My Weekly Journal第2編集室地球政府の創設人類の知恵が試される時代

    人類の“知恵”が試される時代  wpe74.jpg (13742 バイト)

   
            地 球 政 府 の 創 設
     
 
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  トップページHot SpotMenu最新のアップロード                       担当 :  大川 慶三郎

    wpeC.jpg (50407 バイト) INDEX        <ブラッキー> wpeD.jpg (8229 バイト)  wpe69.jpg (27792 バイト)   

 プロローグ   2003. 8. 1
 No.1  “地球政府”は、21世紀の最重要テーマ 2003. 8. 1
 No.2  生命圏の奇跡/“知性”“文明”の歩み 2003. 8. 1
 No.3  常に、“人類の総意”が求められる時代 2003. 8. 1



  プロローグ      <大川 慶三郎> wpeC.jpg (50407 バイト) <軍事衛星1号>   

 

「ええ...大川慶三郎です。私が顔を出すのは、ずいぶん久しぶりになります...

  私は、国際部・軍事部門担当で、最近はアフガン戦争、イラク戦争と、軍事衛星1

号で監視任務についていました。

  私が主催するページは、My Weekly Journalの第2編集部です。ここでは、“国

際・軍事情勢”、“時事短評<国際部>、それから最近は中断しいてますが、“競馬コー

ナー”があります...」

 

  第2編集室/喫煙所では、ブラッキーが椅子にドッカリと掛け、タバコを吹かしてい

た。ブラッキーは、元・米海兵隊軍曹で、第2編集部・軍事部門のアシスタントをやって

いる。

「ブラッキー!」大川が、喫煙所の方に声をかけた。「...“危機管理センター”では、

だいぶ活躍のようだな!」

「オウ...元気にやってるぜ!」ブラッキーは、プカリとタバコを吹かした。

「結構!」大川は、片手を上げた。「ま、こっちの方もよろしく頼む!」

「心配はいらねえぜ!」ブラッキーは、サングラスをキラリと光らせ、タバコの灰を灰皿

に落した...

                                              

 

「編集長の津田真です...ええ、もうすぐ梅雨明けになるのでしょうか...

  さて、今回は、“地球連邦政府の考察”という、大きなテーマになりまた。この分野

は、国際部・軍事部門の、大川慶三郎の担当ですそして、“環境・資源・未来工学”

の話は、その方面を担当する堀内秀雄にお願いします。ええと、それから、さらに広

い視野からということで、“文芸”担当の星野支折さんにも参加していただきました。

  それじゃ、さっそく、進行役の方は、慣れている支折さんにやってもらいましょう

か、」

「あ、はい!」支折が、ノートパソコンから顔を上げた。「ええ、お久しぶりです!星野

支折です!

  うーん...大変重要なテーマで、進行役という大役を仰せ付かりました。頑張りま

すので、よろしくお願いします!」

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 〔1〕 “地球政府”は、21世紀の最重要テーマ

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「ええ...」支折が言った。「“地球連邦政府”の話ですから、まず国際部の大川さん

の方から、一言お願いします」

「うーむ...そうですねえ...」大川は、作業テーブルの前で立ったまま、片手をズ

ボンのポケットに突っ込んでいた。「...最近、“環境・資源・未来工学”担当の堀内

さんの方から、“地球連邦政府の創設”という課題が出てきました...

  実は、私も、ボツボツそうした話を始めようと考えていたところです。そういうわけ

で、企画担当の里中響子さんからの話もあり、ともかく、歩き始めてみようということ

になりました。作業を開始することで、この未知の領域の展望も開けて来ると思いま

す。また、それによって、新しい情報にも目が開き、話も固まって来るのではないかと

考えています。

  ま、こんな状況ですが、ひとつ、よろしくお願いします」

「はい!ともかく、歩き始めるということですね、」

「そうです...まずは、歩き始めてみましょう...」大川は、歩き始めると言いなが

ら、ドスン、と椅子に腰を落し、ほくそえんだ。

「うーん...では、津田・編集長の方からも、一言お願いします」

「はい...」津田は、テーブルの上に両肘を立てた。そして、ガッチリと両手を組み合

わせた。「ともかく...人類文明は、21世紀に突入しました...

 

  そこで、分ってきたことは、深まる人類社会の混乱は、国連による小手先の調整

や介入では、収拾が出来ない状況になってきたということです。そこで、国際連合より

もはるかに強力な、“地球政府”の設立が急務になってきたということです。

  半世紀以上も続くパレスチナ問題、旧ユーゴスラビア地域の紛争、湾岸戦争やイラ

ク戦争、インドとパキスタンの核武装化による対立のエスカレート...それから、グロ

ーバル化によって、イスラム文明とキリスト文明の衝突が起こり始めています...

 

  “地球政府”“地球連邦政府創設は、これから浮上してくる21世紀社会の、

最重要テーマだと考えています。これからの十数年間は、おそらく人類史的な意味

においても、まさに人類の知恵と総意が試される時代になると思います...

  現在、我々は豊な立場にあるから、この体制のままがいい、などというのではな

く、DNA最高モードの知的生命体として、全生態系のことを考える、真の理性が求め

られている時だと思います...

 

  強力な、“地球政府”の指導で、克服されるべきテーマを、幾つか列記してみます。

現在の世界システムでは、どれ1つとして容易なものはありません。しかし、“地球政

府”が出来ることによって、本格的な21世紀社会の調整が進行していくものと思いま

す。

 

  人口爆発・食糧問題・飢餓...環境汚染...

  冷戦構造の終焉以後に活発化してきた、民族対立、宗教対立、テロ...

  グローバル化による、イスラム圏とキリスト圏の、文明の衝突...

  ヒトゲノム解読後に問題化してきた、ヒトのクローン、家畜のクローン...

  社会的差別を生み出す、遺伝子レベルでの、究極的プライバシー...

  グローバル化で、地球規模の危機が毎年叫ばれる、感染症の脅威...

  建設的な意味での、人類文明の形態や、太陽系空間の開発...

 

  ...これら全てが、人類文明全体のデザインに関係してくるテーマです...」

「はい、」

「まあ...」津田は、両腕を左右に開いた。「21世紀社会において、こうした全ての

難問を克服して行くには、人類社会全体を単一の“地球政府”で統治していくのが

ベストだと思います。武装国家乱立、対立と調整型の世界構造では、これらの膨大な

難問は、永遠に解決できません」

「はい!」支折が、コクリとうなづいた。

「そして、こうした問題を解決できない時、何が起こるかといえば、人類社会の中で、

“弱肉強食”の現象が顕在化してくるということです。“弱肉強食”というのは、文明の

流れとは逆行する、“野生の流れ”になります。むろん、人間も“大自然に帰れ”という

ような流れもありますが、それにしても現在の状況下では、人口が多過ぎて、それも

不可能な状況です...」

「うーん...はい、」

「すでにアフリカなどでは、深刻な飢餓が起こっていますが、今後予想される大飢餓

はこのレベルの比ではないはずです。それこそ、“人類が半減するような巨大飢餓”

が、いとも簡単に起こるかも知れないということです。

  これからは、ともかく人口爆発が進行し、その重さで環境悪化も着実に進みます。

そうした状況下で、当然の帰結として見えてくるのは、“食糧の絶対量の不足”です」

「うーん...“絶対量の不足”ですか、」

「そうです。ともかく、食糧問題を、甘く見ないことですね。生物というのは、ともかく餌を

食べて、エントロピーを排泄するというのが、最大の仕事なのです...

  それが、エントロピー増大宇宙の中で、生態系を維持し、生命体を維持し、“知性”

を保持できる唯一の方法なのです。また、これが、熱力学の第2法則である“エントロ

ピー増大”に拮抗する、“構造化と進化”“生命潮流”なのです。

  しかし...餌がなくなった時、そこでは飢餓が起こり、生物体の個体数が激減する

のです。これが、生態系の中の食物連鎖の流れです。ヒトのような、大型哺乳動物の

人口爆発ということでは、すでに地球の生態系は破局点に到達していることを知るべ

きです...現状は、非常に、きわめて、壊れやすい状況だということです...」

「それを支えているのは、科学技術でしょうか?」

「まあ、そうです...

  しかし、異常気象が3年も続けば、大混乱になることは間違いありません。特に、

食糧自給率が40%台というような日本では、まさに現在の北朝鮮のような状況が起

こってくるはずです。食糧の備蓄も、多くはないといわれますし。まあ、ともかく、今か

らでも、“大量・恒久備蓄”を開始すべきですね」

「はい...」

「ま、いずれにしても、私たちは、こうした当面する人類史的課題を、のり越えて行か

なければならないわけです。そして、どう見ても、この地球生命圏には、70億という

人口さえ多過ぎるということです...

  日本で叫ばれている“少子化”の問題も、その子供達が、将来にわたって安定な

生活が保証されるのかまで、是非考えて欲しいものです。目先の年金問題などで、人

口を増やせなどというのは、非常に無責任な話です...年金問題などは、社会の運

営が公正に行われていれば、互いに我慢すれば乗り切れる問題なのですから、」

「うーん...やはり、人口は減らせということでしょうか?」

「そうですこの問題は、避けて通るわけには行かないでしょう...

  つまり、どのような形を取るにせよ、地球上の人口を“半減”させなければならない

でしょう。地球の全生態系への負担を、ともかく軽減しなければならないのです。例え

ば、文明を地下都市へシフトするとか、太陽系空間へ拡散するとかでもいいわけです

がね...

  しかし、もしそれが出来ない場合...このまま行けば、この地球の全生態系は、

人口爆発で沈没します...これは、火を見るよりも明らかなことです...」

「すると、どうなるのでしょうか?」

「まあ...あの地質年代的な、種の80%以上が絶滅するというような、地球規模の

大量絶滅が起こるかも知れません...あるいは、もっと穏やかな、飢餓による人類

文明の衰退と、大都市の消滅・廃墟のような風景かも知れません...

  飢餓によって体力が衰えている所に、インフルエンザやSARSが世界的に大流行

すれば、地球の全人口が1割に激減するのも、いとも簡単なことだということです。私

たちの人類文明は、まだきわめて不安定な基礎の上に成立していることを、しっかり

と認識しておくべきです...」

「うーん...だから、“地球政府”による、総合的な政策が必要になってくるということ

ですね?」

「そうです!今はまさに、民族紛争などをやっている時ではないのです。人類文明全

体の危機が、地球規模で襲いかかろうとしている時代なのです」

「はい!

  ええ...堀内さんは、“資源・環境・未来工学”の立場から、“地球連邦政府”の必

要性を説いておられる訳ですよね、」

「はい、」堀内が言った。「津田・編集長が、今もだいたい説明してくれましたので、詳

しいことは、後で考察していきましょう」

「はい」支折は、コクリとうなづいた。

 

 〕  生命圏の奇跡/“知性”“文明”の歩み! 

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民族対立・宗教対立・文明の衝突 を 越えて

 

「ええ、それでは...」支折が言った。「大川さん、そもそも“地球連邦政府”とは、具

体的にどのようなものを想定しているのでしょうか。簡単に述べていただけないでしょ

うか。その後で、皆さんのご意見を伺おうと思います」

「そうですねえ...」大川は、片手で髪を撫で上げた。「これまで、人類は、“国際連

盟”、“国際連合”という、2つの国際組織を作ってきました...

  “国際連盟”は、第一次世界大戦後、アメリカのウィルソン大統領などの提唱によ

り、1920年に成立しました。目的は、世界平和の確保と、国際協力の促進です。加

盟国は五十数カ国でした。本部は、スイスのジュネーブに置かれましたね...

  しかし、この“国際連盟”は、アメリカのウィルソン大統領が主唱したにもかかわら

ず、アメリカは当初から不参加でした。これは、アメリカ合衆国の議会が反対したから

です。

  そして、それから13年後の1933年...日本が、満州問題が原因で脱退するこ

とになります。そして、ドイツ、イタリアも日本に続きました。また、ソ連は、フィンランド

との戦争で除名されます。これで、“国際連盟”は、有名無実の国際組織となり、第二

次世界大戦へと突入して行ったわけです...

  “国際連合”というのは、いわゆる、私たちがよく言う“国連”のことです。これは、

第二次大戦後の、1945年の10月24日に、正式に成立しています。これは、“国際

連盟”の精神を受け継ぎ、それをさらに強化した組織です。目的は、平和と安全の維

持、各国間の友好関係の促進、経済上・社会上・文化上・人道上の問題について、国

際協力を達成する、というものです。1997年現在で、加盟は185ヶ国です。本部は、

よく知られているように、アメリカのニューヨークにあります...」

「はい、」支折が、うなづいた。

「まあ、これらの国際組織も、それなりに機能し、人類文明の歴史的な役割を果たし

てきたのは間違いありません。

  しかし、21世紀に入った今、これまで以上に強力な、“地球政府”の必要性が高ま

ってきたのです。まさに、先ほど津田・編集長も言われたように、“地球政府”が、必

要な時代になったのです」

「うーん...“地球政府”ですか、」

「そうです...

  しばしば、“地球連邦政府”と言うように、“連邦”という言葉を入れていますが、こ

れは、これまであった国家や民族の自治権というものを、出来るだけ尊重しようと考

えたからです。例えば、アメリカ合衆国のように、各州に自治権を与え、その上に連邦

政府を置くというような仕組みを考えているわけです...

  つまり、これまでの国家という枠を、連邦という形で取りまとめようというものです。

これは、アメリカ合衆国や、旧ソ連邦のような形態を考えています。とりあえずは、こ

の方が、スムーズに移行できるだろうということですね...」

「うーん...そうすると、地球連邦政府の大統領は、絶大な権力をもつことになりま

すね?」

「まあ、大統領制と決めているわけではありません。少人数の委員会のようなものを、

トップにおいてもいいわけです。ともかく、トップは、あまり多人数がいいとは思えませ

ん...人数が多くなると、物事の決定が難しくなります。また、責任の所在も明確で

なくなりますからね」

「うーん...はい、」

「地球全体を...」津田が、人差し指を立て、口を開いた。「1つの政府で治めれば、

無用の紛争は回避できるのです。大川が日頃言っているように、パレスチナとイスラ

エルの紛争は、もはや解決不能なほど泥沼化しています。こうした状況を脱却するに

は、もはや“地球連邦政府”のような、強力なリーダーシップで押さえ込むしかないで

しょう。むろん、当面はその力の背景に、軍事力も必要です」

「うーん...大川さん、そもそも、このイスラエルをめぐる混乱は、どうして起こったの

でしょうか?」

「そうですねえ...」大川は、腕組みをした。「知っている人は、百も承知なことです

が、まあ、説明しましょう...もう、半世紀以上も前になりますか...あの第二次世

界大戦が終って...

  あの戦争で、ナチスによるホロコースト(大虐殺)がありました。600万人ものユダヤ

人が、ガス室などで大量虐殺されたといいますね。ポーランド南部のアウシュヴィッツ

には、今もその強制収容所の跡が残っています。まあ、いかに民族浄化とはいえ、

信じられないような話です。とくに、私たちのように、日本という単一民族の島国で暮

らしていると、他民族をそれほどまで憎むということが、理解できないものがありま

す...

  しかし、ともかく、そのホロコーストは、実際に起こったことなのです...そこで戦

後、シオニズム運動(パレスチナに、ユダヤ人国家を建設しようとする運動)が最高潮に高まり、戦勝国

側の国際社会が、パレスチナの地に、イスラエルの建国を許したのです。そこは

2000年前、ダヴィデ王の下で繁栄を誇っていたユダヤ人の国/イスラエルがあった

場所なのです。

  いずれにしても、このあたりは旧約聖書の世界であり、詳しい説明はさけることに

します。門外漢の私が、キリスト教ユダヤ教、それからイスラム教の絡む領域に立

ち入るのは、あまりにも僭越な感じがします。ただ、キリスト教とユダヤ教が違うの

は、キリスト教ではイエス・キリストメシアだとするのに対し、ユダヤ教では、メシア

はまだ出現していないとしているようです...

  まあ、ともかく...そういうわけで、1948年、それまでのイギリスの委任統治終了

とともに、シオニズム運動でパレスチナに流入したユダヤ人が、イスラエルを建国し

たのです。しかし、そこにはすでに、営々とパレスチナ人が住んでいたわけです。当

然、それは紛争の火種になります。これが、半世紀以上にも及ぶ、この地域の内紛

の発火点になっているわけです...

  パレスチナ人にしてみれば、非常に迷惑な話です。しかし、ユダヤ人もまた、民族

として国家を持たないがゆえに、何の罪もない600万人もの同胞が、民族浄化のた

めにガス室に送られたのです...」

「うーん...難しい問題ね、」支折が言った。「ともかく、パレスチナ人も、イスラエル人

も、お互いに尊重しあって、仲良く暮らしていって欲しいわねえ...」

「まあ...」大川が言った。「一言で言えば、そういうことになりますか...が、それ

が、まさに、非常に難しいわけです...それにしても、2000年前の地主が帰ってき

たと言われても、パレスチナ人も困ったでしょう...」

「はい...イスラエルは、人口の少ない別の場所に、国を作ることは出来なかったの

でしょうか?」

「まあ、そういう検討もあったと思います。しかし、歴史は、そういう方向へは動きませ

んでした。勇ましい決断をし、軍事的に制圧したわけです。しかし、計り知れない犠牲

を伴ったわけです...指導者というものは、こうした事態をも想定し、時には妥協す

ることも必要だということですね...

  ともかく、現在のイスラエルは、非常に横暴な感じがします。アメリカも、イスラエル

の横暴を許している姿を鮮明にしています。また、イスラエルの大量破壊兵器は黙認

し、イラクやイランの方だけを問題視するというのも、どう見ても、片手落ちです...

  私は、アメリカという国が好きです。しかし、それは、アメリカという国は、フェアな国

だと思うからです。こうした、ドロドロとしたアンフェアな部分はイヤですねえ。まあ、こ

うした所は、どの国にもあるわけですが、それを堂々とやり始めると、非常に危険な

臭いがします」

「はい...」

               wpe7C.jpg (48861 バイト)

「20世紀後半を彩った、核戦略下の冷戦構造が終焉し、大きな平和がやってくると、

私は思っていました。しかし、どうもそうはいかない様相です。これまで、超大国に押さ

えつけられていた重石が取れ、世界中で紛争の芽が吹きだしたのが現実ですね。

  そしてこれらの紛争の芽は、しだいに大きな紛争に発展しつつあります。インドや

パキスタンの対立などを見ても、すでに双方の核武装にまでにエスカレートしていま

す。核兵器を持つということでは、北朝鮮もそうですし、いずれにしても放置できない

問題です。

  まあ...国際社会は、イスラエルの核兵器は黙認し、これから核兵器を持とうとい

う国を問題視しているわけですが...ともかく、北朝鮮が核兵器で周囲の国を脅し

始めるというのも、非常に困るわけです...」

「はい...それが、現実の世界情勢ということですね、」

「そうですね...

  それから、どうも冷戦以後の紛争を分析してみると、民族対立や、宗教対立の構

造が見えてくるようです。一般的に、こうした紛争というのは解決が非常に難しく、根

深いものがあります...」

「うーん...はい、」

「そこで...ここでもやはり、“地球連邦政府”という、強力なリーダーシップが渇望さ

れてくるわけです」

「はい。あの、大川さん、“地球連邦政府”になれば、どうして紛争はなくなるのでしょ

うか?」

「そうですねえ...

  本来、こうした武装対立は、必要のないものだからです。かって日本も、武装国家

乱立の、戦国時代がありました。しかし、天下が統一されると、治安が行き届き、平

和な社会が実現しているでしょう。それが、天下を治めるということなのです」

「うーん...」

「まあ...最近は、日本の国も、骨格がガンにおかされ、緊急手術が必要な状況に

なっています。しかし、それでも一応、治安は保たれているでしょう。天下が統一され

ていて、1つの政府によって治められているからです。

  このように、世界が“地球連邦政府”という、強力な行政機構によって統一されれ

ば、諸々の紛争は収まって行くのです。問題の調整が、政府内部や、議会において

行われるからです...」

「はい!

  ええ、何故“地球連邦政府”が必要か、この方面のガイドラインというものが、少し

は見えてきたかと思います。それでは次に、堀内さんの方から、“環境・資源・未来工

学”の観点から、お話を伺おうと思います」

             

  常に、“人類の総意”が求められる時代  

          wpe73.jpg (32240 バイト)   wpe74.jpg (13742 バイト)

「堀内さん、よろしくお願いします」支折が言った。

「はい、」堀内が、うなづいた。

「ええと...堀内さんは、“老朽原子炉の解体”の中で、“地球連邦政府の創設”を訴

えておられました。まず、そのあたりの話から、もう一度伺いたいのですが、」

「そうですね...」堀内は、顎に手をやった。「まず、ですね...早急に、“人類の総

による決断”が迫られている課題が、幾つも出てきています。また、地球社会が、

強力なリーダーシップのもとに乗り越えていかなければならない課題も、山積してい

ます。

  さきほど、津田・編集長も言いましたが、まず人口問題・食糧問題・環境問題、

す。それから、未来工学の問題もあります。私は、人類文明全体が、“アリの巣”のよ

うに、地下都市へシフトすることを提唱しています。まず、地下都市なら、冷房暖房等

のエネルギー消費は極力抑えられますし、地上をもとの大自然の原野に返すことが

出来ます。

  まあ、農業もありますので、全部とはいかないかも知れません。しかし、住宅や都

市の領域は、コンパクトな地下都市へシフトすることが可能です。この計画だけでも、

まあ進捗状況によりますが、地球環境にかかる負荷は劇的に軽減できるはずです。

  それから...人口問題や、食糧問題などは、津田・編集長がOPINION”や対談

などで詳しく述べておられるので、そちらの方は編集長の方でお願いします」

「はい、」津田が、小さくうなづいた。

「ええ...私としては、ですね...ヒトゲノム解読後の、“遺伝子問題”を取り上げた

いと思います。“地球連邦政府”の、強力なリーダーシップのもとで、“人類の総意”を

明確に打ち出してもらいたいと思います。

  現在は、人類全体の意思も明確ではなく、各国・各自が、やりたい放題にやってい

るのが現状ではないでしょうか...次に、幾つか問題点を挙げておきます...

 

〈ヒトゲノムとプライバシーの問題...〉 

〈 ヒトのクローン技術の問題...〉

〈 家畜のクローンを、どうするか...〉

〈 遺伝子組み替え農作物を、どうするか...〉

〈 バイオ・テロ、遺伝子兵器を、どのように監視して行くか...〉

 

  ...他にも色々あるかもしれませんが、とりあえず、思いつくものを上げてみまし

た」

「はい。堀内さん、どうも、ありがとうございました...

  あ、弥生が、お茶を運んできましたね、」

  羽衣弥生が、片手でワゴンを押しながら、作業テーブルの方へやって来た。支折が

立ち上がって行き、一緒にお茶を入れるのを手伝った。

 

               wpe56.jpg (9977 バイト)    <羽衣 弥生>     

 

  津田と大川と堀内は、彼女たちがお茶の用意をしているのを眺めていた。窓の外

は、梅雨末期の雨が激しく降っていた。テーブルにお茶の用意ができると、支折は窓

の方へ行った。彼女は、ガラス窓を半分開けた。ザーザーと降りしきる外の激しい雨

音が、部屋の中に入ってきた。

  支折は、いつものように、窓の外に手を差し出した。それから、ずぶ濡れの腕引っ

込めた。弥生の渡したタオルで、腕をぬぐった。すると、今度は、弥生が窓の外に両

腕を出し、2人で騒いでいた...

 

                                      wpe57.jpg (5177 バイト)  wpe4F.jpg (12230 バイト)            

 

                                            

「支折です...

  今回はここまでとします。どうぞ、今後の展開に、ご期待ください