My Weekly Journa第1編集室時事短評・政治部短評2001年

 
                  時事短評   <政治部/2000年>       
  

                      

 トップページHot SpotMenu最新のアップロード                   担当 : 青木 昌一       

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No.1  今、あの伝説の“椎名裁定”が必要な時 2001. 2.24
No.2  真の友情まで壊すような事態がないように 2001. 2.24

  

 

                                                         (2001. 2.24)

  今、あの伝説の“椎名裁定”が必要な時 

 

時事短評<政治部>の青木昌一です。

  現在、日本の政治状況は、ますます混乱の度を深めています。しかし、一歩退い

て冷静に眺めてみると、今この国に何が必要かは、はっきりと見えていると思いま

す。それは、言うまでもなく、この国の“大構造改革”です。ところが、与党の最大政

党である自民党の執行部は、“保守修正主義”の人達が実権を握っているのではな

いでしょうか。しかし、この“保守修正主義”という戦略では、この日本の再生は不可

能です。今この国が必要としているのは、あの明治維新のような大改革なのです。

  それにしても、自民党の派閥力学では、何故、加藤元幹事長の改革の芽を潰し、

このような“保守修正主義”の袋小路にエネルギーが集中してしまうのでしょうか。私

は今でも、加藤元幹事長のもとを離れ、別派閥を作ったグループの真意を量りかね

ています。これはむろん、納得のいく説明が、国民に対してなされていないからで

す。まあ、これは数ヵ月後に迫った参議員選挙の折に、しっかりと地元の選挙民に

説明されるのだとは思いますが...

  ところで、今のこの状況は、あのロッキード事件で田中内閣が総辞職した時の状

況に似ていないでしょうか。そして、あの時、大混乱の政局の中で事態を一刀両断

したのが、当時自民党副総裁だった故・椎名悦三郎氏でした。その“椎名裁定”

は、ロッキード事件で有罪となった田中角栄首相とは対極の位置にあった、三木武

夫氏の指名でした。双方ともすでに故人となっていますが、三木武夫氏小派閥を

率いるクリーンな政治家で、まさにライバルというよりは宿敵といった位置にあった

人物です。結局、混乱した政局をじっくりと考えれば、結論はそれしかなかったわけ

です。しかし、激しい政争を抑え、ガス抜きをし、具体的に一気に国民的良識をはめ

込んだ手腕は、まさに“伝説的な椎名裁定”として心に残っています。

  そこで、現在の政局ですが、日本は再度このレベルの“名裁定”を必要としている

のではないでしょうか。与野党の逆転までを視野に入れた政治戦略となると、これは

各党でそれぞれ別々の絵を描いていると思います。しかし、現在、今まさに国民が

渇望しているのは、この国の構造改革へのスタートです。

  したがって、この枠の中で考えれば、自民党の中で構造改革を唱えていたのは、

結局 YKK(山崎、加藤、小泉) だったのではないでしょうか。うーん...さあ、そこで、

誰が椎名悦三郎氏に代わって裁定を下すのか...それにしても、政治の幼稚化が

進行している中で、現在の自民党にこうした大局的な裁定を受け入れる素地はある

のでしょうか。しかし、そうかといって、選択の余地は非常に狭く、参議員選挙を控え

て、国民は厳しい目で見守っています。」

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                                              (2001. 2.24)

   真の友情まで壊すような事態がないように 

 

「さて、もう1つ課題があります。原子力潜水艦による“えひめ丸”の沈没事故です。

これは、原子力潜水艦の一方的な過失であり、犯罪的とも言える事故の様子が見え

てきています。むろん、事故の原因は徹底的に調査し、また“えひめ丸”の引き上げ

も、日本の慣習からすれば、妥当な要求だと思います。それにしても残念なのは、こ

の事故は本来起こらないはずのものであり、防げたはずのものだったということで

す。アメリカ軍内部の規律の緩みは、私たち日本人の想像をはるかに越えたものの

ようです。これが、歴史的に敗北というものを知らない、常勝軍の驕(おご)りというもの

なのでしょうか...

 

  さて、そうした中で、“土下座せよ”とか、“大統領に会いたい”とかの強引な言葉

がマスコミの中で取りざたされています。しかし、多少突っ張ってみるのもいいでしょ

うが、長年培ってきた真の友情まで壊すような事態は避けたいものです。訴訟社会

といわれるアメリカですが、アメリカもまた、今回のことでは深く傷ついているのです。

現在の日本は、あらゆる意味で閉塞状態にあります。そのイライラや、余裕の無さ

が、歪んだ形でアメリカに伝わらないように願っています。

  いずれにしても...多少の小競り合いや喧嘩ができるぐらいが、より仲が良くなっ

たと見ることもできます...また、多少喧嘩をするぐらいが、外交・防衛で自主独立

を求められている日本には、いい刺激になっているのかもしれません...

 

  それにしても、真相を解明していくアメリカのシステムには透明性があり、ダイナミ

ックであり、うらやましい気がします。これは、再発防止という大義名分のもとで行わ

れているのでしょうが、日本ならさしずめ、臭いものにはフタということでしょうか。し

かし、宗教性や、多民族国家という文化的な違いはあるにせよ、このあたりの、透明

性、公正さ、スピードというものは、日本はしっかりと学び取っておくべきです。大きな

悲しみと、憤りを感じる事故ではありますが、ここはしっかりと収穫として押さえておく

べきです。

  あの真珠湾の空襲で始まった太平洋戦争の初戦において、アメリカは飛行機の

優位性というものをしっかりと学び取り、その後の戦略を決定的に優位にしました。

今、日本は同じ様に、アメリカ社会の良い部分を学び取り、これから展開していく構

造改革に、しっかりと生かしてもらいたいものです。

...

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