「編集長の津田真です。イラク戦争が終息したと思ったら、今度は新型肺炎の
“SARS/(重症急性呼吸器症候群)”がいよいよ中国大陸で猛威を引き起こす兆しになって
来ました。また、北朝鮮の核兵器問題も、いよいよ大詰めの段階に入りつつありま
す。
さて、そうした国際情勢とは別に、ここ2週間あまり、日本の社会情勢が、また一
段と悪化を深めているのを感じます。“精神が切れた”という感じの、殺人・傷害事件
が全国で続発しているからです。
もはや、こうした“イライラの精神状態”は、少数者というよりは、社会全体で飽和
状態にあるようにさえ感じます。そうした中で、弱い部分から弾けたのが、一連の“通
り魔事件”の実態なのではないでしょうか。むろん、犯行は凶悪そのものであり、被
害者や社会に与えた恐怖は計り知れません。
しかし、こうした事件を加速しているのは、まさにこの不況であり、失業であり、金
銭トラブルであり、こうした社会状況から来る閉塞感なのだと思います。したがって、
こうした加害者もまた、弱い部分が弾けてしまった、被害者という側面もあるのだと
思います。
一方、こうした社会状況を創出してきたもう1つのバックグラウンドが、閉塞的な現
在の“日本の文化”なのだと思います。テレビや新聞等のマスメディアが展開する、
“日本文化の姿勢”が、国民をここまで精神的に追い込んで来たのではないでしょう
か。≪司法・立法・行政・マスメディア...≫と、すでに国民には、信じられるものが何
もなくなっています。
こうした社会状況は、事件そのものではなく、目には見えないわけですが、長年国
民の心を踏みにじってきたのは確かです。また、伝統ある豊な日本文化をも踏みにじ
ってきたわけです。そして、同時に、その危険な兆候を知りつつも、手をこまねいてき
た責任ある立場の有識者も、やはり非常に罪深いものがあったと思います。
この日本の、社会と文化全体を指導していくべきマスメディアは、この現状を他人
事のように放置しておくことは、もはや許されない状況にまで来ています。
“言論の自由”や“個人情報の保護”も大事なことですが、森を見て山を見ないと
いうのでは、本当に困ります。今、まさに、森よりも山よりも、さらに大きな日本列島全
体が、枯れ始めているのです。マスメディアは、総力を上げて、この国難に取り組む
べき時ではないでしょうか。
最近のニュースを見ていて、警察が“一斉取締り”で動いているのは、唯一救われ
る気がします。暴力団が絡んでいる“闇金融”での一斉検挙。東京の新宿歌舞伎町
での、1200人の警察官を動員した、“違法風俗店”の一斉取締りなどです。社会全
体が無法化して行く状況下で、やはり警察が大挙して動くということは、無力な一般
市民にとっては、数少ない嬉しいニュースだったと思います。
公権力、行政、マスメディア、そして国民自身が、“是は是”、“非は非”と、しっか
りと切り分けて行くことが、現在の日本の社会には、一番必要なことだと思います。
“清濁を合わせ呑む”というような気持ちでいては、川の水はいつまで待っても、“清
流”には戻りません。
そして、これは最後には、私たち一人一人、個人個人の、“自覚”の問題に帰結
するのではないでしょうか。“悪をなさない”/“社会ルールを守る”/“21世紀の、新
しい日本国家を建設する”という、日本人としての自覚です。この方向へ、レールの
ポイントをしっかりと切り替えない限り、列車は永久に、“清と濁の原野”を走り続けま
す。
“カギ”は、マスメディアが、いつポイントを切り替え、ギア・チェンジを
して、総力戦に突入するするかにかかっています!
それには、前段階として、もう1つ“カギ”があります。それは“人事・
人心の一新”です!
この大混乱を引き起こした“長老の世代”では、とう
てい自浄作用は望めないということです!