バイオハザード担当: 夏川 清一
「ええ...バイオハザード担当の、夏川清一です。響子さんが多忙のため、私1人で
担当します」
「ええ、ノロウイルスが、日本中に蔓延し、連日ニュースをにぎわせています...
ヨーロッパなどでも、今年は感染者が急増しているようです。それから、カリブ海な
どを航海する世界最大の豪華客船/《フリーダム・オブ・ザ・シーズ》で、集団感染
が発生しています。同豪華客船は、感染して消毒作業を終え、再び出航たわけです
が、再度集団感染が発生したもようです...
うーむ...この豪華客船は、当然、徹底した消毒作業をしたはずです。この、間の
抜けた事実が示すように、ノロウイルスは非常に強力な感染力を持っています。これ
は、新型肺炎・SARS”を彷彿とさせるものがあります...
あるいは、ウイルスが変異して、感染力が増したのでしょうか...ただ、今のとこ
ろは、そうしたデータはないと言うことです。しかし、我々としても、注視して行きたい
と思います。
ええと...症状としては...下痢や嘔吐などを引き起こす、“感染性胃腸炎”です
ね...感染しても、“数日以内に治癒”するケースが多いようです。また、感染して
も、約3割の人には、“症状が出ない”とも言われています。
他の感染症ウイルスに比べれば、“症状は軽い方”ですね...しかし、幼児や、
体力の落ちた高齢者には、相当な打撃にはなるはずです。まれに死亡するケースも
あるようですね。注意が必要です...」
≪ノロウイルスとは・・・≫
「さて...
この、のんびりとした名前のノロウイルスというのは、人だけに感染する小型球形
ウイルスです。そして、“感染性胃腸炎”を引き起こします。毎年、牡蠣(カキ)などの貝
類から検出されるものです。それから、感染した人の便やおう吐物、またそれらが乾
燥したほこりを介して、口径感染します。
今回の感染は、こうした“人から人へ”の、2次的感染が大流行に至ったようです。
【H5N1】鳥インフルエンザが、“人から人への感染型”に変異し、新型インフルエン
ザになることが懸念されている折です。何か、生態系の深い所で、関連でもあるので
しょうか...気になります...
ええ、ともかく、感染後は...24〜48時間の潜伏期間の後、突然発症します。
主な症状は、おう吐と下痢です...効果的な抗ウイルス薬は無いということです。し
たがって、下痢止めなどは飲まないで、“ウイルスは体外へ出した方がいい”とのこ
とです。
治療法としては、水分補給や、栄養補給、点滴などの対症療法しかないようです」
≪感染しないための、注意点は・・・≫
「先ほども言ったように...ともかく、豪華客船や一流ホテルでも、容易に感染が起
こっています...
おう吐物を、“普通に処分してはダメだ”ということです...普通の、酒酔いのおう
吐と見えても、大流行している今は、一応は、ノロウイルスを疑って処理すべきです。
つまり、それらの、汚物の吐かれた周辺を、“塩素系消毒剤”か、“熱湯”で丁寧に消
毒する必要があります。年末のかきいれ時の飲食店などでは大変ですが、新聞など
でも、そういう指示が出ています。
ノロウイルスは、約2週間は生きています...感染後は、徹底的に消毒・撃退し
ておかないと、再感染と言うことになります。豪華客船/《フリーダム・オブ・ザ・シ
ーズ》の例が、良い教訓になると思います。
手は、アルコールで1回消毒したくらいでは、ウイルスは10分の1ぐらいに減るだ
けです...十分な消毒洗浄が必要です...これから、新型インフルエンザの発生も
必ず起こります。手の消毒洗浄、うがい、洗顔等のウイルス対策は、十分に訓練して
おいて欲しいと思います。
また、“ウイルスに汚染された可能性のある物”を、“ビニール袋に入れ、消毒し、
廃棄する方法”...それから、“ドア、手すり、壁などの消毒の方法”なども、その方
法・手順なども、覚えておいて欲しいですね。
これから到来するインフルエンザや、新型インフルエンザの、本番対策としては、
ノロウイルス対策はいい訓練になると思います...いったい、感染症対策とはどの
ようなものか、心の準備をしておいて欲しいと思います...」