2≫    

 <彗星と、星間空間の氷/“アモルファス氷” 

          参考文献 : 日系サイエンス/2001年11月号/h4.log1.825.jpg (1314 バイト)

                       生命のゆりかご 宇宙の氷

                        (D.F.ブレイク/P.ジェニスキンズ...NASAエームズ研究センター)

「オス

  宇宙空間は、真空だということは知っているよな。何にでも“超”という字

を付けたがる物理学者はよう、この宇宙空間のことを、“超真空”とも言う

ぞ...

  この“超真空”はよう、実は極限の温度である絶対零度(−273℃)に近

い世界だよな。まあ、月や、この生態系監視衛星“ガイア・21”が周回して

いる地球表層などは、いわゆる星間空間よりもだいぶ温度は上がるけど

よ、基本的には宇宙の真空世界だぞ。つまり、“超”寒い所だよな...

  地球にはよう、おれたちが普通思っているよりも、大量の鉄があるぞ。地

球の外核の部分は、どろどろに溶けた鉄が主成分だしよ。そして、宇宙空

間には、おれたちが普通思っているよりも、大量の水があるよな。彗星は、

氷の塊でよう、水はこうした個体の形で存在しているぞ。それから、地球も

太陽系の惑星の1つだし、ここにも大量の水が、液体の形で存在している

よな...つまり、宇宙には大量に水が存在するんだよな...

 

  さて、本題に入るぞ...実はよう、絶対零度に近い星間空間に存在す

る氷は、おれたちが地球上で見る氷とは全く違う氷だぞ。一口で言えば、

宇宙空間の氷は、“アモルファス氷”でよう...まるで液体のような性質を

持っているぞ。そして、こんな氷だから、彗星が生命のもととなる、有機分

を育むことが出来たと考えられているよな...

  とにかくよう、こうした星間空間の氷は、“アモルファス(非晶出物質)だとい

うことだよな。つまり、結晶構造が無いわけだぞ。したがって、分子や原子

の配列は、まったく規則性をもたず、結晶に特有な表面構造もないよ

な... 彗星というのは、こんな氷の塊だぞ...

                                        

 

「ふーん...宇宙の氷って、そんな奇妙な氷りだったのですか...

  はい、どうもありがとう、ポンちゃん。よく分かりました、」

「おうこんなアモルファスの氷だから、彗星は合体していくらでも大きくなるぞ。だけ

ど、中はボロボロだよな...

  “ディープインパクト” という映画でよう、地球に突入してくる彗星に、核爆弾を仕掛

けるシーンがあったぞ。そのシーンだとよう、彗星の中はボロボロでよう、足場が何も

無かったよな...」

「ふーん...彗星って、そうなんだあ...」

「まあ、小惑星だろうが、彗星だろうが、そんなものが地球に衝突したら、核爆弾の何

億倍もの衝撃を受けることになる。事実、6500万年前には、恐竜が絶滅し、地球の

風景は一変しているわけだしねえ、」

「はい、」

 

《ペルム紀の末期の風景・・・》   index.1102.1.jpg (3137 バイト)       wpe74.jpg (13742 バイト)     

                 < 古生物学界からの、衝突説に対する賛同の登場>

 

「さて...」堀内は、遊動チェアーをやや傾け、600kmの眼下に広がる地球を見つ

めた。太陽光が射して来る、朝の境界線の地球だった。これは、何度見ても、荘厳な

眺めだった。

「6500万年前の恐竜の絶滅が...」堀内は、その地球の反射光を、顔に受けなが

ら言った。「巨大隕石の衝突であることがはっきりしてくると、この種の研究は大きく方

向転換したと言われます。こうした地質年代的な大量絶滅は、これまでは長期にわ

たる気候変や、長期的な激しい火山活動にその要因を求めてきました。しかし、こ

こで新たに、天体衝突という、最大級にダイナミックな要素がクローズアップしてきた

わけです」

「はい。あの、堀内さん、気候変動というのは、そんなに大きなものなのでしょうか?」

「うむ。気候変動の最大のものは、“全球凍結”だろうな。地球は、赤道にまで氷河が

押し寄せ、地球全体が雪ダルマのように凍った時期があった。地質学的な調査で、

そうした過去の記憶が、地層に記録されているのを、読み取ったわけです...」

「はい...最近なのでしょうか、そんなことが分かったのは?」

「うむ、そう。最近のことだな。日経サイエンスに、そんな論文があったな...

  さて、夏美さん...激しい噴火と、天体衝突とは、何が違うと思いますか?」

「うーん...その衝撃の強さでしょうか?」

「そう...まさに、その瞬間的な衝撃の強さです。そして、その衝撃波による攪乱の

影響もまた、数千年の規模で集中します。この数千年というのは、地質学的な時間

スケールで言えば、まさに“瞬間的”な出来事なのです。

  一方、火山活動の場合は、同じような影響が出るには、数百万年にもわたって、有

害物質を噴出しつづける計算になりますね」

「ああ...はい、」

「さて、地質学者が天体衝突説で大きく方向転換している時、古生物学の大勢の研

究者たちも、各種の化石記録の再調査を行っています。そして、より信頼性の高い統

計処理をした結果、白亜紀末(6500万年前)ペルム紀末(2億5000万年前)の大量絶滅

は、数百万年という時間スケールではなく、数千年というきわめて短期間に起きてい

たことが分かったと言います。

  まあ、ここも圧倒的な支持を受けているのかどうかは知りませんが、衝突説を強力

に支持する意見が登場したということは、注目に値します」

「はい、」

                                  

 

    

「さて、もう少し具体的な話に入ろうかね。これは別のページでの話だったと思うが、

最近、3つの超大陸の話をしたと思う。ロディニア、ゴンドワナ、パンゲアの話です。2

億5000万年前のペルム紀末期は、たった1つの超大陸パンゲアの時代だった。そ

して海洋も、たった1つの超海洋パンサラッサがあった。