My Weekly Journal第2編集室文明をデザインして行く時代ポスト資本主義

           wpe7.jpg (10890 バイト)                 ポスト資本主義      wpeA.jpg (42909 バイト)           

              文明・第3ステージの入口情報革命新しい価値観の創出

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 トップページHot SpotMenu最新のアップロード                                 担当: 北原 和也

  wpe89.jpg (15483 バイト)INDEX                            wpe18.jpg (12931 バイト)           

プロローグ   2005. 8.11
No.1 〔1〕時代の流動化 2005. 8.11
No.2 〔2〕資本に代わる新しい価値の創出 2005. 8.11
No.3    <共産主義社会の価値観と、資本主義社会の価値観> 2005. 8.11
No.4 〔3〕情報空間余剰次元の考察  
No.5 〔4〕文明の多様性...多様な価値観  

  

   プロローグ              index.1019.1.jpg (2310 バイト)津田 真 

                                               

My weekly Journal編集長・津田真です...

  今回は、“ポスト・資本主義”という大きなテーマです。そこで...高杉・塾長

来工学堀内秀雄さん、それから女性弁護士理論派での秋月茜さん...そし

て、第2編集室/軍事担当大川慶三郎という...一応、未来推計のできるベス

トメンバーに集まっていただきました。大川慶三郎は、<高度400km/極軌道>

“軍事衛星1号”からの参加になります」

 

“ポスト・資本主義”、そして“人類文明・第3ステージのデザイン”...これは、

まさに、私たちの手に余る、大課題であることは承知しています...しかし、私たち

なりに、“人類文明の未来”を据置く新開地を、少しづつ切り開き、整地しておこうと

考えています。これが、本格的な考察の、“叩き台”になってくれればと願っています」

 

「ええ、それから...

  第2編集室/国際部で、北原和也 が新規採用となっています。大川慶三郎か

ら、再三要望のあった国際部の担当です。準備段階も終わり、今回は進行役も兼ね、

初仕事になります...よろしく、お願いします」

                                <北原 和也>

「今、紹介のあった、北原和也です。      

  “第2編集室”で、国際部の担当になりました。高杉・塾長、津田・編集長、それか

ら大川慶三郎さんに、このホームページの統一的なスタンスの説明を受けました。私

としても、全て納得のできるものです。

  ええ...これを基礎とし、先輩たちと共に、国際部門の考察を展開していきたいと

思います。よろしくお願いします」  

   〔1〕 時代の流動化     wpeC.jpg (50407 バイト)    

                               <軍事衛星1号> 高度400km/地球極軌道    

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  wpe44.jpg (7720 バイト)     wpe44.jpg (7720 バイト)

「20世紀は...」北原が、立ち上がったまま両手を前で組み、話し始めた。「“民主主

義のパラダイム”のもとで、共産主義資本主義が覇(は)を競い、世界中で壮大な闘

争が展開しました。

  20世紀初頭の日露戦争以後...ロシアではレーニンの革命が起こり、共産党1党

独裁“ソビエト社会主義共和国連邦/ソ連連”が誕生し、スターリンに引き継がれ

て行きます。

  一方、日露戦争に勝利した日本の方は、それ以後...列強国の帝国主義になら

い、朝鮮半島と、満州に進出しました。植民地支配...そして中国大陸における軍隊

の乱暴狼藉は、まさに目に余るものであり、“歴史に大きな汚点”を残しました。他の

民族に、多大な迷惑をかけてしまいました。私たちは、その子孫として、“深く反省し、

謝罪し、二度とくり返さない”ということを、“民族としての重い教訓”として行かなけれ

ばなりません。

  さて...その第2次世界大戦後...“国際連合/国連”が誕生しました...そう

した中で、世界の版図は、ソ連邦の主導する共産主義体制と、アメリカが主導する

本主義体制が覇を競い、軍事的対立を深めて行ったわけです...

  ええ...この辺りの、“核の手詰まり”状況に到る、軍事・国際政治関係のことは、

大川慶三郎さんが専門です。大川さん、お願いします、」

  北原は、壁面の大型インフォメーション・スクリーンの方に、目を投げた。

                               wpeC.jpg (50407 バイト)

「はい、」大川が、スクリーンの中で、片手を上げた。   

  背景の、モザイク画像の1つが拡大した。“軍事衛星1号”からの、地球の俯瞰(ふ

かん)画像が、流れて行く...<高度400km/極軌道>のリアルタイムの画像だ。

“生態系監視衛星/ガイア・21”も同じ極軌道だが、高度は600kmで、200kmも

高い所を周回している。“軍事衛星1号”は、その分、見慣れている画像よりの低い。

滑らかに進む地球大気圏表層の画像に、井戸の底を覗(のぞ)くような迫力があった。

「...1945年8月15日...」大川が、無重力空間で、体を自然に縮めながら、ゆっく

り話し始めた。「イタリアドイツに続き、日本が無条件降伏し、第2次世界大戦が終結

します。その直前の8月6日広島に...8月9日長崎に...人類史上初の原子

爆弾が投下されました。広島はウラン型、長崎はプルトニウム型で、ちがう型の原子

爆弾です。

  これ以降、20世紀後半は...ウラン型プルトニウム型原子爆弾、そして水素

の核融合(/太陽と同じ)による水素爆弾という...いわゆる核爆弾が、人類社会に重くの

しかかってくることになります。人類ばかりでなく、地球の全生態系が、絶滅する危機が

訪れたのです...

  さて...1950年...毛沢東“長征”が終わり......中華人民共和国が、

共産主義の世界戦略の版図に加わることになります...“共産主義/世界同時革

命”の機運は、まさに最高潮に高まって行きます...こうした中で、ソ連邦もアメリカ

に対抗し、核爆弾の開発を急ぎます...

  一方、毛沢東は、“長征”の余勢を...国連軍が展開する、朝鮮半島に振り向けま

す。人民解放軍による“人海戦術”で、マッカーサー元帥率いる国連軍を、大陸から一

掃しようと計ったわけです...事実、国連軍は、朝鮮半島から海に追い落とされ...

朝鮮半島は、まさに激しい戦火に晒されて行きます...

  いくら空から爆撃を繰り返しても、解放軍は人の波となって、朝鮮半島を南下して来

ます。それに手を焼いたマッカーサー元帥は、原子爆弾の使用を決断します。しかし、

その申請は、トルーマン大統領に却下されます。

  放射性物質を、中国国境の鴨緑江(おうりょくこう)に沿ってバラ撒くという案も出ました

が、これも却下されます。結局、北緯38度線近くの“仁川”から、逆上陸が始まり、フ

ランスのノルマンディー以来の強襲上陸作戦となったわけです。以降、国連軍と解放

軍との激しい攻防が、朝鮮半島を焦土と化していきます...

  朝鮮半島が、激烈な戦火に晒されたことは、日本は直接参戦していないとはいえ、

植民地支配という歴史的経緯から、道義的な重大な責任があります...“38度線の

北側の住民”に対しても、日本は一刻も早い“謝罪”“経済支援”の体制がとられる

必要があります...」

「はい、」北原が、うなづいた。「現在の拉致問題とは別に、そうした歴史があるわけ

ですね、」

「そうです...日本の植民地支配が終った後、朝鮮半島は戦禍の後に、西側軍事戦

の、大陸での橋頭堡(きょうとうほ)になって行くわけです...その背後に、日本列島

あり、アメリカ太平洋艦隊があり、グアムハワイアラスカがあるという展開です」

「はい」

「さて、朝鮮動乱の次にやって来るのが、ベトナム戦争です...共に、敗戦で疲弊し

ていた日本経済に、“朝鮮動乱特需”“ベトナム戦争特需”をもたらし、戦後の日本が

奇跡の経済復興を成しとげる、原動力となって行く...

  当時、マクナマラ米国防長官は、最大時で50万人の米兵をベトナムに送り込みま

した。この時も、原子爆弾は使用せず...“枯葉作戦”ダイオキシンを使いました。

結局、ベトナムでは、放射能ではなくダイオキシンで、今も後遺症に苦しんでいるので

す...」

「はい、」

「さて...

  キューバ革命で...カストロと共に戦ったゲリラ戦士の英雄...チェ・ゲバラが、

あれは確か、ボリビアの山中だったと思うが...CIAの銃弾に倒れた。そのニュース

が世界中を駆け巡り...日本でも相当に本が売れ、大きな影響があった。

  “弾丸から革命が生まれる”と言ったのは、チェ・ゲバラだったと思う。日本の左翼・

武闘派などにも相当に大きな影響があっただろう。今、定年をむかえつつある、いわ

ゆる“団塊の世代”が、学生だった頃の話です...あの頃の学生は、政治的にも熱く

燃えていました。“中核派”“革マル派”“内ゲバ”などの言葉がありましたねえ。

  結局...“日本赤軍”は、国を追われ...“連合赤軍”が、浅間山荘事件を引き起

こし...それ以降、彼等は中東に活路を見出すわけです...岡本公三らによるテル

アビブ空港乱射事件を引き起こすわけだ。確か...日本赤軍メンバー3人だったと思

います...イスラエルのテルアヴィヴ空港で、小銃を乱射し、手榴弾を投げつけ、“特

攻自殺”をして見せたわけです。

  ところが、岡本公三は、自殺用の手榴弾まで投げつけてしまい、不覚にも、逮捕さ

れることになったわけです。これがいわゆる、最近の中東で起こっている“自爆テロの

原点”です。岡本たちは、それを旧・日本軍の“神風・特別攻撃隊”に学んだわけでしょ

う...

  “自爆テロ”は、ニューヨーク、ワシントン、ロンドンと、中東以外にも拡大し、世界を混

乱に陥れています...しかし、ここで肝心なことは、“何故、自爆テロが起こるのか”

ということです。その原因となる社会背景を改善して行くことを、まず第1に考えなくて

はいけないということです」

「そうですね、」

「さて...話を進めよう...

  第2次世界大戦後の、世界秩序の中で...原子爆弾/水素爆弾ロケット技術

そして宇宙開発技術が、ますます加速して行きます。人類文明は東側(/共産主義)西

(/資本主義)にイデオロギーで分断され、息詰まるような“核戦略下の重圧の時代”

が続いたわけです...」

「結局それは、共産主義資本主義という、“価値観の戦い”だったわけですね?」

「まさに、その通りです!」

「そして今、その2つの価値観を越える“ポスト・資本主義”が、“文明の第3の波/情

報革命”の中で、模索が始まった。こういうことですね?」

「その通りです...

  さて...そうした中で、朝鮮動乱ベトナム戦争を経て、NATO軍ワルシャワ条約

機構軍は、ヨーロッパ平原に大戦車部隊を展開して行ったのです。それに重ねるよう

に、中距離核ミサイルや、核地核砲弾を配備し、戦術空軍/戦略空軍もまた耳を

そばだてて待機しました。

  他に、アメリカを例にとると...“多弾頭化”した大陸間弾道ミサイル核搭載巡航

ミサイル...例の“トマホーク”と、空中発射型がありました。戦略空軍には他に、戦略

核搭載の爆撃機がありました。海軍には戦略核搭載・原子力潜水艦があり、空母機

動部隊や、強襲揚陸艦部隊があり、世界中で、濃密に、幾重にも展開しました。宇宙空

間から海洋、深海底に到るまで、その戦略的版図は無制限に拡大して行ったわけで

す。

  これが...つい最近までの...人類文明の風景でした...また、今も、基本的に

は、その体制は残っています。ただ、敵役である共産主義体制が、崩壊しているわけ

です...

  しかし、世界でただ1国...中国が経済成長と共に軍備拡張に走っています。い

ずれ中国とアメリカが、経済・軍事の両面で、覇権を争って行くでしょう。しかし、時代が

加速しているし、それは長くは続かないでしょう...」

「はい、」

「象徴的なベルリンの壁が...民衆の槌で破壊され...ソ連邦が解体...中国は

共産党指導/資本主義体制に変貌して行ったわけです。しかし、中国は今、急速な

経済成長の真只中にあります。そして、経済成長を上回る軍備拡張を行っています。

海軍も、沿岸型から、近海型/外洋型へと変貌しつつああります。

  今、この中国の軍備膨張政策が...世界の大きな不安定化要因として持ち上が

って来ました。何故、東西対決/冷戦構造が終焉した今、軍事力増強なのかと...そ

こに、新たな覇権主義と、新たな拡張主義が展開して来るのか...共産主義革命は、

まだ終わっていないのか、と言うことです...」

「でも、長くは続かないわけですね?」

「それは、間違いありません。価値観が変り、“文明が第3ステージ”へ突入して行くか

らです...」

                      wpe7.jpg (10890 バイト)  

「うーん...」茜が、津田の方を見た。「そうなのでしょうか?」

「うーむ...」津田は、首をかしげた。「中国共産党は今、“政治体制の維持”で手一杯

でしょう...とても、他には手が回る状態ではないと思いますねえ...それが、全て

のような気がします...

  共産党指導/資本主義経済で生み出した“膨大な富”を...現・政治体制の維持

に向ける手段が、“軍の近代化”“増強”なのだと思います。今では、それが、共産党

指導体制を支える大黒柱かも知れません。そのために、軍備だけが、異常に増強さ

れている気がします」

「でも、それが問題ですね...」

「内を固めるために、外に敵を作る...それは、為政者の常套手段です...

  つまり、それが、江沢民以来の、一連の対日批判であり、共産党指導の正当性の主

張です。皮肉なことですが...軍備増強は、資本主義体制で緩んで行く国民の意識

を引き付ける、共産党の意識面での防波堤なのでしょう...」

「でも...それだけでしょうか?」茜は、重ねて言った。「その結果として、近代化した、

膨大な軍事組織が、物理的に残りますわ...その“産・軍の複合体”が、最大の難

物だということを、知らないのでしょうか?」

「ともかく、小回りはきかないと思います。そして、外からの要因もあります...

  それに共鳴してしまったのが、小泉首相の“靖国神社参拝”であり、大多数の日本

国民も首をかしげる、“国家右傾化”の舵とりです。世界的に、民族主義が台頭し、右

傾化は見られます。

  しかし、“戦前の軍靴の足音が聞こえる”とまで言われる日本の右傾化は、絶対に

“国民の納得”するところではありません。これは、明らかに、何者かが意図したもの

です。“憲法改正”も、“第9条”に手をつける動きは、そうした流れの中にあるもので

す...それがどのような勢力かは、次第に明らかになって来ると思います」

「はい...私もそう思います...

  “新たな身分差別”しかり、“労働の2極化”しかり、“企業減税し、国民の大負担増”

しかりです。いずれも“国民の納得”するところではありません。明らかに、“反・民主

化”の、反動的な流れであり、こんな反動勢力が脈々と生きていたことに、非情に驚

きます...国民自身が、腰を抜かすほどビックリしています...

  したがって、韓国や中国の指摘は、確かに納得のできるものです...韓国や中国

の立場に立って、考えてみるべきです。日本の軍国主義の被害にあった国々とすれ

ば、当然の警戒でしょう。

  そして、あの戦争では、日本国民もまた被害者です。したがって、これは日本国民

自身が総括すべき課題です。日本は、平和憲法を生かし、“日本独自の世界平和戦

略”を持つべき時だと思います。徹底した平和主義”...そして、その延長線上に、

強力なリーダーシップを持つ、“地球政府”の創設に、尽力すべきです」

「はい!その通りですわ!」

「茜さんも承知していると思いますが...日本は今、国家の内部構造が腐敗し流動

しています。官僚機構、資本、政治、マスコミの骨格が、信用破壊を起こしています。

この国に、しっかりとした“信用できるもの!”が、無くなってしまったのです。

  その上、新“しい身分差別社会の創出”などという反動政策を始めています。国民と

しては断乎として、こうした反動政策の芽は、叩き潰して行く必要があります」

「はい!」茜が、姿勢を正した。「私はまず、“NHKの解体・再編成”を急ぐべきだと思

います!同時に、第2、第3の公共放送を育て、認知すべきです!国民・市民・消費

者の側に立つ、消費者団体などが、その候補になります。

  国民主権の日本の国に、“真のシビリアンコントロールを確立”することが急務で

す!しっかりとした、公正な、“国民主権が発動される組織”を築くことが急務です。

司法・立法・行政・マスメディア、それから日本文化全体も、モラルハザードからの“リ

フレッシュ/脱却”が必要です」

「うーむ...

  やることは山ほどあるわけですねえ...ところが、政治が国民から乖離し、機能し

ていない...まあ、“9月11の総選挙”は、場合によっては、“国民全体がボイコット”

というのも、選択肢の1つかも知れません。」

「そうですね。相変わらず、政治が空回りしていますね」

「しばらく様子を見る必要がありますが、“ボイコット”という非常手段は、やる時は徹底

しなければなりません」

「そのような政治空白を作る余裕があるでしょうか?」

「まあ、大丈夫だと思いますね」

「うーん...はい、」

                            index.1019.1.jpg (2310 バイト)     

中国韓国、そして日本も...国家体制、社会体制が、非情に不安定化して来ていま

す。北朝鮮は別格ですが、これは世界的な傾向だと、私は見ています...アメリカ

かつてとは異なり、手放しで安心して見ているのには、やはり動揺をや覚えますから

ねえ...

  また、ロシアも悩んでいますし、イギリスもテロで揺れています。フランスドイツも、

EU憲章の問題で大揺れのようです...むろん、その背後には様々な問題があるの

でしょう...さらに、“国連の機能不全”も、しだいに顕著になってきました...私た

ちは今、まさに、そういう時代にいるわけです...」

「はい...」北原が、うなづいた。「だから...私たちは、新しい世界秩序として、地球

連邦政府を、さらに1歩進めて、“地球政府”の創設を主張しているわけですね」

「そうです。そして、ポスト・資本主義と、その時代を動かす“新しい価値観”の模索を

始めたわけです。

  それと同時に、私たちは、“文明の第3ステージ/情報革命”の中に、すでに飛び込

んいます。この“第3の大波”の初動段階で、このステージの大戦略をデザインしてい

かなければなりません...

  分水嶺の雨水が、最初の溝を刻み込んで行くように、それは後からの修正がききま

せん。最初の水滴が作り出すかすかな溝が、やがて大渓谷となり、地形全体を支配

て行くことになるからです」

「私たちは今、まさに、そうした新文明の入り口に立っているわけですね...」北原

が、前で手を組みながら言った。「高杉・塾長によれば、やがて第3ステージは、“グロ

ーバルブレイン”というような“新たな次元/情報空間”を作り出し、さらに進化して行く

ということです...

  ええ...それでは...ポスト・資本主義“新しい価値観”の創出の方に移ろうと

思います」

  〔2〕 資本に代わる新しい価値の創出   wpe7C.jpg (48861 バイト)

         wpe7.jpg (10890 バイト) wpe74.jpg (13742 バイト)      

 

「資本主義が、“暴走”を始めています...」北原が言った。「ええ、秋月さんは...

 編集長の一言 富は誰のものかで、ポスト・資本主義を提唱されました。そこ

で、まず、秋月さんにお聞きたいと思います、」

「はい...」茜は、赤いメモ帳を開き、片手で押え、北原の方を向いた。「ええ、と...

  社会システムが、その相互作用によって生み出した“果実/富/ゆとり”...これ

は、誰のものなのか?ズバリ...これは会全体で、“正しく公平に再配分”される

べきものです。一部の人たちが、“独占”していいものでないことは、当然であり、明白

です。

  “正しく”“公平に”とは、“慣習法”“法律”に照らし合わせ、“主権が、納得する

平さ”において、ということです...したがって、“功”を認められ、“努力”を認めら

れた者は、それなりに評価され、“再配分”も多く与えられて、しかるべきです。

  それから、“結果平等”は、社会のダイナミズムを喪失させます。社会をダイナミック

に波動させるには、公正なルールのもとに、不揃いがいいのです。そこから、努力と、

工夫と、が育まれます。そこに、感動が生まれ、ドラマが生まれ、豊な芸術が育ちま

す。感動を呼ぶ豊な文化は、まさに、人類のかけがえのない財産になります...

 

  プロ野球選手プロゴルフ選手が...単なるゲームをしていて、国民に生活観の

ないほどの“莫大な年俸”を得ているのは、はたして、どうなのでしょうか...国民・市

民に納得できるものなのでしょうか...野球やゴルフが、次第に国民の人気を失って

きたのには、こうした基本的な問題が、大きく影響していると思います。

  彼等の年俸は、まさに資本主義における“経済原理”によって算出されています。

資本主義国民から乖離し、異常な状況を呈しているのが、ここでもはっきりと分りま

す。ファンがあっての、プロ野球やプロゴルフであり、“果実/富”の一方的な取り過ぎ

は、何にしても“興ざめ”してしまいます」

「うーむ...そうですね...

  マスメディアは、“スポーツの演出”というものを、戦略的に研究して欲しいですね。

さらに言えば、“日本文化の演出”“政治や民主主義の演出”教育や科学技術の

演出”もそうです...その道のプロなのですから、基本に立ち返り、マスメディアの王

というものを、しっかりと再構築して欲しいと思います」

「そのとおりです!」津田が、強くうなづいた。「マスメディアはまず、“経済の原理”

ら、“文化の原理”へ回帰すべきです。そして、何よりも、“主権者”であり、生活者であ

る国民の立場に立つべきです。それが、“民主主義社会の公器”である、マスメディア

本来の姿です」

「はい」茜がうなづいた。

  共産主義社会の価値観...           

                     資本主義社会の価値観...>

       

「さて、」茜が言った。「私たちが、身近に知っているのは、共産主義と、資本主義の社

会です。その、それぞれの社会の価値観は、どのようなものか...簡単に考察してみ

ます。

  資産家や...天下り天国の道路公団...オイル・マネー投機マネー...“努を

ず”に、社会から“高過ぎる報酬”を得ているというのは...“慣習法”に照らしあ

わせても、異常な光景と言えます。

  最近台頭してきたインターネット企業も、あっという間に莫大な資産を集めてしまう

のも、過渡期とはいえ、異様な光景といえます。“富は、本来、誰のものか”ということで

す...誰が汗を流し、富を築いてきたのかということです。

  こうした状況は、社会全体を白けさせ、社会のダイナミズムを失わせます。これが

つまり、“資本主義における価値システム”なわけです。“資産”が、価値の共通通貨

になるわけです。私は、この価値システムは、“文明の第3ステージ”では、破綻すると

考えています」

「うーむ...」北原が、うなった。「別の角度から眺めれば...“泥棒”や、“違法な官

制談合”でも...“金を手中に収めた者”が勝ち、という“価値システム”ですね...

そうしたものは、“第2ステージ/産業革命”までで、“第3ステージ/情報革命”

は、違う価値観になると?」

「いえ...

  資本に代わる、新しい価値システムが必要だと言っているのです。資本主義では、

“資産的価値”が強すぎます。参考のために共産主義と比較してみると、共産主義で

は、“社会的地位”が、高い価値をもっていました。個人所有が大幅に制限された社

では、当然のことです。土地も、個人の所有権は認められていません」

「なるほど、」

「その方が、より民主的であり、良い面も非情に多くあったわけです。しかし、そのうち

に、“赤い貴族”と揶揄(やゆ)されるような特権階級が出現したり、官僚的“無責任/

効率”が蔓延したり...

  結局、人間的な脆(もろ)で、計画社会がシステム・ダウンして行ったのだと思いま

す。同じように、資本主義も、資本の暴走が始まり、その時代的役割を終えたと思いま

す。したがって、いよいよ、ポスト・資本主義の価値観が模索され始めたわけです」

「はい」北原が、腕組みした。

「そうした意味で...“第3ステージ/情報革命”では、“情報の掌握”というものが、

文字通り、1つのキーポイントになるでしょう。ただ、私たちは、“情報そのもの”に価値

を置くのではなく、より民主的なもの、文化的なもの、生活的なもの、精神的なものに、

価値基準を求めようと思っています...」

「はい」

「いずれにしても、」茜は、小首をかしげて言った。「...社会システムの中で活動して

いる以上は、成功者であれ、国民の平均所得の10倍前後までが、国民・市民の納得

のできる報酬ではないでしょうか。それ以上“富”を取り過ぎると、不公平になるという

“社会的コンセンサス”も必要です」

「10倍ですか?」

「例えば、です...

  結局、特定の人々が“パイを多く取り過ぎる”と、他の人の分が少なくなってしまうわ

けです。代わりに、その分を、勲章社会的地位を与えて、栄誉を末永く残すのも、1つ

の方法です。それには、“正しい社会の器”を構築することです」

“正しい社会の器”ですか...それを支えて行くのは、“慣習法”でしょうか?」

「その通りです!さすがに、北原さんは、飲み込みが早いですね」

「ありがとうございます」北原は、額に手を当てた。

“富の配分”をどうするかは、社会を構成する主権者が、決定すべきことです。現在、

日本の国がおかしくなってきたのは、“経済原理”が幅を利かし、“世論”“慣習法”

が無視されているからです...

  “経済原理”が、政治行政マスメディアばかりでなく、文化市民社会まで壊し

てしまったということでは、非情に罪深いものがあります...ともかく、この国では、あ

らゆるレベルにおいて、“シビリアンコントロール”を確立することが急務です」

「はい!」北原が、強くうなづいた。「“シビリアンコントロールを確立すること!”...そ

して、国民が“新・民主主義に覚醒すること!”ですね」

「その通りです!それが、この国の“維新”と...さらに、“地球政府”を創出して行

く、原動力になることを望みます!」

「はい」

                      wpeA.jpg (42909 バイト)     

     〔3〕 “情報空間”“余剰次元”の考察   wpeC.jpg (50407 バイト)

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   〔4〕 文明の多様性...多様な価値観  wpe7.jpg (10890 バイト) wpe74.jpg (13742 バイト)  

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